感染1,000人超え 新型コロナの姿(11月20日放送)

宮城県内で新型コロナウイルスに感染した人は11月17日に累計で1027人と1,000人を超えました。NHKはこの1027人を分析し、新型コロナの姿を探りました。

【感染経路は?】
まず、ウイルスはどこからやってきてどこで広がっているのか。感染経路が推定可能な728人を分析しました。

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多い順に「学校」、「家庭」、「接待をともなう飲食店」、「介護施設」などとなっています。
「学校」は仙台市の自動車整備の専門学校で100人以上のクラスターが発生したため、
「介護施設」は仙台市の老人ホームで40人以上のクラスターが発生したことから人数が多くなっています。
また、濃厚接触者との関係性が公表されない人は108人いて、どこで感染したのか明らかにならない患者も多くいました。

注目は「飲食店」です。接待を伴う店も合わせると144人に上り、学校に次ぐ規模になります。菅総理大臣は19日、「『静かなマスク会食』をお願いしたい」と飲食の際でも会話の時にはマスクを着けるよう呼びかけました。飲食の時には特に注意が必要です。

【感染経路不明は299人】
感染経路が不明な患者は299人いました。年代を調べました。
▽10歳未満が2人、
▽10代が7人、
▽20代が最も多く79人、
▽30代が66人、
▽40代が51人、
▽50代が46人、
▽60代が28人、
▽70代が10人、
▽80代が8人、
▽90代が1人、
▽不明が1人でした。

幅広い世代がいる一方で、20代と30代の若い世代がおよそ半数を占めています。

【感染した時の症状は?】
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感染するとどんな症状が出るのかも調べました。
複数の症状が出た人はそれぞれ1人とカウントしているので、あわせた人数は対象の1027人よりも多くなります。また、136人は症状の発表がなかったり調査中だったりして詳しくわかっていません。

分析の結果、よく言われている「発熱」は499人で、49%にとどまりました。会社への出勤や学校への登校前に検温し、健康状態をチェックしている方は多いと思いますが、
半分近くの人は、熱が出ていなくても感染していたことになります。

▽せきは30%、▽味やにおいの感じ方がおかしいという症状はいずれも10%程度でした。さらにそれほど数は多くはありませんが「下痢」のほか、図にはありませんが「嘔吐」や「吐き気」といった症状を訴える人もいました。

 

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元仙台検疫所長の岩﨑恵美子医師に聞きました。新型コロナの症状、どう判断したらよいのでしょうか。
「コロナはまだわかっていないことも多く、発熱のほか、せきといった呼吸器以外にもさまざまな症状が出ることが改めて分かる。のどの痛みやけん怠感など、軽い症状でも何日か続く場合は、感染のおそれがある。仕事や学校を休んで様子を見るほうがよい。心配であれば病院に行くなど対処が必要だ。」

 【無症状の患者は183人】

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続いて、183人いた無症状の人についてもみてみます。
グラフでは、感染者全体とこのうちの無症状の人の年代をまとめています。すると、年代にあまり大きな違いがないことがわかりました。20代や30代が多くなっていますが、幅広い年代に広がっています。
無症状の人が感染を広げているかという点も調べてみました。濃厚接触者の感染が確認された無症状の患者は13人でした。多くの無症状の患者がほかの人に移していないことがうかがえます。また、濃厚接触者との関係性は▽同居家族が5人、▽同じ学校と同居人がそれぞれ1人、▽不明が6人でした。

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この点についても岩﨑医師に聞きました。
「元来、ウイルスは症状が出ているときに多くなり、感染力も強くなるものだ。今はほとんどの人がマスクをしているので、無症状の患者から次々と感染が広がるという状況は心配しなくてもいいのではないか。むしろ症状が出ている人が行動を自粛することが重要だ。活動が活発な若い世代が外でいろいろな人と会う中で感染し、家庭で広げるというケースもみられ、改めて行動に注意が必要だ。学校などでの集団生活だけでなく家庭の中でも
トイレなど共有するものが多く特に手洗いをすることが重要だ。」

【感染を広げないためには】
新型コロナウイルスの感染を広げないためには、さまざまな症状が出ることを知っておかなくてはいけません。過去の事例からこうした教訓がうかがえます。
クラスターが発生した仙台市のホストクラブでは23人いる従業員のうち20人が感染しました。店では、37度5分以上の発熱がなければ従業員を勤務させていました。しかし、発熱がなくても頭痛やけん怠感、鼻水、味覚や嗅覚の障害などの症状が出たままで勤務していた従業員がいたことが確認されています。症状が出ている状態でマスクを外して客や従業員どうしで会話する機会があったことなどが感染を広げた要因とみられ、さまざまな症状に注意することの重要性を物語っています。

このほかにも、クラスターが発生した高齢者施設や病院、学校などでは、症状が出たあとに出勤や通学をした人の感染が確認されて、次々と感染が広がっていったケースもあります。マスクや手洗いなど基本的な対策に加えて、症状が強かったり、続いていたりする場合は、思い切って休むことも感染対策の1つではないでしょうか。