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  • 2024年6月12日

「あなたはなぜ渋谷に?」 ~渋谷で外国人観光客30人に聞いてみた

東京のリアル1
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皆さん、外国人観光客に最も人気がある東京の街はどこだと思いますか?浅草や銀座でなく、実は渋谷だそうです。渋谷の何が外国人をひきつけているのでしょう。早速街頭にでて30人に聞きました。
「Why did you come to shibuya?(なぜ渋谷に来たんですか?)」
                                        (首都圏局/都庁担当 記者 川村允俊)

なぜ渋谷に?

向かった場所は連日多くの外国人観光客が行き交う渋谷駅前。
私は記者7年目。まだ取材では先輩にいろいろお叱りをうけることもありますが、10歳までアメリカで育ち、英語には自信があります!

通勤経路の渋谷駅にいつも多くの外国人観光客がいるのを見て、"みんな渋谷にどうして集まるんだろう"と不思議でした。
早速質問すると……。

家族で日本を訪れたというフィリピンの30代の女性が話してくれました。

フィリピン人女性

because we wanted to see hachiko.(ハチ公像が見たかったんです。)

待ち合わせ場所として有名なハチ公像がお目当てというのは納得です。インタビューした中で、リチャード・ギアの映画を見てハチ公のことを知ったという方が多く、10年主人を待ち続けたというストーリーを皆さん口にされたのは驚きました。

人気は意外なあの場所

さらに、インタビューを進めていくと意外な場所も人気なことがわかりました。
(ポーランド人男性)。
「maid cafe.(メイドカフェ)」
(40代のアメリカ人男性)。
「Don Quijote.(ドン・キホーテ)」

手作りだというTシャツを着ていたポーランド人の男性は私も知らなかったこんな場所を口にしました。
(10代のポーランド人男性)。
「pig cafe was cool.they have very small and cute pigs.(ブタカフェに行って楽しかったです。すごく小さくて可愛いブタがいるんです)」

マイクロブタと触れ合うことができるカフェが原宿にあるそうです。
マイクロブタとは、イギリス発祥の超小型のブタのこと。トイレを覚えることはもちろん、おすわりやジャンプなどができる子もいるそうです。そんなマイクロブタがいるカフェに家族で行ってきたといいます。
私も興味があり、さらに聞きました。

(記者)。
「is that not common in your country?(ポーランドにはそういう場所はないんですか?)」

(10代のポーランド人男性)。
「No.but we have cat and rabbit cafe.(猫カフェやうさぎカフェはあるけど、ブタカフェはありません)」。

こちらの50代のケニア人男性が行ってきたという場所は「渋谷スカイ」でした。
渋谷スカイとは、2019年に渋谷駅近くにオープンした地上229メートルの展望施設です。

50代のケニア人男性

we are able to see the entire tokyo.
it’s marvelous. we are very impressed(東京全体の景色を見渡せました。素晴らしかったです。とても感動しました)

渋谷スカイへの入場には2000円ほどかかりますが、多くの外国人観光客が訪れているといいます。

渋谷を訪れる外国人観光客の目的地はさまざまでした。ただ、ある場所は圧倒的に人気でした。
ハチ公像ではありません。みなさん、どこだと思いますか?

フィリピン人女性
「we just wanted to see the Crossing the famous crossing (あの有名な交差点が見たかったんです)」

20代ポーランド人男性
「Shibuya Crossing (渋谷スクランブル交差点です)」

20代のモロッコ人男性
「Shibuya Crossing (渋谷スクランブル交差点です)」

私が30人に尋ねたところ、19人がこの渋谷駅前のスクランブル交差点と答えました。
言われてみれば、よく写真や動画を撮っている外国の方を見かけます。では、なぜ交差点に興味を持ったのか、理由を聞くと……。

アメリカ人女性

foreign people who travel this is very special because how many people in the day walk here.for me its like japan time square.i think that's amazing.(外国人観光客にとっては、あまりに多くの人たちがここを歩いているのが面白いんです。ここは日本版のタイムズスクエアみたいですね)」

コロンビア人女性

where we live is not common to a lot of people.(母国ではこんなにたくさんの人がいる風景は見かけません)

確かに、東京の都心でも渋谷のスクランブル交差点ほど一度に多くが行き交う様子を見られる場所はないかも知れません。
さらに、このような意見も。

モロッコ人男性

In Morocco nobody respects lights.seeingthat many people respectful of the rulesat the same time is interesting.(モロッコでは信号を守る人がいません。スクランブル交差点ではみんなが同時に信号に従っている様子が面白いです)

30代フィリピン人女性

although you are in a hurry you respect others.you can see that from the crossing.(スクランブル交差点を見ていると、例え急いでいるときでも日本人は他者へ配慮している様子が伺えます)

なんと交差点から日本の文化や慣習を感じ取っている人たちもいました。では、スクランブル交差点について知ったきっかけは何だったのでしょうか?

記者

how did you get to know this place?(スクランブル交差点についてどのように知りましたか?)

30代の韓国人女性

「from youtube(YouTubeで見ました)」

YouTubeで検索して知ったという人。
ほかにも。

30代オーストラリア人男性

the movie. Tokyo drift. So I wanted to come and see where it is(映画ワイルド・スピードの東京ドリフトです。実物がどんな感じなのか見てみたくなりました)

ほかにもアニメ「呪術廻戦」や、Netflixのドラマ「今際の国のアリス」などを見て訪れたいと思ったと話している人もいました。気に入った作品の「ロケ地巡り」をする人は、日本人にも多くいますが、確かにスクランブル交差点はたくさんの物語に登場する場所ですよね。

多くの外国人観光客を魅了するスクランブル交差点。そもそもこの交差点はどういう経緯でできたのか、そしてなぜこれほどの観光名所となったのか。渋谷の歴史に詳しい國學院大學の手塚雄太准教授に聞いてみました。

國學院大學 手塚雄太准教授
「渋谷にスクランブル交差点ができたのは1973年のことですね。ただ当初は今のように目的地となるような場所ではなかった」

記者

現在はイベントなどで人が集まる場所という印象がありますが、なぜそのような場所へと変化したのでしょうか?

日韓サッカーワールドカップで多くのサポーターのみなさんがスクランブルに集まってハイタッチするという。何か大きな出来事があった。そこに行けばたくさんの人たちと時間を共有できるとか思った人たちがだんだん集まるようになってきた。

2002年の日韓ワールドカップでの出来事をきっかけに、若者らが交差点に集まる文化が少しずつ根付いて、現在では海外から外国人観光客も集まる場所になったのではないかということでした。
また、多くの外国人観光客がルールに従う日本人の性格が現れていて興味深いとも言っていました。海外ではここまで信号を厳格に守る国は少ないからだそうです。私たち日本人にとっては当たり前のことが、外国人観光客の目には新鮮に映るようです。
 

課題(1) 滞在短い

しかし、インタビューしていて渋谷の課題も感じました。
まずはその滞在時間。渋谷に来る外国人はスクランブル交差点とハチ公をみると、すぐに別の場所に移動する人が多かったのです。

お金も数千円程度しか使わないという人がほとんど。地元の観光協会も、外国人観光客が多く集まっている割に経済効果が少ない点は改善したいとしています。

課題(2) ゴミ問題

また、外国人観光客からはゴミを捨てる場所がわからないという意見も多く聞かれました。
マナーを守りゴミを手に持って歩く人もいましたが、中には路上にポイ捨てしてしまう人の姿も。テロ対策などの理由で、今街中の多くでゴミ箱は撤去されていますが、この問題についても考える必要がありそうです。
 

渋谷観光の可能性

今回の取材を通して、私たちが何気なく使っている渋谷という街に、これほど「観光地」として魅力を感じる外国人が多いことに驚きました。
一方で、「賑わっている」=「潤う」わけではないということもわかりました。たくさんの人が日本を訪れてくれるのはうれしいことですが、オーバーツーリズムによって地域に負担がかかることは避けなければなりません。
今後インバウンドが更に重要な産業となるには、どうすればいいか、取材を続けたいと思います。

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