「スポーツ回想録」第97回サッカー天皇杯、~筑波大学・三笘薫が与えた衝撃~

スポーツ中継を担当する、アナウンサーの深澤健太です。今回は、過去に担当した試合の一つ、『第97回天皇杯全日本サッカー選手権大会2回戦、ベガルタ仙台 対 筑波大学』を振り返ります。


先日、東京オリンピックのサッカー日本代表が発表された。選ばれた22人の精鋭の中で、今最も旬なJリーガーの一人が、川崎フロンターレのMF三笘薫(みとま・かおる)。ドリブルを武器に躍動を続ける三笘が、全国のサッカーファンに大きなインパクトを与えたのは『第97回サッカー天皇杯』だった。三笘が所属する筑波大学が、J1のベガルタ仙台を破った、いわゆる“ジャイアントキリング”が起きた試合だ。

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開始6分。まだ両チームの出方を放送席から探っていた時間だった。三笘が自陣でボールを持って前を向く。その“大学生”について紹介をしようと私は資料に目を落とした。その一瞬のうちに、三笘は一気に加速。仙台陣内を突破していく。およそ50メートルのドリブルから放たれた右足のシュートは、ゴールキーパーの手をかすめて仙台ゴールに突き刺さった。大学生の個人技に衝撃を受けた一撃だった。

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振り返ってみると、試合に向けた取材で筑波大学を訪れた時、筑波大学の小井土正亮監督の話した言葉が印象的だった。「あいつ(三笘)のドリブルはすごい。成長すれば世界でも勝負できる。Jリーガーでも止められないんじゃないか」。まさにその言葉の通り、三笘はこの試合の決勝点も決める2得点の活躍。勝利の立役者となった。

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その後の川崎での三笘の活躍は言わずもがな。プロになる前から見せつけていた“局面を打開するドリブル”。次は東京オリンピックの舞台で世界の強敵を相手にどんな活躍をしてくれるのか期待が膨らむ。