「ことしにかける2024」 自身初の三冠 囲碁棋士 一力遼さんの思いは

囲碁のトップ棋士、一力遼さん。去年、自身初となる「七大タイトル」での三冠を達成し、日本囲碁界の頂点に君臨している若手棋士です。仙台市出身の一力さん。ますますの活躍が期待されることしにかける思いは、さらなる成長を求める強い思いでした。

(NHK仙台 岩田宗太郎)


【名実ともに日本囲碁界の頂点に】

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囲碁棋士、一力遼さん、26歳。囲碁には「七大タイトル」と呼ばれるタイトル戦があり、一力さんは今、このうちの「棋聖」、「本因坊」、「天元」のタイトルを持っていて、去年、自身初の「三冠」を達成しました。7つのうち3つのタイトルを保持しているのはただ一人で、日本囲碁界の頂点に君臨しています。

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2023年12月に3つめのタイトル「天元」を獲得した直後に、NHKのインタビューに応じてくれました。冒頭で、三冠となった気持ちを質問したところ、「少し時間がたって、三冠の実感がでてきました。点数を付けるとすると100点満点中の80点。昨年の時点での実力を出せた」と振り返り、その充実ぶりに満足しているようでした。

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囲碁は、黒と白の石を交互に打ち、陣地を囲んで確保していくゲームです。石を囲んで取ることもでき、最終的により多くの陣地を確保した方が勝ちとなります。

一力さんは若手や女性棋士との研究会を積極的に行っているほか、囲碁を知らない人にも知ってもらおうと、その魅力を伝える活動にも力を入れています。

「囲碁は、毎局違う展開になるのが魅力です。攻略法を見いだすのが難しい。奥の深さといいますか、思考力とか、集中力を養うことにもつながります」

 

【精神面での成長を実感した1年】

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仙台市出身の一力さんが囲碁を始めたのは、5歳ごろのこと。その奥深さにみるみるのめり込んでいったといいます。

「祖父が有段者ぐらいの実力がありまして、初めの頃はよく打っていました。探究心っていう部分に関しては囲碁を始めた頃から今も変わらず続けて持っています」

若手の中でも、その実力から将来を有望視されていた一力さん。好きな食べ物を聞いてみると・・・。

「宮城の食べ物で好きなものは、牛タンというとありきたりですが、そのほかにははらこ飯が好きです。海産物がとても好きなので」

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去年はまず、最高峰のタイトル戦「棋聖戦」で防衛を果たし、その後は次々に2つのタイトルを獲得しました。このうち、最も印象に残っているのが「本因坊戦」です。その相手は、国民栄誉賞も受賞している、井山裕太二冠。

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一力さんは、これまでに何度も井山二冠とタイトル戦でぶつかりました。しかし、その挑戦を何度も阻まれてきました。これまで気持ちの面で押されてきたといいます。今回も3勝1敗と、タイトル獲得まであと1勝と迫ったあとに、連敗して3勝3敗に。

最終局までもつれ込んだ当時の心境について「いつ対戦しても手ごわい相手。第5局、第6局で決めたいという気持ちがありましたけれども、苦しい時間帯も続きました」と振り返る一力さん。

それでも、最後は見事に持ち直して「本因坊」を獲得。本因坊戦では精神面での成長も実感できたと言います。

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「大一番を経験することも多くなり、メンタル面も強くなりました。また、勉強方法を変えたり、ランニングや水泳を始めたり、オフの過ごした方も意識するようにしているのも、いい効果が出ていると感じています」
「対局をしていると、この手は良かったとか悪かったとか、打っているときにも気づくことは多々あるんですね。そこで意識がどうしても過去の場面に戻ってしまいがちなんですけれども、そこで過去のことはとりあえず一旦置いておいて、今は現局面に集中するという切り替えができるようになった。そういったところの意識は、以前よりよくなっていると思います」

最後に、一力さんに今年の抱負を書いてもらうと、「昇」の字を選びました。

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この日締めてきたネクタイの模様、「竜」ともかけて、さらなる活躍を誓いました。

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「『昇』です。国内戦も国際戦も、まだまだ自分自身成長できる余地はある。さらに上にのぼっていくという思いでこの字を選びました。ネクタイは、竜をあらわしているんですが、ことしは辰年ということもあるので、昇り竜、昇竜。ことし1年さらにのぼっていけるようにという思いを込めてつけてきました。もっと多くの方に囲碁の魅力としてもそうですし、棋士という職業の魅力を知ってもらったら嬉しい」

 


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仙台放送局記者 岩田宗太郎
2011年入局
宇都宮局、科学・文化部を経て
2022年8月から仙台放送局
仙台では、ホヤをさばいては味わう日々を過ごしています