2019年01月31日 (木)違和感のある「発音・表現」を避ける 【 三上 弥 】


こんにちは。
シニア・アナウンサーの三上弥(みかみ・わたる)です。

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新しい年になって初めてのブログです。
ことしもよろしくお願い申し上げます。


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特別番組「俺たちのハイスクール」の放送前から放送中にかけて
メッセージをいただき、ありがとうございました。
番組の詳細は、
横尾副部長と後藤アナウンサーのブログに掲載しています。

三上弥の「現場のことば」
第5回は、「違和感のある『発音・ことば』を避ける」です。



「平成34年度」「平成36年」

「平成34年度」や「平成36年」が、行政機関の資料に載っていました。
違和感のある表現です。

「平成」は、ことし=平成31年4月30日までであることが広く周知されています。

予算や予定、見通しについて、
かなりの行政機関が西暦よりも元号を記載することはよく知られているものの、
すでに存在しないことが明らかな平成32年以降をそのまま記すのは誤りです。
誤りであることが明確なため、「平成34年度」や「平成36年」には違和感があります。

「西暦で記す」、「○年後・○年先のような形にする」、
「『新元号』のような名称にする」というように、
より適切な表記の仕方はいくつか思い浮かびます。

ことしの5月1日以降の日付や年を元号付きで表現するときは、
確認と配慮が必要です。



「市町」

「市町村」を「しちょうそん」と読むことに異論はないでしょう。
では、「市町」はいかがでしょうか。行政機関の文書に時々出てくる表現です。

放送で話すときは、言葉で「市町」のまま伝えることはなく、
市と町(まち)」というように、「と」を補って音声化します。

というのも、電子辞書で複数の辞書で検索しても、
市町で「しまち」という読み方は出てきません。
「しまち」と読むのは日本語として無理があり、違和感があります。
「しちょう」と読むと、市長と区別がつかない場合もあるでしょう。
近代になる前の都市の商業区画を「市町」という場合があるものの、
これは自治体とは別物で「いちまち」と読みます。

音声化したときに違和感がない表現のほうが好ましいので、
「市町」はそのまま使わず、「と」を間に入れて「『し』と『まち』」と読むのが基本です。

行政の現場で「しまち」と言っているのを聞いたことはあるものの、
放送現場のおすすめは、より違和感のない「『し』と『まち』」です。

原稿が「市と町(しとまち)」で、字幕が「市町」になっている場合もあります。
活字のみの場合は「市町」でも特に違和感がないので、
発音するとき「『し』と『まち』」にするよう心がければ大丈夫です。



「気象台・区検察庁・裁判所」

東京管区気象台、静岡地方気象台、仙台管区気象台は、
「とうきょう+かんくきしょうだい」、「しずおか+ちほうきしょうだい」、
「せんだい+かんくきしょうだい」なので、
「地名」プラス「管区気象台」、「地名」プラス「地方気象台」ということが分かるように発音します。
「とうきょうかんく・きしょうだい」、「しずおかちほう・きしょうだい」、
「せんだいかんく・きしょうだい」と区切って読むのは誤りです。

区検察庁」は、検察庁の組織で、簡易裁判所に対する検察庁です。
区検」と略されます。
沼津区検察庁は「ぬまづ・くけんさつちょう」であって、「ぬまづく・けんさつちょう」ではありません。
「地名」プラス「区検察庁」が、正しい発音の区切り方です。

裁判所はニュースによく登場するためか、
「地名」+「高等裁判所」、「地名」+「地方裁判所」、「地名」+「簡易裁判所」と、
正しい意味の通り発音している場合がほとんどです。
音声上の「安定感」があります。



重複表現による違和感

「違和感を感じる」、「過半数を超える」と言っている例に
何度か接したことがあります。

こうした表現は、内容が重複している表現です。
聞いてすぐに間違いと感じなくても、じんわりと違和感が生じてきます。

ほかによく接する例では、「返事を返す」、「射程距離」、「挙式を挙げる」、
「一番最初」、「一番最後」といった重複表現があって、
徐々に「何か変だな」「これで良かったかな?」という違和感が出てくる例です。

重複表現による違和感を防ぐためには、
活字や手書きの文字で意味の重なりに気づくか、
下読みなどで音読したときに感じた「ちょっと違うな」という気づきがポイントになります。



違和感のある「ことば・発音」を避けるために

違和感のある「ことばや発音」を避けるためには、
日本語の発音・アクセントを考える際、
意味を正しく伝えるという視点を大切にすることが欠かせないと考えます。
原稿の書き手やチェックする人が、完成版を出す前に音読するのも、違和感を防ぐ上で有効です。

例に挙げたものに限らず、
漢字がたくさん続く組織名や地名、合併で誕生した長い名前の組織名、法律名、罪名、
長い駅名や停留所名を音声化するときにも、こうした視点や音読の励行が役立ちます。

投稿者:三上 弥 | 投稿時間:16:00

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