"新しいデザインの畳作りを" 栗原の老舗畳店の挑戦

和室が減って需要が減っている畳。
そうしたなかで新しいデザインの畳作りに挑戦している栗原市の畳店があります。
大崎支局の黒澤常幸記者が取材しました。


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栗原市若柳にある「只見工業所」は1836年の創業で、180年以上続く老舗の畳店です。8代目社長の只見直美さんをはじめ、従業員を含め6人で畳作りをしています。

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稲作が盛んな栗原市は良質な稲わらがとれ、畳作りが盛んでしたが、和室が減って需要も減少し、専門業者はこの20年で約15店から5店まで減りました。

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そこで5年ほど前から新しいデザイン「モダン乱敷き畳」作りに挑戦しています。この畳、「いぐさ」ではなく「和紙」で編んであります。和紙はいぐさに比べて耐久性があり、カラフルなデザインにすることも可能です。

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「モダン乱敷き畳」は、全国の畳店が参加するコンテストも毎年開かれていて、只見さんは3月、シンプルなデザインが評価され、優秀賞を受賞しました。

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新築する家にこの畳を取り入れようという夫婦もいて、「畳のイメージが全然違っていて、いろいろなデザインがあり、カラフルですてきだと思いました」と話していました。社長の只見さんは「自信をもってお客様の部屋の雰囲気にあわせたカラーコーディネートや敷き方の提案ができると思います」と言います。

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一方、昔ながらの畳作りの伝統を受け継ごうとする職人もいます。高橋厚さん(44・画面上)と直美さんの次男の優さん(34・画面下)です。畳作りのほとんどが機械化されているなか、2人は手縫いの技術を身につけようとしています。只見優さんは「なくなる技術にしてはいけないと思うのが一番です。変わらない部分、変えてはいけない部分を大事にして、今後も畳の技術や知識をより深めていきたい」と話していました。

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社長の只見直美さんは「息子と若い社員が手縫いの技術を身につけているので、先のことはわからないですが、できれば続けていってほしい」と期待を寄せていました。
職人の2人は、秋に開かれる手縫いの技能を認定する畳製作技能士1級を目指して、技術の向上に励んでいるということです。

【取材:大崎支局 黒澤常幸記者】

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