藤沢市 まちの未来考える「こども選挙」

  • 2024年03月08日

神奈川県藤沢市で実際の市長選挙に合わせて子どもたちによる模擬投票が行われました。選挙への関心を深め、まちの未来を考えるきっかけになったのでしょうか。

“リアル”な模擬投票

藤沢市で「こども選挙」が行われたのは、実際の市長選挙の投票日と同じ先月18日。 
市内3か所の駅前に、本番さながらに投票箱が置かれました。

湘南台駅前の模擬投票所

参加するのは小学1年生から17歳までの子どもたちです。

投票用紙を見るとそこには実際の市長選挙の候補者名が。 
ちゃんと届け出順に記載されています。

投票用紙を受け取った子どもたち。 
本番さながらに仕切られた記載台に向かい、1人に丸をつけて投票しました。

投票した子どもたちの声です。

小学4年生

藤沢市にいろんな楽しい場所をつくってほしいです

中学1年生

子どもが楽しくて生きやすい、友達がたくさんできる町にしてほしいです

各地で広がる「こども選挙」

この取り組みを中心的に運営したのは、SNSの呼びかけなどで集まった会社員や主婦などボランティアの市民たちです。 
「こども選挙」は2年前、神奈川県茅ヶ崎市の市長選挙で行われて以降、各地に広がり、今回の取り組みも茅ヶ崎のスタッフからノウハウを学びました。

運営スタッフ代表の小林麻子さん

運営スタッフ代表 小林麻子さん 
「子どもたちが選挙や市政に興味を持つきっかけになってほしいです。自分たちの声が 
選挙によって届く体験をしてほしいです」

真剣な思いで投票

では、子どもたちはどんな思いで実際に1票を投じたのでしょうか。

亀井家

市内でカフェを営む亀井さんの家庭では、ひなたさん、太陽さん、日光さんの3人きょうだいが「こども選挙」に参加しました。 
投票する際の参考にしたのが、告示のあと特設ホームページに公開された動画です。

特設ホームページに公開された動画

子どもたちが考えた質問に回答する内容で、今回は「勉強はYouTube先生やChatGPTが教えてくれるのに、学校になぜ行くのですか?」などの3問について候補者全員が回答しています。 
各候補者は「友達との思いやりの時間を大事にする、それが学校」とか「社会生活を学ぶため。嫌なことを我慢する練習です」などと答えていて、それぞれの人柄が伝わってきます。

ひなたさん

小学6年生 亀井ひなたさん 
「やるからにはしっかり投票したいと思って動画を何回か見ました。 
“公園でボール遊びをできるようにする”と言っている人がいたので、その人がいいなと 
思いました」

ふだんから子どもたちを期日前投票に連れて行くなど、選挙を身近に感じられるように努めてきたという亀井さん夫婦。 
誰に投票するかを真剣に考える子どもたちの姿を見て喜びを感じていました。

父親の雄介さん

父親の亀井雄介さん 
「大人になる前に“選挙”を実体験できてよかったです」

「こども選挙」結果は・・・

開票作業の様子

そして、実際の市長選挙で現職の鈴木恒夫氏が当選を果たした日から1週間後。

小林さんたちは市役所の会議室に集まり、いよいよ「こども選挙」の開票です。 
インターネットによる投票も含め有効票数はあわせて199票。 
注目の結果は・・・ 
▼国松誠氏 86票 
▼相原倫子氏 57票 
▼鈴木恒夫氏 56票

大人の選挙とは違う結果となりました。

 

結果より見たかったのは

小林さんが結果よりも注目していたのは、投票用紙にある候補者へのメッセージ欄でした。

メッセージ欄

「学校の改革をしてほしい」、「平和にしてほしい」といった願いや、長引くコロナ禍をしのばせる「給食を机をつきあわせて食べられるようにしてほしい」といった願いも。 
子どもたちがまちの将来について自ら考えて書いたメッセージです。

小林さん

思っていた以上に多くの子どもたちがメッセージを書いてくれてうれしい。 
各候補者に届けたいと思います。

”意外とうれしい”

1票を投じた亀井家の子どもたちも、自宅のパソコンで開票結果を確認しました。

ひなたさん

自分が投票した候補が最も多くの票を獲得していたというひなたさんは、「しっかり考えて投票したので意外とうれしいです」と話していました。

母親の里美さん

母親の亀井里美さん 
「子どもと大人で結果が違っていておもしろかったです。今後は県知事選挙とか国政選挙にも 
こういう形で参加して、子どものうちから“みんなの1票でまちはつくれる”という体験を 
どんどんしてほしいです」

  • 岩本直樹

    横浜局

    岩本直樹

    経済・防災・選挙などを取材

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