ウィズコロナの近未来 ②子どもの成長 支えるには

外出自粛や運動会中止、給食の黙食・・・。この1年半あまり、子どもたちの生活は大きく制限されてきました。

シリーズ2回目は、コロナによって引き起こされる子どものストレスや、成長への影響、これからの教育のあり方についてです。学校心理学が専門の宮城大学の相樂直子准教授に聞きました。

【インタビューのポイント】
▽子どもたちに見えないストレスが蓄積。
▽深まるネット依存。上手に使うルールを。
▽教育のデジタル化で個々に最適な学びが実現できるかも。
▽子どもは大人に話しかけにくくなっている。
▽意識して話を聞いてあげて!

 


Q)コロナ禍で子どもたちはどのような状態にあるのでしょうか?

人との関わりが制限され続けています。相手と距離を取るとか、マスクを着けて会話するとか。マスクをしていると相手の表情が読み取れず、言葉が聞き取れないこともあります。

給食にしても、本来は勉強が終わってちょっとリラックスできる時間でしたが、今は本当にしゃべらない。シーンとした中で、ものをかむ音も教室中に響いて、それで緊張するという話も聞きます。

学校行事も、計画したことが計画通りに行かないのが当たり前になっている。感染状況に応じて中止になったり、いろんな制限が入ったり。見えないところでいろんなストレスとして子どもたちに蓄積されていっているのではないかなと思います。

Q)子どもたちの交流の機会も減りました。どのような影響が考えられますか?

私は小学校や中学校にスクールカウンセラーとして行っているのですが、これまでなら部活のトラブルや、クラスの友達とのトラブルで保健室に駆け込んでくる子がいました。しかしそういう子が今年は少ないという話を聞いています。そこまで深く子ども同士がやりとりができなくなっているということです。トラブルが減るのは、一見すると良いのですが、相手と衝突しながら学ぶことも多いので、これからの心の育ちとか、コミニケーションの取り方、スキルに影響が出てくるかもしれないと思いました。

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Q)子どもたちのインターネットの使い方に変化があるそうですね。

外出自粛で友達と会えない代わりに、家でテレビを見たりスマホをいじったりすることが増え、ネット依存・ゲーム依存になって、やめようとするとイライラするということがあるようです。

コロナ禍による様々なストレスがネットやゲームに向いてしまっているのかなと思います。現実が苦しかったり、うまくいかなかったりすると、ネットの世界に入り込む、そうすることで少し落ち着くということがあるようです。

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Q)子どものネット依存の問題をどのように考えていますか?

やはり夜型になる子が多いですね。夜もやめられなくて、寝る時間も遅くなって、朝起きられなくて・・・。それで不登校になったり、親と対立してしまったり。

依存性というくらいなので、自分の思いや姿勢だけではコントロールできない部分もあることを、学校教育でもきちんと教えていく必要があると思います。

使用のルールを作ることも大切です。子ども1人ではできないので、線引きをして上手に使っていくことを、一緒に大人が示したり、考えたりしていく。子どもの意向も入れながら話し合って、子ども大人も納得するようなルールを作る。大変ですが、そうでないと守れなくなってしまうという話はよく聞きます。

Q)子どもたちのコミュニケーションに影響は出ていますか?

インターネットは指向性が共通の人とはネットワークが広がるけれども、自分が意図しない人とはあまりつながる機会がないですよね。これからの時代はさらに、社会的にいろんなつながりが求められます。様々なタイプの人と、様々な場面においてやりとりする力を、意識的に育てていく必要があるかなと思います。

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Q)いっぽうコロナ禍で、教育のオンライン化やデジタル化が進みました。どんな可能性がありますか?

発達障害や不登校の子どもも含め、1人1人に合ったスタンスで学べる授業づくりが進むと思います。例えば耳で聞くのが得意な人もいれば、目で見るのがが得意な人もいます。今までは一斉授業で、先生が口で発したものを耳で聞いて、板書したものをノートに取るというスタイルでしたが、それが子どもによっては記憶に残りにくいから、わかりやすく作ってもらった資料をもとに、ポイントだけ説明してもらうとか、動画を使って視覚に訴えてもらったほうが入りやすいとか。課題も、手書きだけでなく、パソコンを使うとか。全員同じものをやらなきゃいけないということではなくて、教師も子どもも、自分に合った教え方・学び方を選択できるということが、これから必要になってくるんじゃないかと思います。

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Q)コロナ禍を生きる子どもたちのために、大人ができることはありますか?

身近な大人が話を聞いてあげることだと思います。気持ちを語ってくれる時は、良い悪いではなく、まず受け止める。自分でうまくいったこととか、逆にうまくいかないことも、とにかく耳を傾けて、「そうなんだね」「それってどういうことなの?」と、子どもたちの声を引き出していく。

国立成育医療研究センターの調査でも、子どもたちが大人に、今まで以上に「話しかけにくい」と感じているというデータがあります。やはり大人もいろんな意味で、コロナによるストレスや忙しさがあるから、なかなか子どもたちが発信できない面がある。だからこそ大人の方で様子を見て、声をかけたりねぎらったり、ちょっとしたやりとりが大事だと思います。


【取材を終えて】
コロナ禍で「大人に話しかけにくくなった」と感じている子どもが多いという話に、はっとさせられました。
子どもたちは「見えないところで蓄積したストレス」を抱えながら、大人が思っている以上にがんばって今の生活に適応しようとしているのかもしれません。
新型コロナで多くのことが変わりましたが、子どもたちの話をよく聞きながら、一緒に対処していかなければいけないと感じました。

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仙台放送局記者 杉本 織江