あしたをつかめ 平成若者仕事図鑑

no.70 社会起業家

インタビュー
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「人とつながり 社会を変えたい」 事業による社会貢献をめざして起業する「社会起業家」。
今回の主人公は、去年4月に東京都中央区と江東区で病児保育事業を立ち上げた社会起業家の駒崎弘樹さん(26)です。
その事業内容は、子育て経験豊富な近所の女性たちが、仕事に行く親に代わって、風邪などの病気で保育園に預けられない子どもの世話をするというサービス。多くの人々にこのサービスを広げたいと願う駒崎さんは、組織の経営者として事業を軌道に乗せるための資金繰りや仕組みづくり、そして、保育を担ってくれるスタッフを獲得することに努めています。
番組では、駒崎弘樹さんの仕事を通して、寄付金や補助金に頼らず事業による社会貢献に挑む社会起業家の仕事に迫ります。

社会を変えて豊かな暮らしを!自らのアイデアで立ち上がる!

■ 社会起業家とは? ■ 社会起業家になるには?
■ 収入・待遇は?■ 仕事の味

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 利益を追求し、自分の会社を大きくすることを目的とするのではなく、社会問題の解決や、人々の暮らしを豊かにするために、起業した人々のことを社会起業家と呼びます。地域活性化、教育、福祉、環境問題、国際貢献などその事業分野は様々。

 ボランティア団体や、いわゆるこれまでのNPO法人とは何が異なるのか?それは、会員や活動に協力してくれる人々からの寄付金や、行政などからの補助金だけに依存した形ではなく、ビジネスの手法を取り入れて、活動を長く続けていくための必要最低限の事業収入を得ることです。寄付金や補助金がもらえなくなったら、活動ができなくなってしまうのではなく、事業収入によって、持続性のある経済的に自立した組織をめざしています。

 その組織形態は、NPO法人のこともあれば、有限会社や株式会社といった営利企業と変わらない形態をとっていることもあります。しかし、いずれにしても、社会起業家は「利益至上主義」に走るのではなく、「社会を良くする」ことを目標に事業をしています。
◇全国の状況・今の状況  アメリカでは、「ソーシャルベンチャー(=社会起業家)」という概念が、新しい働き方、ひいては、新しい生き方として97年頃から、一部のエリートたちの間で注目され始めてきました。その背景には、ITベンチャーブームの時代に、利益を得て成功を収めた「ニューリッチ」と呼ばれる人々が、自分たちの経営戦略を使って世の中の変革のために立ち上がりたいと動き始めたこと、NPOなど社会貢献に努める市民団体に対して、政府からの補助金が下りにくくなってきたことなどが背景としてありました。
 そんな中、アメリカでは、2000年秋ごろから、ビジネスエリートの養成機関である、ハーバード・ビジネススクールとスタンフォード・ビジネススクールが、ソーシャルベンチャーの講座を設け、多くの若者がそこに参加するようになりました。

 一方、日本でも、ここ3〜4年の間で「社会起業家」という生き方が注目されるようになり、4年前からは社会起業家を支援するNPO法人ETIC.(エティック)によって、社会起業家を目指す人々が、そのビジネスプランを発表し、競い合うコンテストや、養成講座が開かれています。
 コンテストの応募者は年々増えており、一番最近行われた2004年度のコンテストには、全国から100件近い応募がありました。その事業分野で特に多いのは、教育、地域活性化、福祉、国際貢献で、その他にも食やスポーツに関わる分野で事業を起こそうとする人々もいます。

 経済が低迷している今、会社のために働くことに魅力を感じない若者たちや、収入だけではなく、社会に役立てることにやりがいを求め、自らその活躍の場をつくりだそうとする若者たちが、これらのコンテストや養成講座に数多く応募しています。
 また、去年からは、慶応大学でも社会起業家のことについて学ぶ授業が開かれています。
◇どんな人が向いてるの?  ビジネスプランコンテストの審査委員長の方に、どんなところを審査のポイントとして見ているのか聞いてみたところ、第一に挙げられたのは、その人自身の人間的魅力とどれだけ社会貢献したいのかという意欲だと言われました。
 どんなに優れたアイデアや事業計画があっても、そこに賛同し、協力してくれる人々がいなければ、「社会を良くしたい」という思いはかないません。「思いがあるところに人は集まる」。利益やお金で人を動かすのではなく、社会起業家には、信念や熱意で人を動かす力が求められ、人々の信頼や共感を得ることが大切だそうです。

 そのため、まず第一に、社会に対する問題意識が高い人、誰か困っている人のために役立ちたいと思っている人が、社会起業家に向いているといえるでしょう。
 審査委員長の方によると、ビジネスモデルや事業計画は、やっていくうちに、あるいは養成講座などで学ぶことができるため、あえていえば、それを事業を行っていく中で臨機応変に変えていける柔軟性が必要だと言っていました。
■ 社会起業家になるには? ■ 社会起業家とは?
■ 収入・待遇は?■ 仕事の味

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◇どうすれば社会起業家に?  社会起業家になるための専門学校はありませんが、前述のNPO法人ETIC.(エティック)が主催する養成講座やビジネスプランコンテストはあります。
 ただし、養成講座の方は、参加するための審査基準が高く設定されていて、かなり具体的なビジネスモデルや事業計画の現実性が求められています。

 一方、ビジネスプランコンテストは、アイデアレベルでも応募できるようになっているので、比較的、門戸は広いといえるかもしれません。また、コンテストで入賞できなくても、一次審査だけでも通過すれば、マネジメント講座や会計講座など、様々なサポートプログラムを受けることができます。

 また、社会起業家の仕事を肌で感じるには、既に事業を起こしている社会起業家の下で働く、インターンシッププログラムを利用するのも良いかもしれません。このようなプログラムも、NPO法人ETIC.(エティック)が用意しています。
 慶応大学や多摩大学では、「社会起業家論」などの授業を設けています。
 さらに、既に事業を起こしている社会起業家の事例については、「社会起業家フォーラム」のホームページで知ることができます。
◇ステップアップの道すじ  事業を立ち上げるためには、資金が必要です。
 自分の貯金を利用したり、親戚や友人などに頭を下げてお金を借りる人もいれば、企業や財団などが用意している助成金プログラムに、申請書と企画書を提出してお金を得る人もいます。また、行政からの補助金を得る人もいます。
 駒崎さんの場合は、今の事業を立ち上げるときには、30ほどの企業や財団からおよそ800万円の助成金を得ました。そのような助成金プログラムについては、NPOWEB(http://www.npoweb.jp/)などで知ることができます。

 基本的には、事業収入によって経済的に自立した組織を目指す社会起業家ですが、立ち上げ初期の段階において事業が軌道に乗るまでの間は、こうした助成金などが欠かせません。
 駒崎さんは、事業立ち上げ2年目の来年度も、いくつかの団体に助成金を申請しようとしていますが、3〜4年後には、事業のみによる収入をめざしています。
◇窓口・相談先 □ NPO法人ETIC.(エティック) □ http://www.etic.or.jp/ □ 社会起業家フォーラム □ http://www.jsef.jp/

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■ 収入・待遇は? ■ 社会起業家とは?
■ 社会起業家になるには?■ 仕事の味

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◇収入のめやす  社会起業家の収入は、その事業内容や事業を立ち上げてからの時期や状況によって様々です。駒崎さんの場合、今の月収はおよそ20万円です。事業を立ち上げてから1年目の時期なので、会社員で言うところの「初任給」といえるでしょう。
 また、社会起業家自身が経営者であるため、自分自身でどれぐらいに設定するかによって異なります。
◇社会起業家のある一日

駒崎さんの一日(12月)
ある一日

◇生活サイクルと休日  早朝から、病児保育の依頼電話の受付、それが終わればスタッフとの会議が続き、さらに事務所の外で動いている大学生のインターンや社会人のボランティアスタッフとメールのやりとり。一日にやりとりするメールの数はなんと、200件以上!そのため、駒崎さんにはゆっくりと食事をとっている時間さえありません。近所の喫茶店やコンビニなどで買ってきた簡単な食事で済ませてしまうことがほとんどです。
 土曜日、日曜日、祝日は営業を休んでいるため、極力休日に使おうと努めているそうですが、提携している小児科医との打ち合わせや講演依頼などが来て、休めないこともあるみたいです。休めるときには、映画や買い物などを楽しんでいるそうです。

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■ 仕事の味 ■ 社会起業家とは?
■ 社会起業家になるには?■ 収入・待遇は?

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◇おいしさ  自分のアイデアで社会に役立つことができる、さらには社会を変えられる可能性がある。それが社会起業家の仕事のやりがいだと駒崎さんはいいます。また、社会起業家の養成講座に参加している人たちも、誰もやっていなかったことに挑戦するというワクワク感があると言っていました。
 誰もが社会変革にチャレンジしていけるという希望を持ってもらえるように、自分はその道を切り開く存在になりたいと、駒崎さんは力強く語っていました。
◇苦さ  誰も今までやってこなかった分野に、ビジネスを展開しようとしているので、なかなか事業の参考となる事例がありません。駒崎さんも、今まさに試行錯誤しています。しかし、様々な分野の専門家にアドバイスをもらったり、また、何よりも日々、共に働いているスタッフたちと話し合いを重ねていく中で、より質の高い事業展開をめざしています。
 誰も挑戦してこなかったビジネスモデルを作り上げることは、大変だけれども、起業家にしか味わえない楽しさだと駒崎さんはいいます。

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