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  • 2024年6月4日

定額減税で相次ぐセール 家電や家具など減税額にちなんで…専門家“消費に回るのは2割から3割程度か”

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1人あたり4万円の定額減税が6月から始まりました。
開始にあわせて、給与の手取りが増えることに伴う買い物需要の拡大を見込んで、家電や家具などのセールを行う動きが出ています。

ただ、消費者行動に詳しいニッセイ基礎研究所の久我尚子上席研究員は、今回の定額減税について「一時的に消費を押し上げる効果はあるが、消費者は将来的に使えるお金が増えていく見通しが立たないと積極的にはならない。減税規模のうち消費に回るのは2割から3割程度ではないか」と分析しています。

経済好循環とデフレ脱却につながるか

定額減税では、扶養家族も含めて1人あたり▼所得税が3万円、▼住民税が1万円減税され、会社員など給与所得者の場合、6月支払われる給与やボーナスから適用されます。

夫婦と子ども2人の4人家族の場合、共働きかいわゆる「片働き」かに関わらず世帯全体では、▼所得税が12万円▼住民税が4万円のあわせて16万円が減税されます。

定額減税は、岸田総理大臣が「税収の増加を国民に還元する」として打ち出した肝いりの政策で、政府は、ことしの春闘による賃上げが給与に反映される時期にあわせて実施することで、手取りの増加を実感してもらい消費を活性化させたい考えです。

ただ、定額減税については、一定の消費の押し上げ効果はあるものの、制度が複雑で所得や扶養家族の人数によっては減税が数か月にわたって行われ効果を感じづらいという指摘も出ています。

物価の上昇が続き、このところ消費に足踏みも見られる中、定額減税を経済の好循環とデフレからの完全脱却につなげられるかが焦点です。

定額減税にあわせてセールの動き

定額減税の開始にあわせて小売りの現場では、給与の手取りが増えることに伴う買い物需要の拡大を見込んで、家電や家具などのセールを行う動きが出ています。

流通大手のイオンは定額減税の開始を受けてきょうから順次、傘下の総合スーパーなど全国のおよそ500店舗で、6月末までセールを実施し、▼テレビや掃除機などの家電のほか、▼ベッドと枕などのセットを数量限定で通常の価格より2割から4割ほど下げて販売しています。

6月から始まった定額減税で所得税と住民税をあわせて1人あたり4万円が減税されることにちなんで、価格はいずれも4万円に設定しているということです。

今後は、ランドセルやベビーカーなどのほか、野菜などの生鮮食品も通常より安い価格で販売し、来店客数の増加につなげたいとしています。

買い物客
「減税はありがたいです。子どもがいるのでおもちゃを買ってあげたい」

買い物客
「所得が高いほうではないのでありがたいですが、何かを買うのではなく、必要になった時のために減額分は貯金にまわしたい」

イオンリテール営業企画本部 伊藤竜也 本部長
「なるべく安く買いたいという消費者の意識は強く、物価高で消費が冷え込んでいる事実もある。6月は定額減税のほかにボーナスもあるので、セールを通じ消費を盛り上げていきたい」

また、都内のデパートでは価格帯が高めの和牛など、食料品を中心としたセールで売り上げの拡大につなげようとしています。

東京・台東区のデパート、「松屋浅草」では、定額減税の開始にあわせて価格帯が高めの食品などを対象にセールを行っています。

このうち、▼黒毛和牛のしゃぶしゃぶ用の肉や、▼和牛を使ったレトルトカレーのセットは、1人あたりの減税額である4万円の「4」にちなんで、通常の2割引きの4000円で販売しています。

また、▼フルーツの盛り合わせや、▼定額で花束をつくるサービスも通常より割安な価格に設定しているということで、このデパートでは物価の上昇が続く中でも定額減税をきっかけに消費を喚起したいとしています。

買い物客
「物価が上がっているので少しの減税では足りない。日常の生活品に使ってしまうと思うので、もらえる実感がわかない気がする」

セールは、▼食品が6月9日まで、▼花が6月末までとなっていて、松屋浅草の鈴木章浩営業部長は、「電気料金や物価の上昇が続いているが、定額減税を機に少しでも消費の動向が上向いて購買につながればいい。日頃は控えている、もう一品の購入につながればわれわれとしてはありがたい」と話していました。

“消費に回るのは2割~3割程度か”

消費者行動に詳しいニッセイ基礎研究所の久我尚子上席研究員は、今回の定額減税について「一時的に消費を押し上げる効果はあるが、消費者は将来的に使えるお金が増えていく見通しが立たないと積極的にはならない。減税規模のうち消費に回るのは2割から3割程度ではないか」と分析しています。

その理由について久我さんは「今回の減税額は去年1年間の物価高で家計負担が増えた分を補うような金額だ。可処分所得を押し上げる効果はあるが、減税のしくみの分かりにくさと可処分所得が減ってきている現状の中、家計にとってプラスというよりマイナスを穴埋めするという印象を受ける人が多いと思うので、どんどんお金を使おうという心理にはなかなかなりにくい。電気代やガス代の負担軽減策が終了するのでその補填にあてるという家庭も多いだろう」という見方を示しました。

一方で、「扶養家族が多い世帯だとまとまって可処分所得が増えた実感を持ちやすいので、消費に向かいやすい。円安の状況で低迷していた海外旅行や、外食の飲み代などまだ回復しきれていない消費には向かいやすい可能性がある」としています。

その上で、定額減税が政府が目指すデフレマインドの払拭や消費の活性化につながるかについては「今回の定額減税でデフレマインドを完全に払拭するのは難しいと思う。継続的に賃上げしていく見通しが立つことや円安が改善することで、デフレマインドの状況が改善していくのではないか」と指摘しています。

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