大崎で根強い人気!生卵の自動販売機

大崎市三本木に地元で愛されている生卵の自動販売機があります。
1日100個以上売れるという人気の秘密に迫りました。


【新鮮な生卵を求めて…】

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その自動販売機は大崎市三本木の田んぼに囲まれた県道沿いにありました。
近くには「ひまわりの丘」があり、夏場は観光客で賑わいますが、
ふだん人通りはほとんどありません。

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小屋に入ると自動販売機が並んでいます。
お金を入れて自分でフタを開けて取り出すタイプです。
価格は10個入りが300円。
ほかにも5個入りと7個入りが販売されています。

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私が取材したのは、国内で10年に1度の寒波といわれた1月25日。
大崎市ではこの日、午前9時時点の気温がマイナス5.5度。
道路にもたくさん雪が積もっていましたが、
それでも自動販売機には朝から生卵を買い求める人たちが続々と訪れていました。
なぜわざわざここの卵を買いに来るのでしょうか。

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「新鮮でとろっとしておいしいです。甥っ子もこの卵で卵かけご飯が食べたいと」

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「20年くらい前から購入しています。黄身がぷりっとして白身もしっかりしています。
 卵焼きや目玉焼き、茶碗むしにも使います」

 

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最近、卵焼き作りに凝っている私。
どれほど新鮮なのか確かめてみました。

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黄身は鮮やかなオレンジ色、白身もふっくらとしています。
確かに新鮮な感じがします。
私もたまごかけご飯にして食べましたが、黄身がとろっとして、ごはんとの相性が抜群でとてもおいしかったです。

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この卵を販売しているのは、近くで養鶏場を営む安部川怜さんです。
自動販売機で生卵を販売するアイデアは30年以上前、安部川さんの祖父が考えました。

新鮮な卵を直接、お客さんに届けたいとの思いだったそうです。
以前は市内5か所設置していましたが、老朽化で維持が難しくなり、現在は三本木にある1か所だけです。

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それでも1日100個以上が売れています。
以前は朝1回だけの補充でしたが、2年前からは朝と午後2時の1日2回補充しているそうです。コロナ禍で需要が高まったことが背景にあると話していました。

「コロナ禍で人との接触を避けるようになったのでしょう。補充の時間を狙って買いに訪れる人も増えています。秋田や山形など県外からも買いにくる人もいてうれしいです」


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順調に売り上げを伸ばしている安部川さんですが、最近、心配事が続いています。
1つは、鳥インフルエンザです。ヒナを仕入れている県外の業者の近くで感染が確認され、移動制限がかかってヒナの仕入れが遅れているのです。この影響で卵の生産量は例年に比べて1割ほど減少したそうです。

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もう1つは餌代や燃料費の高騰です。経費がかさみ、この30年間、卵の価格を変えずにやってきましたが、4月から値上げを検討せざるをえなくなっています。

それでも安部川さんは、毎回楽しみに買いに来てくれるお客さんにこれからも新鮮な卵を届けたいと話していました。知る人ぞ知る卵の自動販売機ですが、今回取材してみて、長年愛されている理由が分かりました。

【取材:藤岡しほり記者】

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