「限界集落 住んでみた 山形 西川町 本道寺 月岡集落編」ディレクターが語ってみた

「限界集落住んでみた 山形編 拡大版」 ディレクターが語ってみた

「限界集落」とは・・・人口の半分超が65歳以上の集落のこと。
「若者がいなければ学校もない、病院もない…」なんとなく寂しいイメージありますよね。でも実際はどんな所か知る人は多くないと思います。どんな人がどんな暮らしをしているのでしょう。

「限界集落住んでみた」シリーズの5か所目!
今回は、昨年営業部から番組制作部に異動してきた、ディレクターとしては1年生の37歳が挑戦しました!

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訪れたのは山形県西川町、山形市から車で約1時間のところにある
本道寺(ほんどうじ)・月岡(つきおか)集落。

滞在期間は10月10日~11月5日までの1か月。
「人間より猫が好き」という、人づきあいが苦手な
ディレクターがどのように過ごしたのか !?

人づきあいの苦手な人間が、どうして挑戦しようと思ったの?

流れに身を任せた結果です(笑)
仙台局から「番組に興味があるディレクターはいないか?」という連絡が山形局に入りました。
個人的に好きな番組でしたので、説明だけ聞いてみようと軽い気持ちで手を上げました。しかし、会議の席でいきなり「市原はどこに住むの?」と聞かれ、これは説明会ではなく、住むことを前提とした打ち合わせなんだと理解しました。
その時にはもう「ちょっと興味があって参加しただけです」とは言えなかったのです(笑)

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なぜ本道寺・月岡集落に住んでみたの?

実は今年の4月に私は一度、本道寺・月岡集落を訪れています。
山形市から、月山をこえて庄内地方に向かう途中、休憩するために口之宮 湯殿山神社に寄りました。そこから見える集落の景色がきれいで、しばらく眺めていると奥の山道から、男性が現れました。今回の番組内で登場する、布施範行さん(76)です。

範行さんは山から取ってきたクロモジ(爪楊枝にするそうです)を下さり、本道寺集落のことを教えてくれました。一点の曇りもない笑顔で話す範行さん、その背中越しに見る集落が、なぜか優しく映り癒されました。範行さんが醸し出す仙人感にも惹かれました(笑)

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もう一度訪れたいと思っていたころ、番組の話があり、今回、本道寺・月岡集落にお邪魔させていただくことになりました。

範行さんとの再会時にそのことを伝えたのですが、私のことを覚えていないようで。ようやく思い出したときに、口にされた一言は、「不審者だと思ったから声をかけた」でした(笑) 範行さんは私との出会いを地域の方に説明するとき、いつも「徘徊老人がこの不審者(市原)を見つけたんだ」と話されます(笑)


ガチで1か月住んでいるの?!

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住んでいます。月岡の町内会長さんのご紹介で、「ふれあい会館」という地域の集会所に住まわせていただきました。お風呂がありませんので、車で町内の入浴施設に通いました。午後8時までしか営業していないため、間に合わずお風呂に入れない日もありました。また、洗濯機もなかったので、車で30分かけて隣町のコインランドリーを利用していました。それ以外は土日も含めて、ずっと本道寺・月岡集落にいさせていただきました。

食事はどうしていたの?

普段、全く料理をせず、スーパーやコンビニの弁当を食べて生活している私。
集落の近くにそういったお店はありませんので、今回、米5kg、カップラーメン10個、インスタントの味噌汁2袋を持参しました。最初はふりかけご飯ばかり食べていましたが、住み始めてからすぐに地域の方がお野菜を下さり、それをキッチンバサミで切ってインスタントの味噌汁に入れて食べていました。
その後、私が料理は出来ないことを知った地域の方々が、漬物やカレーを下さったりして、食事がどんどん豪華になっていきました。

結局、持っていったカップラーメンは余り、最終日に自宅に持ち帰ることになりました。
地域の方々には、本当に感謝しかありません。

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どんな気持ちで一か月撮影していたの?

こちらの番組の撮影は基本、一人で行います。1週間に1度、会社の人間とリモート打ち合わせをする場がありまして、そこで大野プロデューサーから「市原、Don’t think! Feel !だ」と何度も言われました 。

これまで私が担当してきた別の番組は、「番組として成立させること」を大前提に、「事前取材」、番組の組み立てとなる「構成」を考えて、「ロケ」をする、という流れだったので戸惑いを覚えましたが、それ以上に嬉しさを感じました。自分の感情に素直になっていいと思えたからです。

せっかく1か月住まわせていただくのですから、自分の目に映る人や風景、耳に触れる音、匂いを流さずに、ゆっくりと吸いこもうと思いました。そこから湧き上がってくる感情にしっかりと向き合い、地域の人との“ふれあい”の中で、なぜその感情を抱いたのか理由を見つけていきました。“取材”をするという意識が薄くなりました。
ただ、あまりに“取材”の意識がなくなりすぎて映像を撮ることがおろそかになり、
編集マンさんに多大な負担をかけてしまったのは反省点です。

途中で自宅に帰りたいとは思わなかったの?

宿泊場所の集会所のことを、いつのまにか “自宅〟と呼んでいましたし、特に帰りたいとは思いませんでした。地域の方が私のことを気にかけてくださったことが本当に大きいです。風呂場と洗濯機が欲しいとは常に思っていましたが(笑)

今回のコンテンツは、私が感じたありのままを深く考えずに撮影した内容のため、申し訳ありませんが、見苦しい点も多々あるかと思います。ただ、地域の方が本当に優しくして下さって、その優しさを、今回、拡大版の45分というかたちで、みなさまにお伝えすることが出来るのは本当に嬉しい限りです。

最後までお読み下さり、誠にありがとうございました。
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