2019年02月28日 (木)正しそうで、実は間違っていることば 【 三上 弥 】


こんにちは。
シニア・アナウンサーの三上弥(みかみ・わたる)です。

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月がかなり大きく見える日がありました。
真ん中から右下にかけて写っている塔と建物は、
NHK静岡放送局。
高架橋は、東海道線と東海道新幹線。
画像左下、高架橋のちょっと上、電灯色のまん丸が月です。
このブログの読者の近くでは、
お月さまがどのように見えたでしょうか。

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暦は冬から春に移り、
日中は暖かい日が増えてきました。
朝晩はまだひんやりしている日があります。

三上弥の「現場のことば」
第6回は、「正しそうで、実は間違っていることば」です。



「霜」・「霜柱」

」は、空気中の水蒸気が昇華(しょうか)して、
氷の結晶として堆積したものです。

昇華というのは、
気体が液体を経ずに固体になる現象のことをいいます。

寒冷地ではもちろん、真冬になると温暖な地域でも、
窓ガラスや岩石、植物の茎や葉に、
氷の結晶である「霜」が付いているのを見たことがある人がいるはずです。

霜が降りる、霜が降るという表現がよく知られています。

一方、「霜柱」は、地中の水分が毛細管現象で地表に出て、
細い柱状になって凍結したものです。
水分、つまり液体が凍って固体になるわけで、「昇華」ではありません。

霜柱が立つ、霜柱が生じるといった表現を聞いたことがあるでしょう。

」と「霜柱」は似ているようで、でき方も含めて「別の現象」です。
地中から盛り上がっている霜柱を見て、
「霜が降りている」というのは誤りなので注意しましょう。
あくまで、「霜柱が立っている」、「霜柱が生じている」、「霜柱ができている」です。



「水蒸気」・「湯気」・「蒸気」・「湯煙」

水蒸気」は、水が蒸発してできた気体です。
湯気と違って、見えません。

湿度を念頭に置けば、空気には水分が含まれるものの、
見えていないことを想起すると理解しやすいと思います。

「霜」の項目で触れたように、
気体の「水蒸気」が「液体=水」を経ないで「固体=氷の結晶」になるため、
昇華というのです。

水蒸気は無色透明の気体なので、
「白い水蒸気が見えます」というのは誤りです。

一方、「湯気」は見えます。
水蒸気が冷やされて細かい水滴=液体になったのが「湯気」です。
温泉や風呂から立ちのぼる湯気が「湯煙(ゆけむり)」です。

蒸気」は、液体が蒸発してできる気体のことを言います。
さらに、固体が昇華して気体になったものも含まれるので、
水蒸気や湯気よりも広い概念です。
水蒸気は見えないものの。
水以外の液体の蒸気もあるので、見えるものもあれば見えないものもあります。

火山の火口や蒸気機関車からは、煤煙(ばいえん)も含め、
無色透明の水蒸気のほかにいろいろな物質が含まれるゆえ、
「白い蒸気が見えます」「○○色の蒸気が上がっています」という描写は可能です。

ただし、噴出するのが水蒸気だけではないことや、語感としても、
「火口から湯気が上がっています」や
「蒸気機関車から湯気が出ています」というと違和感があります。

かつて理科の実験で、
やかんに水を入れて熱していくと、
やかんの口から出てすぐのところは何も見えないけれど、
ちょっと先では白くなって噴き出していることを確認しました。

何も見えない部分が「水蒸気」、
白い所が「湯気」と説明した担任の話は的確だったと改めて感じます。

似ているようで異なる「水蒸気」・「湯気」・「蒸気」・「湯煙」 
—— 定義を知っておくと役立ちます。



火山・温泉地帯の“あのにおい” …… 「硫黄」・「硫化水素」・「二酸化硫黄」

前の項目からのつながりで、
温泉や火山の多い地域で感じるにおいについて触れます。

「硫黄泉」ということばもあるので、
ゆで卵のような、腐敗したようなあのにおいを
「硫黄のにおい」という人が決して少なくありません。

しかし、硫黄は無臭です。
無臭なので、「硫黄のにおい」はありえないにおいで誤りです。
放送で言うと、誤報になります。

あのにおいの正体は、硫化水素や二酸化硫黄の場合が多いので、
知っておくとお得感があります。


今回取り上げた数々のことばも、きっと、
5歳の「チコちゃん」にとっては当たり前の知識なのでしょう。




投稿者:三上 弥 | 投稿時間:11:00

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