B2仙台89ERS「千載一遇のチャンスをこの手に! 神里和選手」

後半戦に突入したプロバスケットボールBリーグ。
B2では東、西の各地区の3位以上がプレーオフ(PO)に進出します。
現在、東地区3位とPO圏内の仙台89ERSで大きな成長を見せているのが、
指令搭の神里かみざとなごむ 選手(26歳)です。

1m70cmと小柄ですが、
ポイントガードとして高い精度のパスに加え、3ポイントシュートも光ります。
同じポジションの主力・渡辺翔太選手が右足骨折の大けがで離脱する中、
神里選手は最近11試合連続で先発起用されています。

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(練習に励む神里選手)

神里選手はプレー以外にそのベビーフェイスでも人気を全国に広めつつあり、
仙台89ERSの顔になっていくのではと、個人的に期待しています。

しかし、神里選手のこれまでのバスケット人生は、
優しい笑顔からは想像出来ない、厳しい道のりでした。
沖縄出身の神里選手は、わたしが前任地・沖縄局にいた2018年、
琉球ゴールデンキングス(琉球)の練習生でした。
練習生は選手契約ではなく、練習の準備や片付けなどサポートをするのがおもな役割。
けがやコンディション不良の選手にかわって、
練習相手としてプレーし、アピールするしかない厳しい立場です。
取材時にも、練習をコート脇で見つめる時間が長かった神里選手。
わたしは「モチベーションの維持が難しいだろうな」と感じていました。

しかし神里選手は、リーグ上位で戦う選手たちを間近で見た期間を、
「試合を組み立てる判断力や考え方を学ぶことができた」と振り返っています。

その後、島根で念願の選手契約を結びますが、
首脳陣の信頼を得るまでには至らず、満足のいく出場時間は得られません。

不退転の覚悟を胸に、今季から移籍したのが仙台89ERS。

プロとしての瀬戸際にあった神里選手の成長を後押ししたのが、
同郷の先輩である金城 きんじょう 茂之しげゆき アシスタントコーチ兼スキルコーチです。

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(金城コーチ 引退セレモニーの写真)

金城コーチは、神里選手が子どものころから地元の琉球で活躍していたトップ選手。
練習生だった時にも、ベテランとしてプレーしていました。

神里選手は、金城コーチと行う1時間の自主練習を日課にしています。
「ドリブルやシュートの基礎や、相手のかわし方を教えてくれる。
 あこがれの先輩と練習できる喜びも大きいし、成長も実感する」と
二人三脚の取り組みで、自信を持ってコートに立てると話します。

けが人でチームは苦しい状況ですが、
神里選手にとって、さらにステップアップする絶好の機会。

琉球、島根で出場機会に恵まれなかった苦労人が闘志を燃やしています。
厳しい経験をした神里選手だからこそ、
チームが苦しい中で底力を発揮し、念願のB1昇格に導く力になると楽しみにしています。

(仙台局アナウンサー・黒住駿)


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