宮城ではカップ麺を"カッペロ"と呼ぶ?

今回のみやぎUP-DATEでは、こちらの投稿にお応えします!

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「カッペロ」、皆さんは使いますか?
調査してみると面白いことが分かりました!


どのくらい知られてる?

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安藤さん
「まずは街なかで、『カッペロ』を知っている人がいるか調査します!」


街行く人の声を集めてみると…

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「カッペロってなに…?」

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「知らない…知ってる?」
「知らない」

麺類のプロ、そば店でも聞いてみました。

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「わからないですね…あなた(奥にいた店員さん)知ってる?」

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「知らないです」

調査は終わってしまうのか?と思ったその時…

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「カップラーメンの、カップの麺じゃないですか?
中学校から高校生くらいの時に使っていたかな」

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「カップラーメンのことかなみたいな。使ってはいないけど誰かが言っているのは聞いたことがあるかな。」

50人に調査したところ、「カッペロ」を知っている、あるいは聞いたことがあると答えた人は5人と少ない結果に。


専門家に聞いてみよう!

「カッペロ」は本当に方言なのか、仙台弁に詳しい仙台高等専門学校の武田 拓教授を訪ねました。

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安藤さん
「『カッペロ』というのはカップラーメンを指す言葉なんでしょうか?」
武田教授
「全国的には若い人は『カップラ』と言うようですが、この辺(宮城県)では『カッペロ』というふうに言う人がいます。」


しかし、なぜカップラーメンを「カッペロ」というのか。
実は「ペロ」という言葉にはこんな意味があったんです。

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武田教授
「元々宮城県、岩手県の旧伊達領は、うどん・麺類のことを『ペロ』と言ったようです。」


「ペロ」という言葉が誕生した年代は定かではありませんが、昭和30年代に発行された宮城県史の方言集にその記述があります。

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武田教授
「ここに『ぺろ』または『ぺろぺろ』と書いてあって、大人が子供に向かって使う言葉、小児語でうどんの意味だということが書いてあります。
軟らかくて喉越しが良いですからその擬態語として使われていたんでしょうね。」

元々はうどんを意味する言葉でしたが、使用されるうちに麺類全般を指すようになったのではないかと教授は推測しています。

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安藤さん
「『カッペロ』もその『ペロ』から来ているんですよね?」
武田教授
「そうですね、昭和40年代にカップラーメンが売り出されますから、『カップペロ』が『カッペロ』になったか、『カップラ』の“プラ”が『ペロ』になったか、そんなところではないでしょうか。」


「カッペロ」は「ペロ」から進化した新たな方言ということなんですね。
昔は使っていた・聞いていたという人でも、現在多くの人が日常的に使う方言ではなくなっているようです。


使っている地域も?

武田教授から、「大崎市付近だとより馴染みのある言葉かもしれない」と聞き、大崎市古川で再び調査してきました。
さっそく聞き込みを始めると…

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「(幼児と)一緒に食べるときは『ペロ食べる?』って言うかもしれない」
「おばあちゃんに『ペロ食べるか?』って今でも言われます」

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「カッペロ」を知っている・使っているという人は、32人に聞いたうちのおよそ半数!
仙台と比べると、古川ではかなり馴染みのある言葉のようです。


進化形も!

そんな中、新たな「ペロ」の使い方に出会いました。

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「『カッペロ』と『煮ッペロ』ってありますよね。」

さて、ここで問題です。
「煮ッペロ」とは何でしょうか?

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岩間さん
「『ペロ』は私はうどんのイメージが強いので…煮込みうどん!」


正解は…

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「袋入り麺」のことでした!
煮て作るから「煮ッペロ」と呼ばれているそうです。

もう1問!

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「アカペロ」とは何を指す言葉でしょう?

岩野さん
「えー、分からない!赤味噌で作るラーメン!笑」


正解は…

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ケチャップ味のパスタ、ナポリタンのことを「アカペロ」という人もいるんだそうです!
赤いペロ、ということのようです。


さまざまな使い方があるペロですが、武田教授はその理由として「『ペロ』が擬態語として使いやすいので、個人や小さなグループの中でいろいろな表現が生まれやすいのではないか」と話していました。


安藤のひとこと。

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安藤さん
「新しい食文化が生まれると、言葉もまた進化していきます。
宮城ならではの食文化が育まれることで、また新しい『ペロ』の使い方が生まれるのではないかと期待したいと思います。」





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