プロ野球・ドラフト候補 仙台六大学の三冠王 杉澤龍(東北福祉大)

プロを夢見る選手にとって忘れられない日、『プロ野球ドラフト会議』。
喜びや悲しみ、多くの感情が生まれるドラマチックな一日に、
野球ファンのみならず多くの人々が魅了されてきた。
今年は10月20日(木)に行われる。


 1.仙台六大学の三冠王・杉澤龍は生粋の東北育ちの巧打者

宮城の地で上位指名を待つのが、東北福祉大4年生の外野手・杉澤龍(すぎさわ・りゅう)だ。

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(東北福祉大・杉澤龍外野手)

杉澤は秋田県小坂町の出身。
宮城・東北高校では1年生で甲子園に出場するが、
最終学年では宮城大会4回戦敗退に終わった。
その後は東北福祉大学に進学し、
仙台六大学連盟の4年春のリーグ戦に主に3番センターとして活躍。
10試合で打率.550(40打数22安打)、4本塁打、13打点。各部門トップの打撃3冠に輝いた。
走・攻・守揃った左打ちの外野手として、
日本代表にも選ばれるなど上位指名の期待が高まっている。
その杉澤には、野球人生の大きな転機があった。


2.野球人生の転機、甲子園で出会った“豪球”

転機は高校1年で出場した2016年夏の甲子園。
杉澤は、中学を卒業してまだ4ヵ月ながら、宮城大会で実力を発揮。
1番ショートで出場し、東北高校としては7年ぶりの栄冠に大きく貢献した。

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(少年時代・高校時代の杉澤選手)

少し自信も芽生えた中で乗り込んだ夢の甲子園。
初戦の相手は、名門・横浜高校だった。
主力投手は現在、楽天イーグルスに所属する藤平尚真(当時高校3年)で、
杉澤も高い前評判を耳にして意気込んでいた。

その初戦。
「固さが出てしまった」と2回に守備でエラー。
そして自信のあった打撃も5打数ノーヒット。
特に藤平との対戦は、3打席で2三振。
プロ注目の右腕に全く歯が立たたなかった。

「ボールには赤い縫い目があるはずなのに、スピンが効いていて真っ白なボールがズドンときた。プロに行くような選手のレベルは段違いだ」と、気づかされた。

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(甲子園での杉澤選手と藤平投手)


3.悔しさと向き合った6年間の取り組み

その夏以降、杉澤の打撃への取り組みが変わった。
特に磨いてきたのが、「速いボールに対応するためのシャープで強い振り」だ。
身長1m75cmの杉澤は、高校入学当初は俊足が売りで打撃は二の次だった。
「プロを目指す選手として自分は大きな身体ではないけれど、
藤平投手のような速球を強く打ち返せる打者になる」と、心に決めた。

その後、バットを最短距離で強く振る技術に磨きをかけ、
高校では通算40本を超えるホームランを放つほどに長打力が向上。
木製バットに変わった大学でも、
4年春にはリーグ最多の4本のホームラン。
ドラフト直前の4年秋にも開幕から3試合連続で一発を放ち、
プロへアピールを重ねてきた。

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(打撃練習をする杉澤選手)

杉澤は、この1年間、スマートフォンにドラフト会議までの日数をカウントダウンで表示。
ドラフトの日を悔いなく迎えることを強く意識してきた。

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(スマートフォンを見せる杉澤選手、取材日=10/17月のドラフト3日前)

打者としての成長の原点となった甲子園での悔しい経験。
その日から6年がかりで磨き続けてきた打撃への自信を胸に、
杉澤は指名を待つ。