「不惑ラグビー~82歳ラガーマンに密着」てれまさ部活動応援部

「不惑ラグビー」を知っていますか?
孔子の論語の一節「四十にして惑わず」の「不惑」を冠したそのラグビーは、40歳以上の選手だけで戦います。
のんびりとゆるく楽しむスポーツなのでは・・・と、侮るなかれ。
新型コロナウイルスの影響で3年ぶりの開催となった大舞台に挑む、仙台のチームの最年長プレイヤーに密着しました。

(取材 仙台放送局 小舟祐輔記者)


【不惑ラグビーとは】

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不惑ラグビーは日本発祥と言われています。日本ラグビー協会によると、不惑ラグビーのチームは日本全国で少なくとも50チームほどあるということです。イギリスやオーストラリアなど海外にもチームが存在します。

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不惑ラグビーには、一般のラグビーと大きく異なるルールがあります。
選手たちは、安全にプレーするために自分の年代をパンツの色で表しています。
40代は白、50代は紺、60代は赤、70代は黄、80代は紫と、年代によって色が分かれていまます(90代以上は金!)。
この色分けに基づき、「1つ以上またいでの年代にタックルしてはいけない」というのが不惑ラグビーの重要なルールです。
例えば、紺色の50代は、赤色の60代にタックルできますが、黄色の70代にはタックルできません。
ほかにも大会によって試合時間や年齢制限が異なるなど細かな違いはありますが、それ以外は一般のラグビーとほぼ同じルールです。選手たちは高齢になっても機敏にステップを切り、力強いタックルを決めます。

 

【ここ数年の敵は・・・】

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仙台にも不惑ラグビーのチームがあります。
「仙台ゆうわくRFC(ラグビーフットボールクラブ)」は、48年前に設立されました(前身時代含む)。
40代から80代のおよそ80人が在籍し、平均年齢は58.6歳です。
ふだんは年齢を言い訳にしない不惑ラガーマンたちですが、長引く新型コロナの影響には悩まされています。
この2年、なかなか試合ができなかったのはもちろん、練習で使うタックル用のミットは練習前にすべて消毒し、練習内容もスクラムなどの接触プレーをできるだけ少なくするなど、感染対策に注意を払ってきました。

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一方、意外な副産物もありました。直接顔を合わせないやりとりが増えた分、70代や80代の選手もLINEを使いこなせるようになったのです。

チームの主務 青木勇治さん
「“40の手習い”じゃないですけども、四苦八苦しながら精通している人に教えてもらいながら始めています」

 

【挑戦続ける最年長プレーヤー】

コロナ禍でも何とかやりくりしてきた選手たちは、ことし、年に一度のビッグイベントである東日本大会を3年ぶりに石巻市で迎えることになりました。

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「年なんか、忘れたじゃね」

年齢を尋ねられニヤリと笑みを浮かべてこう答えるのは、大坪征一さん。チームの最年長プレーヤーは、御年82歳です。
大坪さんは高校からラグビーを始めてことしでラグビー歴66年。山元町で会社を経営しながら週1回の練習にも欠かさず参加しています。

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大坪さんの持ち味は、正確なパスとキレのあるキックです。3年ぶりの大舞台に向けて練習にも熱が入ります。

大坪征一さん
「年齢は関係なく自分はまだまだ若いつもり。皆さんと一緒にお互い切磋琢磨している。大会には全国から仲間が集まってくるものだから、また再会できたな、と楽しみに試合をしたい」

 

【3年ぶりの大会で躍動】

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6月19日、東日本大会当日。石巻市の会場には北海道から東京までの11チームが集まり、試合は年代別に分けられて行われました。
大坪さんは70代以上の部に出場し、前半、スクラムから出たボールを受けると相手を引きつけて味方に正確なパスを送って先制のトライを演出しました。
さらに大坪さんは「パントキック」と呼ばれる高く蹴り上げるキックで抜け出そうとしますが、ここは惜しくも失敗。熟練の個人技を決めることができずに両手をたたいで悔しがる姿は、まさにアスリートそのものでした。

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「おおつぼーーーー!」
闘志あふれる82歳のプレーにスタンドからは大きな声援が飛びます。
試合後半も足元を狙う鋭いタックルで相手の勢いを止めるなど大坪さんの動きは鈍りません。
大坪さんはことしも20分間のフル出場を果たしました。
ノーサイドで仲間たちと握手を交わす大坪さんの目は輝いていました。

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大坪征一さん
「大いに楽しめました。よかったです。よく走れたと思いますよ、タックルもできたし。
 果たして来年もやれるかどうか、これはわからない。
 自分としては日々努力して、これからもなんとかこの大会に楽しく出ていきたい」

 


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取材 小舟祐輔 記者(仙台放送局)

※学生時代は空手道部でした
2021年入局。
現在は主に宮城県政・仙台市政を担当。
好きなラグビー用語は「コラプシング」。語感が好きです。 

 

 


 2022年7月1日「てれまさむね」で放送。動画もぜひご覧ください!