5分間音楽バラエティ「こんなとき何聴く?」気仙沼漁師編
今回は、宮城県気仙沼市にある魚市場にお邪魔しました!働く漁師さんたちに聞いたのは、「勝負するとき聴く曲」。話を聞くなかで見えてきたのは、お気に入りの曲で自分を鼓舞したり、船上で仲間と歌ったり、という普段は見ることの出来ない漁師さんたちの素顔でした。
このページでは勝負をかけて漁に臨む漁師さんたちに聞いた、プレイリストやOAで乗せられなかった裏話を一挙公開しちゃいます。
取材したのは、入局2年目コンビ、助川D(ディレクター・筆者)と内藤D(ディレクター)。
ちなみに私たちの「勝負するとき聴く曲」、
内藤Dは、平井大さんの「Dream」(辛いこともたくさんあるけど、自信持ってやってみようという気持ちになれる、とのこと。軽やかな曲調のおかげで、いい意味で、気持ちも軽く挑戦できるんだそう)。
私(助川D)は、Mr. Childrenの「終わりなき旅」(まだやれる、もっと頑張れる、という気持ちにさせてくれる歌詞に鼓舞してもらっています)。
厳しい自然を相手に仕事をしている漁師さん。海に船を出すときは、それぞれが勝負をかけて漁に臨んでいるはず。どんな曲を聴きながら、海に挑んでいるのでしょうか。聞いてみました!
まずはプレイリストをご覧ください!
(勝負するとき、聴く曲のプレイリストです!)
【こんな取材、してきました!】
魚市場で話を聞いたのは計27人!取材をしてみて分かったことは海の男たちは意外とシャイな方が多いということ!恥ずかしいよ、という理由で断られることも多いなか、答えてくださった皆さん、ありがとうございました!10代の新米漁師から70代のベテラン漁師まで、幅広い世代の方に聞いた結果、演歌から最近のバンド、さらにはK-POPまでバリエーション豊かな曲が集まりました。
今年船に乗ったばかりの新米漁師さんたちは、遠距離恋愛中の彼女や離れた地元の友人を思った選曲を。中堅の船長さんたちは、漁に向けてテンションをあげるために自分たちのイチオシの曲を。そしてベテラン漁師さんは、元遠洋漁業の漁師・鳥羽一郎さんの曲をあげてくださいました。
(インドネシアからの技能実習生は五輪真弓の「心の友」を歌ってくれました!上手でした!)
漁師さんの皆さん、いろいろとお話を聞かせてくれたんですが、ここからは番組では紹介できなかった追加情報や取材を綴ります!
【①鳥羽一郎さんと北島三郎さんが人気すぎる話】
番組内でもご紹介しましたが、漁師さんと曲の話をしていると、必ず名前が出てくるのが鳥羽一郎さんと北島三郎さん!恥ずかしながら、私(24歳)は鳥羽一郎さんの名前は存知あげていたのですが、元漁師であることは知らず、みなさんに取材のなかで教えていただきました!ただ、私と年の近い若い漁師さんの中にも、出航は鳥羽一郎さんを聞きながら、という方もいらっしゃいました。
なんでも、昔からカツオ船やマグロ船は出航するときは、景気づけとしてにぎやかに、なんと爆竹までバンバンと鳴らしながら地元の港を出る習わしがあるんだとか。その一環で北島三郎さんや鳥羽一郎さんの曲をスピーカーから大きな音量で流している船が多いんだそうですよ。
【②船の上、誰が偉いのか話】
船上のクルーたちにはいろんな役職があります。船長、機関長、甲板員、などなど。なかでも甲板員をまとめる立場にあるのが甲板長。会社でいうところの従業員(甲板員)の長なので、中間管理職にあたるのですが、実力・経験・体力が備わっている人が務める、とても重要な役職です。
しかし、話を聞いてみると、どうやらそんな甲板長よりも「偉い」と言われている役職があるようなんです。
船長でしょうか?いいえ、実は「コック」さん!
船員さんたち曰く、「コックがメシを作らなかったら、俺らは腹ペコで死ぬんで」。
数日、長ければ数週間かかる漁において、たしかにご飯の有無は死活問題ですよね。コックには逆らえない、と笑いながら教えてくれました。
(左がコックさん。右は甲板長。ちなみにこのとき勝負曲としてあがったのは、鳥羽一郎さん(やっぱり!)と湘南乃風の「睡蓮花」でした。)
【③海と男と音楽の話】
「俺らの頃は、海は『憧れ』だったんだよ」。引退した80代の元漁師の方が、私たちにそう話してくれました。気仙沼の大島に生まれ、通学のときから船に乗ってきた男性。海と共に人生を歩んできました。「世界中の海を回ったんだよ。大西洋から、カナリヤ諸島から、インド洋……。貨物船にも乗ったし」
(楽天イーグルスの帽子を被った元漁師さん。右奥に見えるのが大島)
取材をする私たちに、当時の漁師にとっての音楽の意味も教えてくれました。音楽は漁師たちの「心の持ち方のありよう」を表現しているとのこと。気分がいいときはいい曲を。悲しいときは悲しい歌を船の上で歌っていたんだそうです。昔も今も、音楽の役割は変わっていないのかもしれないですね。
特に私が気になったのは、現役漁師時代の音楽の聴き方。なんと外国の港に着くと、日本人向けの曲が並べてあり、そこから好きな曲を選んで聴くことが出来たんだそう。男性も多くの曲を聴き、日本を思い出しながら10年以上にわたる海の生活を続けていました。
そんな海を愛する男性が選んだ曲は、美幌健さんの「おいらの船は300とん」。この曲を聴くと、海にもう一回戻りたくなるんだそうです。
「いいよ、海はいい。海は心が洗われる」。今もなお、毎日気仙沼港を訪れ、海を眺めに来ている男性。遠くを見るような目で、懐かしそうに海の話をする姿からは、色あせることのない「海への愛」を感じました。
以上、こんなとき何聴く?気仙沼漁師編でした!
最後まで読んでいただきありがとうございました。
(ロケ当日は6月なのに最高気温32度超えの真夏日!暑さに耐えながら、こんな感じでロケしていました!)
この番組は9月23日(金)に放送終了いたしました。次回の放送をお待ちください!