イチオシ!"岩間瞳キャスターが取材!美里町のしそ王子"

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美里町の特産品が“しそ”だということを、みなさんご存知でしょうか。
今回その魅力を伝えようと取材すると、なにやらしその魅力を広めている男性がいることが分かりました。人呼んで“しそ王子”!どんな方なのか…会いに行ってきました!

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町の玄関口・JR小牛田駅の中にあるのは、美里町総合案内所。
情報を求めて訪れると、しその加工品がずらりと並んでいました。
受付の方に訪ねると…。

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しそ王子はしその生産・加工をしている方のようです!
聞き込みを続けると…。

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ようやく“しそ王子”を発見!
しそ農家の粟野敏夫さん(44)です。

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さっそく農業用ハウスへ向かうと、入った瞬間にいい香りが…。
広さ7アールのハウスで年間1.5トンほどを出荷しているそうです。
土づくりにこだわった粟野さんのしそは味が濃く、鼻から抜ける香りもさわやか!
料理の添え物として使われることが多いしそですが、その場で食べてみると、主役級のおいしさでした。

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そもそも、しそが町の特産品になったのは、およそ30年前。
当時、新たな特産品を求めていた町は、郷土料理「しそ巻き」に使うしそに注目しました。
夏から秋が旬のしそを年中出荷できるように、ハウスでの栽培を奨励。
刺身のツマとしての需要もあり、一時は県内一の産地となりました。

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ところで粟野さんは、なぜ“しそ王子”と呼ばれるようになったのでしょうか…。
実は、地元を舞台に活躍する“歌手”でもあるからです。
1月下旬、粟野さんがいたのは、畑ではなくホテルのステージ!
地域の新年会に呼ばれ、美声を披露していました。
農家の仕事やしその魅力を語るなどPRも忘れません。
歌を聞いた人は「これからも二刀流で地域を盛り上げてくれたらうれしい」と話していました。

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粟野さんに、なぜ歌の道に入ったのか聞きました。
それは、昭和の歌姫・美空ひばりさんの影響だったといいます。
中学2年のとき、初めてテレビで見てから、大ファンになったという粟野さん。
18歳のとき、芸能界で働きたいと上京。テレビ制作の会社や芸能事務所で働きました。
その後、24歳のときには、ひばりさんの曲の歌唱力を競う全国コンクールで優勝。
ひばりさんに魅了されたことで、人生が大きく変わったといいます。

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粟野さんは、東日本大震災を機に美里町にUターン。そこで、再び転機が…。
震災のボランティア活動をしていたとき、友人に促されて、仮設住宅に入居する人たちを前にひばりさんの歌を披露。その歌声はいつしか評判になり、地元では“しそ王子”と呼ばれるようになったのです。地域の夏祭りや高齢者施設など、年間80以上のステージに立った年もあると話します。

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粟野さん
「誰が言ったんだかね、しそ王子なんて。全然王子じゃないのに。
 でもしその話もさせてもらって、本当に嬉しいことだなと思います。」


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しそ王子と呼ばれるようになった粟野さんが始めたのが加工品の開発。しそは、大きさが不ぞろいだったり、少しでも傷がついてしまったりすると出荷できません。手塩にかけて育てたしそを無駄にしたくないという思いからでした。

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加工品として商品化されたのは、ドレッシングやお茶など5種類。
加工から瓶詰めまで粟野さんが、一つ一つ手作りしています。

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なかでも大ヒットとなったのが、こちらのスパゲッティソース。
コロナ禍で加工品の売り上げが落ち込んでいたときに出来ました。
きっかけとなったのは、やはり、大好きなひばりさんでした。

粟野さん
「いつかひばりさんの商品を作ってみたいと思っていました。ひばりさんがしそのスパゲッティが好きだということを、お手伝いさんから伺っていたので。」


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ひばりさんの専属料理人のアドバイスを受けながら、3か月ほどかけて、その味を忠実に再現したといいます。

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使い方は、ゆでたスパゲッティに和えるだけ。
さばの缶詰やきのこなどを混ぜてもおいしいそうです。

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ごまの香ばしさと、大葉のさわやかな風味がベストマッチ!和風でさっぱりした味わいでした。これが美空ひばりさんが食べた味!とっても感激しました。

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粟野さん
「しそをもっと食べてもらいたい。大葉農家ならではのしそがたくさん入った加工品を作って、もっと魅力を伝えていきたいです。」

種を落として増えながら、周りに爽やかな香りを振りまく「しそ」。
農家の枠を超えてパワフルに活動する粟野さんの姿と重なって見えました。


【取材:岩間 瞳キャスター】

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