"仙台フィル"50周年 いくつもの困難乗り越え 演奏に込めた思いは
仙台市を拠点に活動を続ける、プロのオーケストラ、仙台フィルハーモニー管弦楽団。
ことし創立50周年を迎え、今月から記念の公演が始まりました。
東日本大震災や新型コロナの流行。
いくつもの困難を乗り越えた楽団の歩みと演奏に込めた思いを、
コンサートマスターの神谷未穂さんに聞きました。
(仙台局 岩田宗太郎)
【地域に根ざしたオーケストラ“仙台フィル”】
仙台フィルハーモニー管弦楽団は、
仙台市を拠点に、東北地方を中心に活動を続けるプロのオーケストラ。
1973年に、宮城フィルハーモニー管弦楽団として誕生し、
翌年には初めての定期演奏会を開催して本格的に活動を開始。
その後、名前を「仙台フィル」に変更し、学校を訪問して演奏会を行うなど、
音楽文化を広める活動も続けてきました。
楽団員のまとめ役、コンサートマスターの神谷未穂さんは、仙台という地域に根ざした
オーケストラであることを常に意識していると、楽団の思いを教えてくれました。
「仙台が楽都と言われること、これをすごく私達の楽団は本当に大切にしていまして、楽都のオーケストラにふさわしい活動をしていきたいと思っています。 子どもから大人まで、いろんな世代の方々に演奏を聴いていただくチャンスがありまして、本当に地域に根ざしているといえるのではないかなと感じています」 |
【震災、コロナを乗り越えて】
2011年の東日本大震災のあとには、ボランティアで避難所での演奏会を行うなど、
被災地に寄り添ってきた仙台フィル。
神谷さんは、音楽で人々の力になりたかったと当時を振り返ります。
「地域に根ざしたオーケストラだとみんなが思っていたので、その地域が大変なことになってしまって、自分たちは何ができるだろうかって考えたときに、自分たちは本当に音楽しかないと思って、音楽を届けたいと。音楽でほんの少しでも気分を癒していただきたいなって気持ちから自然に始まりました。 私たちの本拠地のホールも壊れてしまって、ホールが復活したときのコンサートも本当に印象に残っています。 ドヴォルザークの『新世界』という曲を演奏したんですけれども、その時にお客様が“お帰り”っていう垂れ幕を持っていて。たくさんのお客さんが待ってくださったこと、それが自分の音楽人生の中でも一番感動したコンサートですね」 |
その後、経験したことのない危機が訪れます。
新型コロナウイルスの影響で2020年2月末から4か月間、
全く演奏会が開催できない状況が続きました。
どのようにしたら、コロナ禍でも演奏ができるのか、
距離をとるなどの感染対策を模索しながら、徐々に活動を再開していきました。
「本当に私達はやっぱり音楽が大好きでそしてお客さんの前で演奏するのが、もう自分たちの何よりの宝なんだなと感じました。震災のときもそうでしたけれども、本当に当たり前だったことが当たり前じゃなくなってしまって、一つ一つのコンサートに対しての意気込みというのが本当に以前によりもさらに増したと思うんですよね」 |
【感謝と躍進を誓う、50周年の公演会】
いくつもの困難を乗り越え、50周年を迎えた仙台フィル。
神谷さんは、「感謝」と「躍進」を誓う公演を行っていきたいと意気込んでいました。
「夢の世界に、日常と違う世界に行くっていう、そういったことで自分の想像力とかが刺激されると思うので、ぜひ皆さんに、それは何か日常に戻ったときに、前向きな気持ちになる、新たな目標が持てるかなと思うので、ぜひコンサート会場にいらしていただきたいと思います」 |
今月21日に行われた「50周年記念演奏会」は、満員となる盛況ぶりで、
客席からは大きな拍手が送られていたということです。
仙台フィルハーモニー管弦楽団は特別公演や定期演奏会以外にも、
さまざまなイベントで演奏を行っています。
この機会に、オーケストラが奏でる生の音に触れてみるのはいかがでしょうか。
岩田宗太郎 記者
2011年入局
宇都宮局、科学・文化部を経て
2022年8月から仙台放送局