顔が崩れてしまった白石の磨崖仏、現況を教えて!

今回のみやぎUP-DATEでは、こちらの投稿にお応えします!

20220929_toukou.JPG
とにかく見に行ってみよう!

白石市の山あいを進んでいくと…

20220929_konnnitiha2.jpg

安藤さん
「急に視界が開けましたね。
ありました!
すごい迫力ですね。思ったよりも大きいです。」


崖に仏像が彫られていました。
こうした自然の崖や石に彫刻した仏像を磨崖仏といいます。

この磨崖仏、高さはなんと約20メートル!
見上げる首が痛いほどです…

しかし投稿に合った通り、顔が崩れています。
東日本大震災で崩落し、今もそのままの状態になっているのです。


誰が作ったの?

近くに住む吉野 敏子さんにお話を伺いました。

20220929_yosino.jpg

吉野さん
「作ったのは我妻さんっていう人です。もう亡くなった方なんですけれど。」

できたときは多くの人が訪れたという磨崖仏。
我妻※いな治さんという人がたった一人で、手彫りで作ったものだといいます。(※「いな」は胞の下に衣)

制作にかけた年月はなんと6年!

どんな人物だったのか、我妻さんと親しかったという川村 恒夫さんに電話で聞いてみると、

20220929_kawamura.jpg

川村さん
「我妻さんは、考えられないような冒険的なお方でした。」

とのこと。
崖に20メートルの仏像を彫るほどのアグレッシブな方だったようです…
なかなか想像がつきません。


作られた当時を知る人も!

我妻さんが仏像を彫るきっかけは、近くのお寺とのつながりだったといいます。
当時を知る人がいると聞き、そのお寺へやってきました。
我妻さんの写真が残っているということでさっそく見せてもらうことに。

20220929_agatuma.jpg

威徳寺住職・半澤寛宥さん
「こちらのお二人いる方の、向かって右側のグレーのスーツを着てらっしゃる方が我妻さんです。」

ガラス店を営み、物作りが好きだったという我妻さん。
檀家としてこのお寺によく通っていました。
地域の人々の生活を見守ってくれる大きな存在が欲しいと住職に申し出たそうです。

20220929_hannzawa.jpg

半澤さん
「ちょうど檀家さんの我妻さんとお話しする機会があって、(仏像に)地域の方々を見守っていただきたいと。
『じゃあ私も観音様を近くに彫ってみよう』というような具合で、こんなところに彫れるのかなと大変驚きました。」

そして我妻さんは設計から工事まで、ほとんどの工程を一人で成し遂げたそうです。

完成当時の写真を見せていただくと…

20220929_kao.jpg
白くて綺麗なお顔がありました。
「最初から最後まで、自分で絵をかいて自分の感覚で彫られたということをお聞きしていました。」と語る半澤さん。
信じられないような規模ですね…


それから30年。
我妻さんは亡くなり、仏像を修復するにも多額の費用がかかるため、修復の見通しは立っていません。
お顔こそ拝めませんが、今も地域の人々の生活を見守ってくれているといいですね。


安藤のひとこと。

20220929_matome.jpg

安藤さん
「地震などの災害で損壊してしまった文化財、県内にも少なくありません。
その設計当時の状態に正確に戻すことができるのか、そもそもその費用 どうやって賄うことができるのか。
地域は難しい問題に直面しています。」

 



みやぎアップデートでは皆さんから「気になる・知りたい」を募集しています。
投稿は、NHK仙台放送局1階の投稿ボックスかこちらの投稿フォーム、
またはツイッターで #みやぎUPDATEをつけてお送りください。