2018年07月05日 (木)奥秩父縦走始末記・上【早坂 隆信】


5月の大型連休中、早坂は「石丸謙二郎の山カフェ」という番組で奥秩父を縦走した。

山梨、埼玉、長野の3県にまたがる日本百名山・甲武信ヶ岳(こぶしがたけ 2475m)から、
東京都の最高峰・雲取山(くもとりやま 2017m)まで、
3泊4日で山を歩きながら、毎日番組内で中継リポートをしたのだ。
4日も山中で過ごしたのは学生のとき以来である。
へろへろになりはしたが、ともかく歩ききった。
しかしあまりにへろへろになってしまったため、
筆をとるのが遅れた次第である。
「じゃあ、へろへろでなかったらすぐに書いていたとでも言うんですか?」
という意見はあるだろう。
仮定の話にはお答えできない。

ともかく、当時のメモと薄い記憶を辿ってその顛末を記す。
山岳縦走とはどんなものか。
そして早坂はいかにして奥秩父の山を歩ききったのか。

5月2日(水)曇り

朝6時台の新幹線で静岡を出て新横浜へ、横浜線で八王子に向かう。
平日朝のラッシュに60Lのザックは肩身が狭い。
が、こっちもれっきとした仕事である。
八王子から「スーパーあずさ」で小淵沢に。
小海線に乗り換えて信濃川上でディーゼル列車を降りる。
そこからタクシーをつかまえて昼前に長野県側の登山口・毛木平に着いた。

毛木平(もうぎだいら) 標高1433m
昼過ぎに登山開始。
新緑の森に鳥のさえずり。沢の音。涼しい風。

180705_hayasaka01.jpg 登山口の筆者。余裕があるころ

山にはクマもシカもいる。

180705_hayasaka02.jpg 怖ろしげな看板。こんなのに会ったらサヨウナラだ

千曲川源流部 標高1700m付近
しばらくは千曲川(信濃川)沿いを登る。
流れはまだ多い。体力・気力充実。

180705_hayasaka03.jpg 日本一長い川の、いちばん奥へ

しばらくしてポツポツ雨が降り始める。
2200m付近から残雪。
千曲川の水源地標を越え、稜線への急坂をどんどん登る。

180705_hayasaka04.jpg アイゼン携行は必須

沢筋を登りきり、稜線に出る。
風があり、気温は体感10℃以下。
樹林帯を抜けてまもなく、目指す甲武信ヶ岳が見えてきた。

甲武信ヶ岳山頂 2475m

180705_hayasaka05.jpg 甲州、武州、信州の境だから
「甲武信」だそうです

吹きさらしの中、翌日の中継に向けて機材の電波テスト。
電波状態が悪く手間取る。
冷たい雨が風に乗って体にバラバラと当たる。手がかじかむ。

やっとのことでテストを終え、冷えた体で20分ほど下って甲武信小屋に到着。

180705_hayasaka06.jpg なんてステキな佇まいだ

宿泊者は15名ほど。平日とあってか、さほど混んでいない。
きょうは標高1000mほど登ってきたが、疲れはほとんどない。
夕食のカレーをおかわりしておなかいっぱいになる。

深夜に荒れた天気に。
山小屋の屋根にばらばらと風雨が打ち付け、あまり眠れない。
あすの行程は大丈夫だろうか。

5月3日(木・祝)雨のち晴れ

夜明け前に風は止んだが、雨が残っている。
甲武信ヶ岳に登り返して山頂から中継をする計画だったが、
天候と電波状況を見て、山小屋からの中継に。

終了後、小屋のご主人にお礼を言って出発。
今日の目的地は笠取小屋だ。

木賊山付近 標高2300m
しばらくは霧の立ち込める森の尾根道を進む。

180705_hayasaka07.jpg 奥秩父のうっそうとした森の中

賽の河原 標高2400m
崩壊した岩砂が溜まるザレ場。
「賽の河原」という場所らしい。見渡す限り、白い砂と霧。

180705_hayasaka08.jpg

ここは此岸か、彼岸か

 

破風山避難小屋 標高2100m
笹平という笹だらけの場所で休憩。
風もまだ強い。
常に右側の山梨側から吹き上げてくるので、右の頬が冷たくなる。
避難小屋で休憩。昼食のおにぎりを食べる。

180705_hayasaka09.jpg

立派な建物。ありがたい

 

雁坂嶺手前 標高2200m
山梨と埼玉の県境の稜線をずんずん東へ。
標高差200mほどのアップダウンを繰り返し、山を3つほど越え、
立ち枯れの森を歩く。

180705_hayasaka10.jpg

ゲームなら強いモンスターが出そうな感じ

この頃から、だんだん右ヒザの内側が痛み出す。
歩き方を変えたら痛みが引くも、この先大丈夫だろうか。

 

雁坂峠(かりさかとうげ) 標高2072m
日本三大峠のひとつ。甲府と熊谷を結ぶ秩父往還の最高地点。
むかし、日本武尊や武田信玄も使ったとか。

180705_hayasaka11.jpg 日本人って「三大〇〇」が好きだねえ

ずいぶん歩いてきて、くるぶしが痛い。登山靴を脱いで休憩。
だんだん晴れてきた。

 

古礼山付近 標高2100m
5つ目の山・水晶山を越えたあたりの苔むした森。
一面苔に覆われている。
行き倒れるなら、こんなふかふかの場所がいい。
たいへん静かで、気持ちよく土に還れそうだ。

180705_hayasaka12.jpg 森はやさしいけど、少しこわい

古礼山からずんずん下って笠取小屋(標高約1800m)に到着。
名のある山をきょうは7つも越えてきた。
最後の下りはさすがに足にきた。
夕食は巨大コロッケ。
疲れた体に衣の油が染み込む。
2日歩いて、ようやく半分程度。
ヒザは大丈夫。くるぶしは痛むが歩行に影響はなさそうだ。

あすは4日間で一番長い行程になる。
少しでも眠っておかなくては。
中継機材のチェックを終え、
静かな星空の下、眠りについた。

(つづく予定)

投稿者:早坂 隆信 | 投稿時間:10:33

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