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安否確認はIT技術の活用で

「安否確認はIT技術の活用で」2015年11月9日

シュト子「関東北部を襲った豪雨では、連絡が取れない人が無事なのか、そうでないのか、確かなことが分かるまでに時間がかかり、家族は長い間、心配が続いたと思うわ。」サイ坊「住民の安全を守る行政も、大変だったようだ。『ICタグ』を使った独自の避難訓練に取り組む長岡市の自主防災組織を、新潟放送局が取材していた。」

▲2015年9月10日OA 新潟局「新潟ニュース610」より

地震など、大きな災害が発生した際、課題となるのが、住民の迅速な安否確認です。
こうしたなか、新潟県長岡市内の自主防災組織が、情報通信技術を活用した取り組みを始めました。使うのは『ICタグ』。さまざまな情報を記録できる電子回路が組み込まれています。

1ICタグで安否確認

長岡市の郊外にある住宅地、青葉台地区。
9月6日、この地区の避難訓練で、初めての試みが行われました。
集まった住民たちが身に付けているのは、『ICタグ』です。
避難所の入口に見立てたテントを、『ICタグ』を身に付けた住民たちが通っていきます。

すると、テーブルに置かれた専用の読み取り装置が、『ICタグ』から発信される住民の情報を読み取り、住民が通るたびに、その人が誰なのか瞬時に判別し、まだ避難していない人は、『安否未確認 』と赤い文字で表示されます。

地区の自主防災会で役員を務める神田英一朗さん。ソフトウェアを開発している神田さんは、同業者とともに、『ICタグ』を活用するためのシステムをつくりました。

青葉台3丁目自主防災会 神田英一朗さん「誰がいま避難していなくて、安否が未確認なのか、そういうことを追求していく方がはるかに有益なので、未確認者を絞っていくことができるシステムを作らなきゃいけないと思ったんです」
シュト子「避難している人の把握が簡単にできるってことよね?何をきっかけにシステム作りをしたのかしら?
」

2中越地震を教訓に

きっかけは2004年の新潟県中越地震でした。
地区にあるほとんどの家屋に被害が出て、町内に住む300人余りが地区の小学校に避難したものの、避難できていない人については、まったく把握できなかったというのです。

 シュト子「半日以上もかかってしまったの??」

2004年の「新潟・福島豪雨」で書かれた避難者名簿には、各世帯の代表者が手書きで、家族の情報を記入しています。
中越地震の時、青葉台地区では、一人ひとりの安否を確認するのに半日以上かかりました。

青葉台3丁目自主防災会 神田英一朗さん「不要な時間が何時間もカットされますね。われわれとしては、もうそんなことはICタグに任せていって、未確認者の救護にむかえるということです。なるべく早く住民が気付いて、助けてあげることができれば、1人でも2人でも多く命が守れますので」

3まず住民の情報収集から

まず始めたのは、あらかじめ町内の住民一人ひとりの情報を集めることでした。700人以上から得た名前や住所などの個人情報。それを1人ずつデータ化するシステムを作りました。そして、これまで避難者名簿を手書きで記入し、集計していた手間を『ICタグ』に託すことにしました。

その効果を試そうと、住民も参加して行われた避難訓練。
『ICタグ』を持った100人の安否を、どれだけの時間で確認できるかに注目しました。

結果は、わずか5分ですべて確認を終えることができたのです。
あらかじめ決めていた “安否未確認者” も、すばやく特定できました。

ナビ子「ポケットに入れていたらダメなんだね?」

一方で、避難者をスムーズに認識できない場面も見受けられました。
『ICタグ』をポケットに入れていたからです。
災害時にタグをどうやって携帯するか、課題が残りました。

4実用化に向けた課題も

シュト子「せっかくのシステムも、自分のICタグを身につけないとね!」

訓練を終え、視察に来た専門家たちからも指摘が出ました。
「そもそも自分のタグを付けていないと・・・」

また実用化には、個人情報の管理など、さらにシステムへの信頼を高めていくべきだと指摘されました。

神田さんは「個人情報をネット上に置く前提なので、セキュリティー確保をどうするか、そして非常時にそれをどうするか、住民の方と協議したい」と話しています。

シュト子「防災では、地域の非常連絡網や避難所の生活など、個人のプライバシーと密接にかかわることがたくさんあるわ。命を守るために、プライバシーと情報の共有とをどこまで折り合いをつけるか、難しい課題もあるわね。」サイ坊「災害の時に、住民同士が通信を確保することで、安否の確認につなげようという和歌山県白浜町の取り組みについての報告もあるんだ!」

▲2015年9月4日OA 和歌山局「あすのWA!」 より

白浜町では、Wi-Fiを活用し災害時でも途切れにくい通信ネットワークを作ろうという立証実験が始まっています。
全国でも珍しい取り組みについて取材してきました。

5屋外で無料ネットサービス

和歌山県南部にある白浜町。年間300万人以上が訪れる全国有数の観光地です。町の至る所に、無料でインターネットが使えることを示す、『Wi-Fi』 の文字。町では、5月から、屋外でも無料でインターネットにつながるサービスを提供しています。

このWi-Fiを使って、町では、国の研究機関と共同で、災害時でも途切れにくいネットワークを作ろうとしています。

6紀伊半島豪雨を教訓に

白浜町が通信ネットワークの重要性を強く実感したのは、2011年の紀伊半島豪雨。

町の一部の地域で土砂崩れが発生し、一時電話が通じず、被害状況を迅速に把握できない事態が生じました。

白浜町総務課 坂本和大さん「大規模災害時でも途切れにくいネットワークを作りたくて、町で作りました」

通常、それぞれの設備は、個別にインターネットにつながっています。
この場合、土砂崩れなどで回線が切れてしまうと、通信ができないエリアが生じます。

そこで白浜町では、8か所の設備を網の目のようにつなぐネットワークを構築。
災害時でも通信を維持できる仕組みを作りました。

9月2日、新たな仕組みが正しく機能するか検証する実験を初めて行いました。

地震で回線の一部が使えなくなったという想定で、それでも通信が維持できるか検証します。

検証状況を示した地図です。
現在地はA。通信先はB。
今は青い線のルートを使って、高台にいる職員と通信しています。

中継点機能を停止させると、
一度通信が途切れました。

しかし、すぐに別のルートが自動的につながります。

今回の検証で、4か所の設備が壊れても、通信が維持できることが確認されました。

このWi-Fiを使ったシステムには、もう一つの利点があります。
現在のWi-Fi利用者の数を瞬時に把握することができるのです。

この仕組みを応用すれば、津波から逃げ遅れた人がいるかなど、避難が必要な人がいるかを知る手掛かりにつながると期待されています。

災害時にも機能して、無料で使えるインターネットのサービス。
『町民すべてがアクセスして安否を知らせる』とまではいかないに
しても、未確認ではあっても、救助や医療が必要かどうかの手掛かり
につながるという期待が持てる。
白浜町では、今回紹介した、災害時に強いネットワークの強みを
生かして、津波を監視するカメラを町役場と結ぶ計画なんだそうだ。

■ほかにも備える

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