三線の日に仙台で響く琉球の音 沖縄三線フェスティバル 岩野吉樹アナが取材

3月5日、仙台市青葉区で開かれた「沖縄三線(さんしん)フェスティバルin仙台」を取材。
県内在住で沖縄にゆかりのある方や、沖縄文化を広めようと活動しているグループが集まって
演奏を披露しました。

20230324_syamisen_01.jpg

沖縄の伝統的な楽器、三線。県内にも愛好するグループがあります。
3月4日が語呂合わせで「三線の日」とされていることから、初めてこの催しが行われました。
参加したのは、県内で活動する三線や琉球太鼓のグループなど7組。
自らも三線愛好グループを率い、宮城沖縄県人会のメンバーでもある柴藤昌幸さんが企画しました。

20230324_syamisen_02.jpg
(企画・主催者:柴藤昌幸さん)

柴藤さんは「仙台と沖縄は飛行機の直行便でつながっているのに仙台で沖縄文化に触れる機会は少ない。しかもコロナ禍で、演奏を聴いてもらう場もなかった」と、この会の企画意図を話します。

柴藤さんも参加している宮城沖縄県人会には、80人ほどの会員がいます。
進学や就職、転居など様々な理由で宮城に来た沖縄出身者が交流するなど、心の拠り所となっているだけでなく、沖縄と宮城をつなぐ架け橋にもなっています。
去年5月、沖縄の本土復帰50年を祝う式典には、県人会の会長が「宮城代表」として参加。
また、去年夏には名取市で民間団体が企画した「沖縄フェス」にも協力するなど、沖縄文化の発信にも力を入れています。

20230324_syamisen_03.jpg
(画像提供:宮城沖縄県人会)

この宮城沖縄県人会。ユニークなのは「ゆかりがなくても、沖縄愛が強ければ誰でも大歓迎」ということ。
今回三線フェスティバルを主催した柴藤さんも、出身は仙台です。30年ほど前、教員をしていた頃に、修学旅行の下見で訪れたことをきっかけに、沖縄のとりこに。
以来、個人的に何十回と通ううちに、県内の沖縄出身者と交流も深まり、入会したということです。
まさに、沖縄の言葉でいう「いちゃりばちょーでー(一度会えば兄弟のようなもの)」ですね。

20230324_syamisen_04.jpg

仙台で初めて開かれた沖縄三線フェスティバルには、100人ほどの方が訪れました。
手拍子あり、踊る人あり、一緒に歌う人あり…。まさに温かい空気が会場を包んでいました。

20230324_syamisen_05.jpg

主催した柴藤さんはこうおっしゃいます。
「仙台に住む私たちは、県外から宮城に来てくれた人たちに、『せっかく来たなら、せめて1か所でも震災遺構などを見て、考える時間をもってほしい』と願います。
同じように、沖縄の人たちも『せめて1か所でも沖縄戦の傷跡を見て、思いをはせてほしい』と考える。興味を持つきっかけは音楽でも観光でもいい。でも、その先につながる入口になれば」。

 

実は、私も沖縄が大好き。学生時代からこれまでに40回以上は訪れています。

20230324_syamisen_06.jpg20230324_syamisen_07.jpg
(沖縄 八重山諸島にて 岩野撮影)

訪れるごとに、観光エリアのすぐ近くにある傷跡や遺構に目が行くようになりました。
3月26日は、78年前に、沖縄の慶良間諸島にアメリカ軍が上陸し、約20万人もの命が失われた地上戦(沖縄戦)が始まった日。
3月は、宮城にとっても沖縄にとっても、大切な月なのです。

 

大好きな三線の音色に浸り、ときおり一緒に歌いながら撮影・取材していた私。
「伝える仕事の楽しさと意義」を再確認したような時間でした。