巨大地震・津波の新被害想定 備えは

国が東日本大震災級の新たな想定をまとめました。
「千島海溝」と「日本海溝」で巨大地震と津波が発生した場合、最悪の場合死者が全国で19万9,000人、県内でも8,500人に上るという結果になりました。
しかし、あらかじめ十分な備えを行い、すぐに避難行動を始めることができれば、被害を大幅に減らすことができるとしています。

【千島海溝・日本海溝とは】

211227_soutei_01-2.png
「千島海溝」は北海道から千島列島にかけて連なっていてこのうち巨大地震は北海道の択捉島沖から十勝地方の沖合にかけての領域で起きるとされています。

211227_soutei_02.png「日本海溝」は、「千島海溝」の南、青森県の東方沖から千葉県の房総沖にかけての一帯です。今回はそのうちの北側、北海道の南から岩手県の沖合にかけて起きる地震の被害を想定しました。
いずれも300年から400年に一度大津波を伴う巨大地震が発生していたといいます。


【千島・日本海溝の被害想定】

8_japan_trench.png
2つの地震の被害想定は震源の場所や時間帯などでわかれています。この記事では、宮城県内で最も被害が大きいとされる、日本海溝での巨大地震が冬の深夜に起きたケースを見ていきます。このケースでは、東北や北海道の各地で10メートルを超える津波が押し寄せ、死者は全国で19万9,000人に上り、住宅など22万棟が全壊すると推計されています。


【大津波全域に】
宮城県内の想定はどうなっているのでしょうか。

3_tsunami_height.pngまず津波の高さです。
想定では、最大の高さとして気仙沼市15.3m、南三陸町12.6m、石巻市13.3m、女川町11.7m、東松島市7.7m、塩釜市5.9m、松島町3.8m、利府町4.6m、七ヶ浜町9.5m、多賀城市5m、仙台市宮城野区8.5m、仙台市若林区7.6m、名取市8.3m、岩沼市7.4m、亘理町7.3m、山元町で8.9mとされています。


【犠牲者8,500人低体温症で死亡リスクも】

4_humandamage.png続いて人的な被害です。宮城県内では主に津波によって8,500人が犠牲になるとされました。このほか今回は初めて、津波から逃れたあと、低体温症で死亡するリスクが高まる人数も推計され、県内で約6,500人がリスクに陥るおそれがあるとされました。

9_building.png建物被害です。津波で約1万4,000棟、液状化で約2,700棟、揺れで約100棟、急傾斜地崩壊約40棟、火災約30棟、あわせると約1万7,000棟が全壊するとされました。


【迅速避難で犠牲者8,500人→20人に】

5_tsunami_speed.png一方で、適切な避難ができれば、約8,500人とされる犠牲者が20人にまで減るとされました。県内で最も早いとされる津波第1波の到達予測が、石巻市の39分です。この第1波がくるまでに「とにかく逃げる」ことで犠牲者を減らすことができるとしています。

7_disaster_preventation.pngそのために津波避難タワーなどのハード面の整備を進め、浸水域にいるすべての人が10分ほどで避難を開始できるよう、訓練を重ねることなどが大切だということです。また、寒さをしのげる避難所の確保や避難経路の整備防寒対策用の備品を準備することなどで被害を減少できるとしています。

【被害を減らすポイントは「訓練と備蓄」】

6_imamura.png東北大学災害科学国際研究所の今村文彦所長は次のように話しています。

<ポイント①訓練>
「今回の想定浸水範囲や津波到達時間等を見て、その上で訓練することが1番。避難の手段や経路を1つに絞らないで、時間や季節でルートを選ぶなどいろんな手段方法を取ってほしい」

<ポイント②備蓄>
「冬場では毛布や厚めの洋服をバックなどに入れておく。さらに避難場所には備蓄倉庫があるので、そこに一定の毛布、ブルーシートを用意する。こういう備えが必要だと思います」

いつ起きるか分からない巨大地震と津波への備えについて家族や友人と話し合ってみてはいかがでしょうか。


 

211228_tomoda.png
塘田捷人
(平成30年入局)
事件・仙台市政を担当後
現在は防災取材などを担当