B1・仙台89ERSが目指すバスケ ~NBAやBリーグ解説者の佐々木クリスさんが分析!~

Bリーグの公認アナリスト、
そして、NHKバスケットボール中継でも解説をつとめる佐々木クリスさん。
B1に挑む仙台89ERSの今シーズンの戦力について詳しく伺いました。
(9/28放送「Nandary」出演)

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【B1は群雄割拠】

─── 仙台89ERSは6シーズンぶりのB1となる。チームはどんな戦いができるか?

(クリスさん)B1とB2には厚い壁がある。B1で勝率5割を残すことは非常に難しい。さらに今シーズンに関しては昇格と降格がある。仙台89ERSにとっては、B1に生き残ることが現実的な目標だといえる。ただ、今のB1はどこが勝ち上がってもおかしくない「群雄割拠」の時代。B1とB2での注目度は違うし、ファンの後押しを受けてコンスタントに戦う姿勢を見せることができれば、仙台89ERSにとってもチャンスがあると思う。

─── 今シーズンも藤田弘輝HCがチームを率いる。チームにとってはプラス材料か?

(クリスさん)情熱と知性を兼ね備えている藤田HCは適任だといえる。遂行力や規律を重んじる姿勢は素晴らしい。藤田HCがよく口にするのが「インテンシティ(強度)」という言葉。今の仙台89ERSを象徴する言葉だ。藤田HCのもとで、攻守において強度の高いプレーをどれだけ見せられるかがカギを握る。

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藤田弘輝HC

 

【チームの柱と新加入に期待】

─── 注目選手は?

(クリスさん)やはりジャスティン・バーレル選手だ。今シーズンはキャプテンでもあり、チームの精神的な支柱。長い日本でのキャリアもあるので、若い選手たちに豊富な経験を還元することが求められる。また、新加入のラショーン・トーマス選手も楽しみ。ディフェンスのイメージがあるが、オフェンス力がどれだけあるのかを見ていきたい。彼が3ポイントシュートを決めることができるのかが、今のチームにとって大事になるだろう。

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ジャスティン・バーレル選手

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ラショーン・トーマス選手

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─── 若い選手も伸びてきている。渡辺選手や岡田選手については?

(クリスさん)特にこの2人はめざましく成長している選手だ。この成長のスピードをどれだけ維持できるのかが必要。B1はガードへのプレッシャーが厳しい。そのためにはフィジカルの部分で負けないようにして欲しい。結果が伴わないといけないポジションだが、ベテラン選手がうまくサポートすることで、2人への負担がかからないようにすることも大事だ。

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渡辺翔太選手

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岡田泰希選手

 

【宇都宮ブレックス、千葉ジェッツ、アルバルク東京と同じ東地区】

─── 同じ地区には昨シーズンの王者、宇都宮ブレックスなどのビッグクラブがいる。強豪チームにはどう挑むか?

(クリスさん)決して受け身にならないこと。強豪チームを相手に、土俵際でいなすことは難しい。自分たちがファーストパンチを繰り出して、主導権を握ってプレーすることが必要だ。「仙台はそんなに簡単にはいかない!」と思わせることが必要。漫画「スラムダンク」で湘北高校が山王工業を倒した時のようなメンタリティをチーム全体で持つことができれば面白い。

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─── いよいよリーグが開幕。期待は?

(クリスさん)2023年にはワールドカップも日本で開催される。Bリーグ全体が盛り上がり、ワールドカップへと人気をつなげることが求められる。選手1人1人が主役だ。まだ応援に行ったことのない方も、ぜひ一度会場に足を運んでもらいたい。ジェットコースターに乗っているような迫力、スピード感を味わえるので、バスケの魅力を感じることができるはずだ。