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災害発生から避難所生活まで、私たちが大切にしたいこと

「災害発生から避難所生活まで、私たちが大切にしたいこと」2015年9月28日

8月も終わって、やっと暑さから解放されそうな気がするわね。
でも、9月は防災月間。万一に備えて、訓練に参加して気を引き締めないと!

メット「最近は、テーマを絞った訓練も数多く行われるようになったんだワン。栃木県は、避難所を無理なく開設するための訓練が行われたよ。」

▲2015年7月29日OA「栃木640」(宇都宮局)より

多くの人を受け入れる避難所は、住宅が被災した人のためにいち早く開設することが求められています。しかし、行政の対応がなかなか追いつかないことも多く、地域住民の協力が不可欠です。といっても、具体的にどのような行動をとればいいのか戸惑うという方も多いのではないでしょうか。
そこで今、宇都宮市にある自主防災会では、誰でも避難所の開設に携われるような仕組みづくりが進んでいます。

1カードで役割

宇都宮市陽東地区で行われた避難所運営の訓練では、これまで、避難所を開設する役割は、自主防災会の役員が担っていましたが、今回の訓練から、誰もが避難所を開設できるように、新たな仕組みを取り入れました。その鍵となるのが、「アクションカード」と呼ばれるものです。

用意されたのは、6種類。
役割ごとに、避難所の安全確認や受付の設置、それにペットの受け入れなど、避難所を開設するために必要な手順が書かれています。

▲あらかじめ、避難所開設の担当者を決めておくと、担当者が被災するなどしてたどりつけなかったりした場合、避難所の開設が滞ります。

▲一方、避難所にこの「アクションカード」があれば、避難してきた人が誰でも、カードの指示に従って避難所を開設できるという仕組みです。

シュト子「指示が書かれていたら、誰でも行動できるということね。」

たとえば、避難所の受付を担当した女性は、カードの指示に従い、机といすを調達し、体育館の入口に窓口を設置しました。

避難してきた人の誘導を担当した女性は、けが人や病人など、付き添いが必要な人を指定された場所まで案内しました。

訓練に参加した女性は「いままではこういうものがなくて、口頭でこんなふうにと、なんとなくという感じだった。目的がはっきりしていると、今日来てすぐ動けるので助かります」と話しています。

シュト子「いいことを考えたわね。何がきっかけだったのかしら?」

2苦い教訓

導入のきっかけは、自主防災会の会長、金子範男さんの東日本大震災での苦い経験がありました。

当時、宇都宮市では震度6強を観測。体育館は避難所に指定されていましたが、実際には開設されませんでした。
避難所運営の担当だった自主防災会の役員が周りの対応に追われて、避難所の開設まで手が回らず、体育館に向かえなかったのです。

自主防災会 金子範男会長「組織なんかもまだ弱体で、避難の誘導はできませんでしたね」

シュト子「災害には絶対必要な避難所。自分たちの生活場所になるんですもの、誰かにお任せではなく、自分たちで無理なく作れるようにしなければいけないわね。」
シュト子「ところで・・・大きな災害だと、避難所生活も長引くことになるわよね。慣れない環境で、私たちはどうすればうまくやっていけるのかしら?」メット「災害を生き延びた人について研究している学者がいるワン。東日本大震災を例にした研究成果がまとまったというニュースを甲府放送局で紹介していたよ!!(2015年9月1日OA「まるごと山梨610」 甲府局より)」

1万5,000人余りもの命が奪われた東日本大震災。その一方で、津波に飲み込まれたり、長い避難生活を送る中で生き抜いている人もいます。
大災害の中で生き延びられたのはなぜだったのか、山梨英和大学と、東北大学のチームが4年かけて研究を進め、その成果が、今年7月まとまりました。

3災害を生き抜く力

山梨英和大学の本多明生准教授は、災害心理学が専門で、東北大学の研究者と、【生きる力】の研究を行ってきました。

「生きる力を育む教育が大事だという話をする。でも、一体、『生きる力』って何?そういう議論はされていないのではないかなと思ったわけです」と研究のきっかけを話しています。

地震や津波、避難所生活の困難を乗り越え、生き延びることができたのは、どんな があったからか? 本多准教授たちは、東日本大震災の被災者1,400人にアンケートを行いました。
質問項目は、性格や考え方、習慣など。 さらに、地震や津波が来た時や避難所での生活でどのように行動したか尋ねました。
その結果、生き延びた被災者には、ある共通した力がみられることが分かりました。8つの「生きる力」です。

シュト子「共通した特徴があるなんてびっくりしたわ。」

4津波から逃れた被災者

宮城県気仙沼市の熊谷浩典さんには、少なくとも、5つの生きる力がみられました。
熊谷さんは、船を操縦している時に津波に襲われました。
「ものすごい巨大な波が来た」
逃げようとして転覆していくまわりの船を見て、熊谷さんはその場で波をかわそうと覚悟を決めました。慌てず冷静なかじさばきで切り抜けました。

「震えとかはまったくなくて、頭の中で1から10までチェックするんですよ。あれは大丈夫か、これは大丈夫か、どこで波をかわそうかと」
行動する前に、優先順位や段取りを考えた熊谷さん。これが「順序立てて問題を解決する力」 です。

熊谷さんはさらに、溺れている人を見つけました。
「生きている人だなと思いましたので、何とか助けたいと海から救助し、『大丈夫、助かるから』と励ましました」
「人を思いやる力」「人をまとめる力」があったからこその行動でした。

シュト子「とっさの判断と、まわりの人への思いやりが大事だったのね。」

5“生きる力”はふだんの暮らしで

災害を切り抜けるうえで重要なカギとなる8つの「生きる力」は、ふだんの暮らしのなかで高めることができると本多准教授は考えています。
本多准教授はいま、多くの人にふだんから生きる力を高めてもらうための活動に力を入れています。

8月に行われた、南アルプス市の防災リーダーなどの集まりで使われたのは、生きる力のチェックリスト。
「自分のことは自分でしている」、「困っている人を見ると放っておけない」など、30問余りの質問に答えると、どんな力がどのくらい備わっているか確認することができます。

参加者は「いままでしたことがなかったから、すごく面白いです」 「自分が意識しなかった部分がわかっていいですね。これから生きていくうえで、自分はそういう人間なんだってわかったかもしれない」などと話していました。

なまネコ「甲府放送局のアナウンサーが、30項目以上の『生きる力』のチェックリストをやってみたニャ!」

その結果は・・・

【生活を充実させる力】【問題を解決する力】 は12ポイントと高かったのに対して、「つらいときにくよくよ考えないようにする」という項目に、「くよくよする!」と答えたので、【感情を制御する力】が2ポイントと低かったニャ。

シュト子「こういった能力は、災害時にどのように役立つの?」

【問題を解決する力】は、津波の時にすぐに逃げたり、避難所での問題を解決したりといったことに有効に働く力。
【生活を充実させる力】 が高いほど、心や体の健康を保てるし、復興をより感じることができるということなんだニャ。

山梨英和大学 本多明生准教授「すべての力が高くなければいけないというわけではなく、自分の特徴を把握することが最も大切。人それぞれに得意な部分や、不得意な部分があってもいいと思う。それを補いあえる風土があればいいんじゃないかと思います」

シュト子「自分の中で優れている『生きる力』によって、乗り越えられる、また得意な分野が変わってくるということなのね?気仙沼の熊谷さんも全部が得意だったわけではなくて、限られた能力を全部うまく使ったということね。」

本多准教授は、今後、さらに研究をすすめ『生きる力を日常的に身につけられる防災教育』を広めたいと考えています。

山梨英和大学 本多明生准教授「『生きる力がどういう要因によって育まれているのか』 『どうすれば生きる力を伸ばすことができるのか』 まだ研究が始まったばかりだと思う。これから研究を進めることで、教育現場や家庭の中で、育むべき力が分かるきっかけになるんじゃないか。」

 

災害科学国際研究所のホームページで、8つの『生きる力』質問紙がダウンロードできるようになっています。

災害科学国際研究所(NHKサイトを離れます)
http://irides.tohoku.ac.jp/organization/humansociety/01.html

『生きる力』質問紙はリンク先の下の方にあります。

 

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