15年ぶりの快挙!箱根駅伝1区 区間新 中央大学・吉居大和選手(仙台育英卒)

今年の箱根駅伝。
スタートを告げる号砲が鳴り響いた直後、
世間を驚かせる快走を見せたのが
宮城・仙台育英高校の出身、中央大学の1区・吉居大和(2年)だ。

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※写真提供「中央大学 陸上競技部」

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※写真提供「中央大学 陸上競技部」

スタート直後からトップ集団を先頭で引っ張ると、
5km~6kmの地点で一気に周りの選手たちを引き離した。
「自分の思ったペースより遅いと感じたので、
単独で走る機会は少なかったけど、挑戦するしかないと思った」。
一斉スタートの1区は選手同士がまとまりやすく、「集団を引っ張ると力を消耗する」と言われる。
そんな『常識』をものともせず、どんどん後続との差を広げる。

15kmの地点で「30秒以上、区間記録よりも早い」と監督から声が掛かる。
「そこで確信出来た。記録への意識で後半も粘れた」と、区間新記録を達成。
近年、1区以外の区間記録が次々と更新されていた箱根駅伝。
その1区で15年ぶりに記録を塗り替え、26秒も更新した。

仙台育英での高校時代からトラック種目で全国でもトップクラスだった吉居。
鳴り物入りで大学に入学した後も、
2020年7月には5000mで20歳以下の日本記録(13:25:87)を樹立した。

自信をもって臨んだ初めての箱根駅伝。
しかし、“20kmの距離とロードの対応”に苦しみ、3区で区間15位に終わった。
この時を境に、タイムを前年より落としてしまうレースが続く。

苦境の中、吉居は恩師の言葉を改めて思い返した。
仙台育英高校の真名子圭監督が何度も口にしていた
「走りの本質で勝負。“目先の結果”や“好不調の波”に捉われすぎない」という言葉だ。

そこから自身の走りを見つめ直し、
スピードが求められる5000mでも、
速さばかりを追求するのではなく
土台となる“長い距離を走るスタミナも大事だ”と発想を変えた。

新たな目標にしたのが、苦渋を味わった“箱根”。
大学の夏合宿では、1日25km~30kmの走り込みに取り組んだ。
1年生の時よりもベースの距離を10km近く増やした形だ。
吉居は、
「不安を抱えていたスタミナがついた。
悔しい思いをした箱根駅伝のスタートラインに、自信を持って立てた。」
15年ぶりの快挙は、遠回りにも思える取り組みから生まれたものだった。

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箱根駅伝で大きな手ごたえを得た吉居は、すでに次の目標に向かっている。
今年7月の世界陸上への出場だ。
世代別の日本記録を持つ5000mに取り組む。
大会参加に繋がる標準記録13:13:50のタイム突破と、
前回大会で不本意な成績におわった日本選手権(6月)での好走を目指す。

目標を後押しするような“刺激”も加わる。
現在、仙台育英3年生の弟・駿恭が、
今春から中央大学に加わり、再び同じチームで切磋琢磨し合うことになった。
「良いライバル。刺激し合ってお互い強くなりたい」と意気込む。

衝撃を与えた箱根をきっかけに、さらなる飛躍へ。
吉居大和は世界を見据え、走り続ける。

(仙台局アナウンサー・黒住駿)