新型コロナウイルス月ごとの感染者の傾向(12月3日放送)

【月ごとにコロナを分析】
全国で感染拡大が続く新型コロナウイルス。宮城県でも12月3日まで99日連続で感染者が発表されています。今回は、月ごとの感染者の傾向を分析します。

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先月(11月)1か月間に発表された感染者は484人で、1か月の発表では最も多くなりました。

県内での感染の第1波だった4月は81人でしたので、そのおよそ6倍。

これまでで最も多かった10月の320人と比べてもおよそ1点5倍に増えています。

【年代構成に大きな変化】
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11月の感染者を年代別に見てみます。
▽10歳未満が10人、
▽10代が46人、
▽20代が106人、
▽30代が65人、
▽40代が75人、
▽50代が40人、
▽60代が41人、
▽70代が39人、
▽80代が34人、
▽90代が27人、
▽不明が1人でした。

20代が最も多いのは、これまでの傾向と変わりませんが。幅広い世代で感染者が確認されています。

そこで、感染者の年代別の割合を月ごとに分析してみました。

まず、20代と30代の2つの年代をあわせた割合です。
▽4月は48%、
▽9月は45%と半数に迫り、
▽10月は66%と
 3分の2を占めましたが、
▽11月は35%とやや低くなりました。

一方、70代以上の高齢者を見てみると、傾向に大きな違いがあることがわかりました。

▽4月はわずか2%あまり、
▽9月は7%、
▽10月は6%でしたが、
▽11月は21%と
大幅に増加しました。

高齢者は重症化するリスクが高いとされていますが、これまでに県内で亡くなった10人のうち、8人が11月に集中し、このうち7人が高齢者でした。

【高齢者施設でクラスター】
どうして70代以上が増えたのか?

その要因の1つは、高齢者施設で相次いでクラスター=感染者の集団が発生したからです。

11月に県内で発生したクラスターは14件このうち高齢者施設は5件に上りました。

多くの施設では職員の感染が最初に確認されていて、職員から入所者に感染が広がったものとみられます。

身体接触が多い高齢者施設での感染対策の難しさを物語っています。

【感染経路“家庭”が最多】
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11月の感染者484人の感染経路を分析しました。

経路が推定可能な人はおよそ7割にあたる343人いました。

経路別では
▽「家庭」が88人と
 最も多く26%。
▽次いで
 「高齢者施設」が62人で18%。
▽「学校」が38人で11%、
▽「飲食店」が37人で11%でした。

70代以上に限ってみると、
▽48人が「高齢者施設」、
▽18人が「家庭」となっています。

【医療機関がひっ迫おそれも】
高齢の感染者の増加によって、11月は入院者が急増した月でもありました。

10月はほとんどの日が20人台でしたが、11月に入ると一気に増え、4日以降は60人台から70人台で推移するようになり、最も多かった22日には75人となりました。

県が確保した病床に占める割合も7割前後となる日が相次ぎ、19日には県医師会が仙台市医師会とともに記者会見を開き、「宮城県医療危機的状況宣言」を出す事態となりました。

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この会見の中で、仙台市医師会の安藤健二郎会長は
「高齢者施設のクラスターが大変な問題だ。要介護の人や認知症の人などの対応も医師と看護師がしなければならず、こうした人が1人入院すると3人分の労力がかかると医師が証言している」と医療機関の窮状を訴えました。

【飲食店でクラスターも幅広い世代で注意を】
家族が先に感染して家庭内で高齢者に感染を広げたケースも見られることから、重症化リスクの高い高齢者を守るためには、幅広い世代が注意することが必要です。中でも大人数での会食は大きなリスクとなります。

仙台市の飲食店では県議会議員14人など16人のグループでの会食が行われ、このうち、議員10人を含む12人が感染しただけでなく、同じ時間帯に店にいた4人も感染が確認されました。さらに、県内の複数の市長が会食を通じて感染した可能性もあります。

これから年末年始に向けて、高齢者の命を守るため、そして、医療態勢を守るため、どのように行動すべきかよく考える 必要がありそうです。