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津波から命を守る ~東日本大震災から5年~

「津波から命を守る ~東日本大震災から5年~」2016年3月10日

3月11日で東日本大震災からちょうど5年ね。
首都圏でも、都心の超高層ビルがゆらゆら大きく揺れて、
沿岸部などでは津波や液状化の深刻な被害もあったわ。

サイ坊「地震は揺れだけでも大きな被害をもたらす。さらに津波をともなうと、東日本大震災のようにその被害はとてつもなく大きくなることがあるんだ。今回は、津波から命を守るための課題と取り組みを紹介しよう。初めに、秋田のリポートを見てみよう。想定の震源が陸に近く、津波がすぐに到達するとされる日本海側の秋田県南部の にかほ市 は、県が公表した想定で最大10mを超える津波が押し寄せた場合、3,700人あまりが死亡するとされているんだ。」2016年2月12日OA 「ニュースこまち」(秋田局)より

1避難が間に合わない

県の想定をもとに、市が独自に作成した津波の高さや浸水域を示すシミュレーションです。
低い土地が続く にかほ市 では、津波が15分あまりで到達すると、内陸まで一気に広がります。

このため、市は高台や高い建物など、避難場所の整備を進めています。
避難場所の数は震災前より3割近く増えました。
しかし、それでも実際には逃げられない人たちがいます。

にかほ市の琴浦地区は、想定では津波が18分で押し寄せ、全域が浸水してしまいます。

18分以内にすべての住民が避難できるのか・・・
自治会の役員が検証を行いました。

この日は、災害時に支援が必要な70代の女性を、避難場所に誘導するのにどれくらい時間がかかるか計りました。
避難場所まではおよそ1km。高齢者にとっては長い道のりです。

かかった時間は20分。
津波の到達時間に間に合いませんでした。

にかほ市琴浦自治会会長 松永哲郎さん「厳しい。とても厳しい。支援が必要な方と一緒にいち早く避難することがこれからの課題で、われわれはどうすればいいのか」

にかほ市の試算では、避難が間に合わない人は市内全体で1,400人に上るとされています。

シュト子「避難が間に合わない人が1,400人もいるなんて不安になるわ。」

秋田県では現在、新たな津波の浸水想定をまとめています。
津波の到達時間がさらに早まれば、避難できない人が増えるおそれもあります。

にかほ市防災課の佐藤清克班長は「早く到達する津波にあわせた避難計画をつくっていかなければならない」と話しています。

2避難タワー建設の課題

短時間の避難。
それを実現するのが『津波避難タワー』です。
震災以降、東北地方では、太平洋側の被災地を中心に9か所で建設されました。
しかし、日本海側ではあまり整備は進んでいません。

琴浦地区では、避難タワーを建設できないか市にかけあっています。
津波の浸水域にある空き地に避難タワーを建設できれば、多くの人が短い時間で避難できると考えています。

市は「調査したうえで建設に向けての検討をさせていただく。まあ、やると決まったわけではないですけれども、ご意見を参考にしながらということで考えています」と、理解を示しつつも建設には慎重です。

課題は予算不足
太平洋側の被災地や、南海トラフの巨大地震の被害想定地域に比べ、日本海側には、国の予算がなかなか回ってきません。

市は「太平洋側と日本海側では、取り組む熱の入れようとか、予算の配分も違ってくる。用地買収費まで補助金でまかなえる事業は、今のところないもんですから」と話しています。

3防災意識を高める

そこで、琴浦地区では避難タワーの建設を待つだけでなく、 “自分たちにできること” を進めようとしています。

自治会では、1人暮らしの高齢者などの情報をリスト化して、日頃から見回り活動を行っています。

住民の防災意識を高めていくことも課題です。

自治会長は「行政の方には施設とかそういうのは頼るんですけど、 “逃げること” はわれわれ自治会の中で、『自分のことは自分』 。そういうことでやっていかなければならない。やはり『市の方ばかりに頼ってはいられない』 んじゃないか」と話しています。

サイ坊「行政にはできる限りの安全対策をしてほしいけど、万全な対策というのはどこでも難しい。お年寄りや障害者など、いわゆる災害弱者の避難も考えなければいけない。実際に避難するのは住民だから、日頃から準備をしておくことが重要なんだ。」
 シュト子「高台もなく、避難タワーの建設もできないような市街地では、どこに避難したらいいのかしら?」メット「海の近くに市街地がある、高知市について見てみるワン。」

▲2016年2月3日OA 「こうち情報いちばん」(高知局)より


サイ坊「人口およそ34万人の高知市では、南海トラフ巨大地震の想定で、市の中心部まで津波が押し寄せ、およそ13万人が避難を迫られることになるんだ。そこで、一定の高さがあり丈夫な建物を住民の避難場所として「津波避難ビル」に指定している。そのうちの1つ、民間の分譲マンションでは、住民たちが津波避難の課題を検討しているんだ。」

4高層マンションの図上訓練

中心部の一角にある14階建てのマンション。
2年前(2014年)に津波避難ビルの指定を受けました。
しかし想定では、このマンションの3階部分まで津波につかってしまうとされています。





シュト子「高層の避難ビルでも下のほうは危ないわね。」

マンションでは、4階以上の階の廊下や階段などの共用部分を、避難スペースに考えています。
3階以下の住民をはじめ、マンションがある地区の人たち、あわせて1,000人ほどが避難できると計算しています。

ところが、実際の場面でどう避難するのかを盛り込んだ具体的な計画はまだありません。

そこで、マンションの住民で作る自主防災組織は、去年(2015年)から避難計画づくりを始めました。

シュト子「ここでも住民が積極的に津波対策を考えているのね。」

「津波の到着予想時刻は14時30分」
この日はまず、マンションに住む住民が安全に避難するためにできることを、図上訓練で検討しました。
想定では、地震から30分後に津波が押し寄せてきます。

「火災発生!」
津波が迫るなか、マンション内での火災やけが人などの情報が次々に報告され、対応を求められます。

住民の女性は「情報が錯そうしているので、どのようにまとめて報告したらいいかとか、やってみて大変だということがわかった」と、話しています。

5安否確認の問題~住民による夜間訓練

そして日没後、実際のマンションを舞台に、夜の避難訓練を実施しました。

津波が押し寄せる3階以下に住む住民たちは、揺れが収まると安全な5階へと向かいます。

訓練にはマンションの近所に住む人たちも参加しました。

地震直後で停電が続いていると想定し、懐中電灯を片手にマンションを目指します。
マンションの側でも、暗い廊下などに蓄電池で光る照明を置いて安全を確保します。

地区の人たちが到着すると、マンションの住民が誘導しながら階段を上がります。

本部に報告が入ります。
「外部避難誘導担当から本部へ、ただいま外部避難者10名、無事6階まで誘導いたしました」
地震の発生から20分以内に避難を終えることができました。

一方、マンションの中では、住民が手分けをして各世帯の安否確認に回ります。
「避難されましたか?」
すでに避難したのか、留守にしているのか、判断がつきません。

「5階以上に避難するよう指示してください。在宅では困りますので」
まだ家にいる可能性を考え、再び確認を指示します。

マンションのすべての世帯およそ130戸の安否が確認できたのは、
津波到達の7分前 でした。

シュト子「想定の7分前か。間に合ってよかったけど、もっと早い津波だったら大変!」

近所から避難してきた住民は「民間マンションは私有地で、善意で避難させていただいている。こういうことがないと助からない地域なので、ありがたいと思っております」と話しています。

一方、マンションの住民は「お互いさまという気持ちが、これをやるたびに深くなるんじゃないかしらと思うんです。こういうことをして順番に勉強していくことが一番だなと思いました」と話しています。

マンションライフ継続支援協会 濱口加津子さん「誰が何をするのかというところを整理していかなければいけないんです。マンションごとにマンションにあった計画が必ず必要になると思います。」

と、今回の避難訓練を支援したマンションの避難計画づくりを推進している団体では指摘をしています。

シュト子「首都圏では沿岸部にも高層マンションが多いから、避難場所にできれば頼もしいけど、場所が決まっただけではダメなのね。津波から命を守るためにやっておくことはたくさんあるわね!」サイ坊「まず、マンションの中で役割分担や手順を決め準備をすること。そして、近所から逃げてくる人たちとの連携について、日頃から話し合っておくことが大切なんだ!
」

■ほかにも備える

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