時疾風 得意の形を磨き秋場所へ
大相撲の栗原市出身の時疾風は、8月28日に発表された秋場所の番付で1場所で十両に復帰しました。十両への復帰を果たす中で「左四つ」という自身の相撲に手応えをつかみ、地元の期待に応えようと、時疾風は新たな決意で秋場所へ臨みます。
【初めて、地元で凱旋の合宿】
東京農業大から時津風部屋に入門した時疾風。8月5日には、地元・栗原市で、入門後、初めてとなる部屋の合宿が始まりました。初日の稽古には、地元の期待の星、時疾風を一目見ようと、およそ100人のファンが集まって声援を送り、時疾風もいつも以上に気合いが入っていました。土俵で地元の子どもたちにも胸を貸したほか、訪れた人たちと記念写真を撮るなど、交流も深めました。
(時疾風) 「初めての宮城合宿だったので、こっちに来る前から結構楽しみにしていて、きょうも周りにもいろんな方がきてくれて気合いが入りましたね」 |
【苦しむ初の十両】
5月の夏場所の番付で、宮城県出身の力士としては28年ぶりに初の十両昇進を果たした時疾風。地元の大きな期待を背に、夏場所に臨みました。初日を白星で飾ると、10日目までに6勝4敗と、勝ち越しを目前としました。しかし、勝ち越しへのプレッシャーや関取として15番を渡り合う中で、知らず知らずのうちに疲労が蓄積していました。11日目以降は精彩を欠き、思うような相撲が取れず、土俵際で足が出たり、最後に押し切れなかったりして、一気に5連敗。1場所で十両から陥落しました。
(時疾風) 「勝ち越さなきゃ勝ち越さなきゃと考えていて、それで少し固くなったというのもあると思いますし、やっているときはそんなことはなかったけど、場所が終わったらどっと疲れがきて、後半、5連敗したところはもう結構疲れていたかな」 |
【負けた中で得たものも】
上位の壁に跳ね返された夏場所でしたが、時疾風は負け越しの中からも、手応えをつかんでいました。
(時疾風) 「自分の相撲、左四つになれば勝てるとわかって、その辺はいい経験になりました」 |
時疾風が得意とする「左四つ」、左手で下手、右手で上手を取って組み合う形に持ち込めば、十両を相手にしても十分通用すると感じていました。7月の名古屋場所に向けて、「自分の相撲を取るという気持ちで場所前から稽古した」と、理想の形を追い求め、稽古に取り組んできました。その甲斐あって、7月の名古屋場所では、7戦全勝で幕下優勝。1場所での十両復帰を果たしました。
(時疾風) 「うれしかったですね。名古屋場所で勝ち越しが決まったときもうれしかったですけど、全勝で十両に戻れるのは自信になった。来場所につなげられたらなと思います」 |
【来場所を前に地元でパワー】
春に十両に昇進が決まった頃から計画が始まったという地元での合宿。期間としては、1週間程度と、決して長くはありませんでしたが、地元とも交流も大事にしてきました。
稽古に訪れたファンの記念撮影に応じたほか、稽古の合間を縫って、地元の高齢者施設も訪問しました。地元で応援してくれる人たちに直接触れることで、改めて応援のありがたみを感じていました。
(時疾風) 「これまで、声をかけてくれる人がいっぱいいて、それを力に変えて勝てたと思っています。地元の応援が力になっているので、『ありがとう』というのも伝えたいですし、これからもまた応援していただけるようにお願いしたい」 |
【秋場所で目指すは2桁勝利】
9月10日から始まる秋場所へ、地元での合宿を経て、決意を新たにした時疾風。「相手の相撲に合わせず、自分の相撲を取ることを徹底的に意識してやろう」と、得意の左四つにさらに磨きをかけるために稽古を積んできました。2度目の十両で、地元の期待に応えられるよう、次こそは結果を残したいと、秋場所へ気合い十分です。
(時疾風) 「夏場所、十両で負け越して終わっているので、目標はとりあえず勝ち越しなんですけど、自分の相撲を取れば2桁勝利もいけると思います。自分の相撲を取れば、ふた桁勝利もいけるかなと思うので、1つでも多く勝てるように頑張りたい。幕内に早く上がりたいですし、地元が応援してくれているので、地元をもっと盛り上げていけるような力士になりたい」 |