岩間瞳キャスターが取材!「仙台門松」江戸時代の姿を街に

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こちら、このお正月にNHK仙台放送局の玄関に飾られた門松です。
みなさん、門松というと
このような「竹を斜めに切って3本立てたもの」を思い浮かべるのではないでしょうか。

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年の瀬の仙台市役所で見つけたのは、こちら。江戸時代の門松を再現したものです。
仙台藩の領内で飾られていた門松を
「仙台門松」として復活させようという取り組みが進んでいます。

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よく見てみると、左右には見上げる高さの松の木。
上で竹が渡され、しめ飾りがついています。

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年始のおみやげを求める人でにぎわう、菓子店にも…。

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仙台駅近くの商店街にも、ありました。
門松の前には、買い物の途中で足を止めて見入る人の姿がみられました。
この、仙台門松。10年ほど前に始まった復活の取り組みが広がり、
ことしは、県内で30基以上がたてられました。

仙台門松をたてた呉服店 西村牧里子さん
「店の中から見ていても、街ゆく方々が皆さん楽しそうにご覧になります。
仙台人みんなで街を楽しくしていけたらと思います」

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中心になって取り組んでいるのが
仙台市博物館の元職員で、郷土史研究家の菅野正道さんです。
生まれも育ちも仙台で、街並みがどんどん変わっていくことにさびしさを感じていました。

菅野正道さん
「いつの間に仙台は
歴史を感じさせないような街になったのだろうと、ずっと思っていたんです」

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そんななかで見つけたのが、
江戸時代の版画絵にあった、仙台城下の門松です。
その名のとおり「松」が使われていたことが分かりました。

菅野正道さん
「まさに門のような形をしているので、これなら“門松”といってもいいよなと思いました」

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菅野さんによると、年中枯れることのない松は
新しい年に年神様がやってくる際の目印になると考えられていたそうです。

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調べを進めると、中心の「ケンダイ」という飾りが
仙台門松の大きな特徴であることも分かりました。
お供え物をくくりつけ、その家の主が紅をさして仕上げます。

こうした材料をそろえることがだんだん難しくなり、門松といえば「竹」となった現代。
菅野さんは、仙台門松を復活させることが
「まち」を思うことにつながるのではないかと考えました。

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菅野正道さん
「もともとこうだったんだよ、ということがどこかで感じられれば
仙台の城下町のアイデンティティーを伝える
ひとつの役割を果たすのではないかなと思いました」

江戸時代の門松をどう、忠実に再現するか。
史料に頼るだけでは限界があると感じていたなか、13年前、なんと“現物”に出会いました。

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仙台門松をたて続けている家が、市内にあったのです。
東日本大震災のあと始まった、歴史資料が失われるのを防ぐ取り組み。
博物館職員として訪ね回るさなかの発見でした。

菅野正道さん
「そんなことがあるんだ、と背筋がゾクゾクしました。
 “これだったらできるぞ”ということになって、話を具体化させていきました」

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学芸員仲間などの力を得て作り方の研修会を重ねるにつれて、
取り組みに賛同する企業や団体も増えていきました。

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12月27日、酒蔵で門松作りがあると聞いて、菅野さんと訪ねました。

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作業をリードするのは、蔵の6代目です。

酒造会社 6代目 森徳英さん
「歴史の復興という意味では、われわれみたいな昔からある伝統産業が
もっと意識して関わっていかなければならないと思います」

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地元の文化を守るのに一役買おうと、2年連続の参加です。
研修を受けた花屋さんに手ほどきを受けながら、進めます。

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しめ飾りの材料は、この蔵で使っている酒米の稲わら。
伝統にならうとともに、いい酒が造れるようにという職人たちの思いも込めます。

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作業を始めておよそ3時間、いよいよ仙台門松ならではの飾り「ケンダイ」です。
酒蔵の主が、紅をさしました。

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酒造会社 6代目 森徳英さん
「たつ年・竜年なので、まさにこのわらの力強い感じに象徴されていると思います。
さらにおいしいお酒を造って、皆さんをお待ちしています」
郷土史研究家 菅野正道さん
「いま仙台がこうなったのも、たくさんの人が長い時間をかけてやってきた。
その中で毎年飾られてきた門松ですから、それを思い出しながら見てほしいです」

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ことし、仙台門松は30基以上がたてられましたが、酒蔵や呉服店のほかにも
温泉宿やホテル、商業ビル、意外なところでは仙台うみの杜水族館も参加していました。

仙台門松を復活させるために
材料を集めるのも、冬の寒い中でたてるのも、簡単なことではありません。
それでも、「城下町の風情を後世に残したい」という強い思いが皆さんにあるから、
取り組みが続いていくのだと感じました。

【取材:岩間 瞳キャスター】


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