ハイビジョン特集 BShi 若き中国人監督たちが激変の中を生きる現代中国の庶民を撮る!
若き中国人監督たちが激変の中を生きる現代中国の庶民の姿をとらえるシリーズ「新的中国人」の第二弾。中国人監督にしか撮ることができない「中国人像」「庶民の心のひだ」「日常生活に秘めた思い」を、小型ハイビジョンカメラの長期取材でえぐり出す。[初回放送日] 2008年12月24日
ハイビジョン特集 (BShi)
北京市内に林立する高層マンション、その地下に広がるスペースに、暮らす人々がいる。地下の広いスペースをいくつもの部屋に区切り、北京に流入する人々に安く貸す。市内のあちこちにこうした地下室がある。いつか「地上」にあがることを夢見て暮らす者たち、逆に「地上」に生きることができなくなり逃げ込んできた者たち、「地下」にこそ安住の地があると感じる者たち、様々だ。
その者たちの内面を、馮雷監督は独特のインタビュー映像で描いていく。壁一面ミュージシャンの写真で埋まった3畳に満たない狭い部屋で「いつかは舞台に」と音楽の夢を語る出稼ぎ青年。延々と刺繍をし続け「なぜ都会の仕事に疲れ、人間関係に失望したか」を、笑いながら語りつづける保険会社の営業ウーマン。窓の無い部屋で恋人とじゃれ、新疆ウィグル地区の遊牧の仕事を思えば都会の苦労は何でも無い、と歌いながら語る新疆出身のミュージシャン。3人の男女にとって、それぞれの「地下室」での暮らしは何なのか?
| 馮雷監督プロフィール | |
| 1969年 | 北京生まれ |
| 1989−1993年 | 北京映画学院美術学科 |
| 1993−2000年 | 北京映画製作所で美術設計を担当、「太陽の少年」などを手がける |
| 2000年 | 独立制作を開始 |
| 2001年 | 処女作「イリの雪」を完成 |
| フランスLe reel scene映画祭でPrix du documentaire court賞ノミネート | |
[再放送] 2010年12月30日
午後10:00〜11:49 (BShi)
[初回放送日] 2008年12月25日
ハイビジョン特集 (BShi)
黒龍江省ハルビン。ロシア風、日本風の建物が並ぶ旧市街を見下ろす丘に、ひときわ巨大なマンションがそびえる。改革開放で「人生に成功した」人々が暮らす。丘の上と下は別世界。下は「人生の成功を逃がした」人々が暮らす昔ながらの下町。斜面に巨大な階段室。住人は天井と壁の装飾画に囲まれた螺旋階段を昇り降りする。
ある40代の女性、実業家の夫が成功を収めた、丘の上の住人だ。だが毎朝、螺旋階段をおりる足取りは重い。夫はビジネスで裏切られ投獄。果てしない裁判。別の女が夫に面会に来ることも知った。でも毎朝、螺旋階段を降り株式市場へ向かう。バブルがはじけて株価は乱高下してさんざんだ。思春期を迎えた娘は心を開いてくれない。成功のシンボル、「螺旋階段の上」に登った意味は何だったの?と女性の自問自答が続く。多くの中国人が、いま感じる虚無感、憂鬱な日常を、季丹監督が切り取っていく。
| 季丹監督プロフィール | |
| 1963年 | 黒竜江省生まれ |
| 1982−1987年 | 北京師範大学中国文学部 |
| 1988−2001年 | 日本に留学(横浜国立大学、京都精華大学)野中章宏氏を代表とするアジアプレスに加わる |
| 1993年 | Hi8カメラで中国東北部の少数民族および日本人残留婦人を取材し、テレビ朝日で放送された |
| 1994−1997年 | Hi8カメラでチベット題材の映画を2本作り、NHK教育テレビで放送されたほか、IDFA(アムステルダム国際ドキュメンタリー映画祭)に出品 |
| 2004年 | 北京で農民工の子供を取材した「パンチンさんの夢」はNHKで放送された |
| 2007年 | 釜山映画祭AND基金を受けてドキュメンタリー「ホスピス医院・空城一夢」を制作 |
朝、長江の岸で毛沢東の書を真似、咳払い一つさえそっくり、マッチも毛の愛用品を研究し身につける旅芸人。全国の町や村での観衆の反応は様々。主席への敬愛を重ねる人、ペテンと軽んずる人、文革を思い暗くなる人。主席の別荘を訪ねた芸人は「書斎に座り書をしたためたい」と若い係りに申し出るが変人扱い。だが通りがかりの年配の責任者が彼の書を見て感心すると、思わぬ展開…、陳監督は「主席が伝統的道徳を破壊したからこそ、今、カネの亡者の時代が来た。芸人を思い出のようにもてはやすカネの亡者たち。その姿を通じ中国人が決着出来ない毛の歴史的功罪を問いたい」という。
首都北京「天壇公園」に毎日集い、ひたすら西洋舞踏を踊るグループ。普通の中高年市民、だが踊る思いは様々。夫婦仲ままならぬリッチな中年女性、老いて孤独と闘う90代の紳士、住み慣れた家を都市計画で追われる熟年夫婦。みな文革、改革解放、激動の中国現代史を生き抜いた果てに、急速に近代化する首都でダンスのパートナーという「男女関係」に人生の支えを求める人たちだ。楊監督は「私は元ダンサー、彼らの世代独特の感情をダンスに見出した。過去『自由に就職し結婚すること』を無理な夢とあきらめた世代、今は自由経済のもと職や住まいを追われる。その無念を、踊る姿に感じて欲しい」という。
農村に広がる受験戦争、陝西省北部の貧しい町では貧しい男たちが時代遅れの三輪車を引き、稼いだ現金を子どもの教育に注ぎ込む。そしてこどもは親の期待の重圧に戸惑う。受験に挑む娘を持つふたりの車夫の一年追いかける。黎監督は「自分も農村の親の稼ぎで大学へ進んだ。映画に魅せられ今も映画を撮っているが、親の期待に応えたとは言い難い。三輪車親子を追い、今一度「親の気持ち」を知りたいし、また都会で学ぶ多くの農村出の若者が感じる重圧が親子の絆さえ歪めるさまを記録したい。」という。
上海の恋人の物語。旅行社で日本人のツアーアレンジに邁進する青年、両親は「中国人も日本人のごとく働き蜂になるか?」と案ずる。その両親は国営企業を引退しても年金では暮らせず、細々料理店を営む。一方美貌を武器に生きていこうとする恋人、仕事ばかりの彼に戸惑いながら、ふたりの将来に、と勝手にマンションを買ってしまう。親にとっては、どちらも「理解しがたい新世代」。開発で古い家並みが次々消える上海の都会にもまれる老若男女四人の日常を描く。郭静監督は「自分たちも上海の激変に戸惑っている。壊される古い街並み、変わる価値観、皆が、この先社会はどうなるの?と感じる不安を描いた。」という。