宮城の生活への影響は  東北電力 電気料金3割超値上げの衝撃

東北電力は家庭向け電気料金のうち、およそ8割が契約する主要プランについて、来年4月からの値上げを国に申請しました。
平均32.94%という値上げ幅は、家計にとって重い負担になりそうです。
その背景について、仙台放送局の伊藤奨記者が解説します。

 

【①なぜ値上げ?】

<Q>
生活に身近な電気料金が3割以上値上げされるというのはちょっとドキッとしますが、今なぜ値上げなのでしょうか?

<伊藤記者>
東北電力にとって今はいわば「電気を売れば売るほど損をする」状態だからです。
ロシアによるウクライナ侵攻や円安の影響で火力発電に使う燃料の価格はことし10月の時点でLNG=液化天然ガスが去年4月の5倍以上に高騰する一方、ことし6月以降は燃料費を電気料金に反映できる上限を超え財務状況は急激に悪化していました。
このままでは燃料の調達や設備の更新などに支障が出るおそれがあるとして、東北電力は値上げの申請に踏み切ったのです。

 

【②政府の対策は】

<Q>
電気料金については、政府が負担軽減策として来年1月分から一定額を補助することを明らかにしています。それを踏まえてもやっぱり値上げになるのでしょうか。

<伊藤記者>
値上げ幅が申請通り認可されれば来年4月から、平均的な家庭(※)では1か月あたりの支払額がこれまでより2,717円上がって1万1,282円になります。(※平均的な家庭=「従量電灯B」のプランで契約電流30A、使用量260kWhの場合※)
ただ、国の経済対策では来年1月から家庭向け電気料金について1キロワットアワーあたり7円補助する方針で平均的な家庭では1,820円の補助を受けられることになります。
値上げ分から補助分を差し引いた試算では平均的な家庭で897円、率にして10%程度の値上げになる計算です。
ただ、国の補助は来年9月以降、縮小されることになっているためこのまま燃料費が高い状態が続けば、家計の負担はいずれ増すことになりそうです。

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【③今後のスケジュール】

<Q>
今後のスケジュールはどうなるでしょうか。

<伊藤記者>
申請を受けた国は有識者会議で値上げ幅が妥当かなどの議論を進めることになります。
関係者によりますと認可まではおよそ4か月かかるとみられるということです。
前回・2013年に東北電力が値上げの申請をした際は、国は東北電力に人件費や燃料費などをさらに削減するよう求め、最終的な値上げ幅は申請時より2%程度圧縮されました。
実際にどのくらいの値上げになるのか、検討の場は今後、国に移ることになります。

 


itou2.jpg伊藤奨
2020年から仙台放送局
エネルギーや金融など経済取材を担当