2019年12月26日 (木)所在地・地名・表記の確認  【 三上 弥 】


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「NHKニュース おはよう日本」 令和元年12月14日(土)の放送から


こんにちは。
シニア・アナウンサーの三上弥(みかみ・わたる)です。


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静岡駅南口前の夕刻の光です。
このあと、午後5時ごろには暗くなる季節を迎えています。
冬至は過ぎました。
寒さは厳しくなっても、
日が出ている時間帯は長くなっていくので、
前向きな心持ちで令和2年を迎えましょう。



三上弥の「現場のことば」
第15回は、「所在地・地名・表記の確認」です。



 静岡駅南口の前は静岡市「何区」か?  


政令指定都市・静岡市の中心部では、大まかに言って、
東海道新幹線と在来線の線路よりも山側が「葵区」、海側が「駿河区」です。
方角で言うと、山側がおおむね北側、海側が南側になります。
NHK静岡放送局は、線路のすぐ近くに建っています。
線路よりも海側にあって、原則通り「駿河区」です。

では、静岡駅の南側はいかがでしょうか。
静岡駅南口周辺の「夕刻」の写真のうち、広い範囲は
「静岡市葵区黒金町(くろがねちょう)」に含まれます。

黒金町は駅の南北にわたって広がっていて、
たとえ線路の南側でも「黒金町」は葵区です。
この写真がテレビや新聞、雑誌、ネットに掲載されて、
所在地を「静岡市駿河区」と表記すると誤りになります。
「線路の海側は駿河区」という思い込みだけで判断して
取材先や地図による確認を怠ると陥りがちな罠(わな)です。

より細かいところまで詰めると、
手前の道路などは「駿河区」なので、確認は欠かせません。

報道関係者が新人のころから、
住所や名前、年齢などを入念に確認するよう叩き込まれるのは、
こうした「罠」に陥らないことにつながります。

静岡駅の駅舎や併設の商業施設も黒金町なので「葵区」です。



 固有名詞や住所はそれぞれ確認する  


この「連載」の読者は静岡市の住民だけではないので、
ほかにも例を挙げながら所在地について考えます。

東京都の「品川駅は品川区ではなく港区」に、
目黒駅は目黒区ではなく品川区」にあるというのは、
報道関係者、鉄道事業者、地理好きの人の間ではなかば常識です。
でも、一般に知られているかといえば微妙なところです。

駅名や建物といった固有名詞の名称と所在地の地名が一致しないこともあるので、
固有名詞や住所はその都度確認することが欠かせません。

新宿駅は新宿区と渋谷区にまたがっているので、
画面やコメントで区名を紹介するときに気をつかったことを思い出しました。

平成の大合併」で市区町村が変わったところでは、
地元の人々の間で古い地名の呼称が使われ続けていることも珍しくないので、
「最新」の住所表示の確認が大切です。



 多要素が混在する地名も 


ふだんであれば「どちらでもいいじゃないか」と感じる人が多くても、
放送の表記の面では、気をつかいます。
たぶん、新聞社や出版社の「校閲」部門でも事情は同じです。


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いちがや」という地名は、住所表示の一部では「市谷」(市谷○○町など)、
駅名ではJRと東京メトロが「市ケ谷」、都営地下鉄が「市ヶ谷」です。
大文字の「ケ」と小文字の「ヶ」が存在します。
写真は都営地下鉄の駅名標です。

駅の所在地は、旧国鉄・JRと都営地下鉄が千代田区、
東京メトロが新宿区です。

こうした事例もあるので、
特に事件や事故、鉄道のダイヤが乱れた時には、
発生場所の住所や所在地、駅名の表記の確認が、より慎重になります。


191226_mikami04.jpg山手線に新しくできる駅


山手線に新しくできる駅の名称の表記にも、
漢字、カタカナの大文字・小文字の区別、長音「-」の有無といった
表記上のチェックポイントが満載です。



 富士山頂 


最後に、
富士山頂」は県境(けんざかい)が確定していないので、
静岡県でもなければ山梨県でもなく、
どこの都道府県にも属していないことを確認しておきます。

雑学や地理好きの人にはよく知られている話で、
NHK「チコちゃんに叱られる!」でも取り上げられました。

令和2年の新春に、
本物の富士山や、年賀状や暦に印刷された富士山を見ながら、
そのてっぺんはどこの都道府県にも属していないことを
改めて確認してはいかがでしょうか。

頂の県境が未確定でも、
静岡県の地上からのぞむ「大きな」富士山は、
やはり静岡県の、そして日本の自慢であることに変わりはありません。



 新しい年を迎える 

令和元年は、天皇の退位や即位にちなむ行事、
ラグビーワールドカップ日本大会などを通じて、
日本の国旗や国歌に接することの多い年でした。

令和2年には東京オリンピック・パラリンピックが開かれるので、
ますます触れることが増えるでしょう。

令和2年はもうすぐです。
読者の方々も、よい年をお迎えください。

 

投稿者:三上 弥 | 投稿時間:14:40

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