宮城のオオカミ伝説

今回のみやぎUP-DATEでは、こちらの投稿にお応えします!

と、その前に…

問題です!

これ、何と読むでしょう?

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正解は…

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「おいぬいし」でした!


ということで今回の投稿はこちら!

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「狼石」だけじゃなく「狼坂」もあるんですね…!
どんな由来があるのか?今回はジャス隊が調査してきました!


実物を見に行こう!

さっそく、泉区北中山にやってきました。
「狼石」の看板にある矢印に従い進んでいくと…

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隊員
「想像より生い茂っています…
あ、すごい!石碑がいっぱいあります!」

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開けた場所にたくさんの石碑がありました。
1970年代、中山の宅地造成が行われた際に、街道沿いにあった石碑をここに移動したそうです。
その中の一つとして「狼石」がありました。

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隊員
「ものすごく大きいというわけではないんですけれど、厳かというか存在感があります。
でもなんでオオカミなんでしょうね?」

看板が立ててありますが、石碑自体にはオオカミの文字は刻まれておらず、「三峯山」という文字と建てられた年号だけが刻まれていました。


この石碑には“ある伝説”が!

その伝説の主の子孫がいるということで、隣町の実沢地区へ向かいました。

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91歳になる永澤 庄一郎さんと、息子の妻・和子さんです。

庄一郎さん
「私の5代前の先祖の話です。
庄之助っていうじいさんが、まきを積んで北山まで運んでいく帰りにオオカミに会った。
そのオオカミが口を開けてよだれを垂らしていたので見たら、イノシシの骨が刺さっていた。
じいさんがそれを取ってやると、それからそのオオカミは庄之助じいさんの帰り道必ず見送るようになったと聞いています。」

永澤家では、庄之助さんのこの話を後世に残そうと「狼石」を立て、毎年お赤飯や煮物などをお供えし供養を行っています。
庄之助さんの話についてお二人は

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和子さん
「鶴の恩返しじゃないんですけれど、そういう昔のオオカミにでも心があって人間の慈しみとかそういうのを感じ取れる。」
庄一郎さん
「狼石をまつるのもオオカミに対するこの世の家族の務めだと思ってやっている」

と話していました。
こんな素敵なエピソードがあったんですね。


どうして「三峯山」と刻まれていたの?

「狼石」の伝説は分かりましたが、石碑に刻まれた「三峯山」にはどんな意味があるのでしょうか?

その謎を解くべく、専門家を訪ねました。
6月に仙南温泉軌道についてお話を伺った村田町歴史みらい館の石黒館長です。(仙南温泉軌道の記事はこちら!)
石黒さんは動物にまつわる石碑を研究しています。

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石黒館長
「石碑に刻んである『三峯山』は、三峯山大権現を表してまして、ちょっと遠いんですけれど埼玉県の秩父に三峯山大権現(今の三峯神社)があります。
ここの神社のお使いがオオカミなんですけれど、本社の方では『おいぬさま』って呼ばれています。ご利益はメインが『火伏(ひぶせ)』に『盗難除け』とか、畑がシカやイノシシに荒らされるので『害獣が来ないように』というもので、かなり広く信仰されている神社なんです。」

生活に身近なご利益があるということで、「三峯山大権現」のおいぬさまは東北でも広く信仰されていたといいます。
「狼石」はオオカミをまつるということで、三峯山の文字が刻まれたのではないかと石黒さんは話していました。


「狼坂」は?

さて、投稿にあったもう一つのオオカミ「狼坂」ですが、こちらは東北大学医学部構内にあります。

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ここには平安時代末期の武将・源義家が、悪さをするオオカミを退治したという伝説が残されています。
石黒さんに伺ったところ、「昔のあのあたりは北中山と同じくオオカミが多かったため、その名がつけられたのでは」と話していました。


安藤のひとこと。

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安藤さん
「石碑というと何気なく通り過ぎてしまうものだと思うんですけれど、よくよく調べてみると地域の意外な歴史や物語が隠されていると思います。
みなさんも身近な石碑に目を向けて調べてみると面白い発見があるかもしれません。」





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