ヨーロッパ フランス

異国の風吹く街パリ・ベルヴィル界わい/フランス

初回放送
2019年8月13日
撮影時期
2019年5月
語り  
マキタスポーツ

パリ東部の小高い丘に広がるベルヴィル地区は、アフリカやアジアなどからの移民が多く暮らし、多様な文化が共存。"未来のパリ"とも言われている。異文化を寛容に受け入れ、しなやかに生きる人たちとふれあいます。

歩き方

街の基礎情報 パリ・ベルヴィル界わい

場所:

パリ東部。10区、11区、19区、20区にまたがるエリア

人口:

不明

景色:

坂の多い丘の街

人々:

人種も国籍もさまざまで異文化に寛容な人々

産業:

(特にありません)

交通手段:

地下鉄、バス

行き方:

日本~パリ(直行便で約12時間)/ 地下鉄はベルヴィル駅、メニルモンタン駅、ピレネー駅などで下車

通貨:

ユーロ
1ユーロ=123円(2019年6月28日現在)

歩き方

パリ東部のベルヴィル界わい。地下鉄を降りるとそこではマルシェが開かれていてさまざまな民族の人たちで大にぎわい。カラフルな帽子を売るギニア女性や断食明けの食事を楽しみするイスラム教徒の男性とふれあいます。マルシェを出るとトルコから亡命した画家のアトリエがあり、その先のベルヴィル公園では天安門事件の年に「人生を変えるために」移り住んできた中国の方と出会います。午後はオペラを歌ってフランス語の表現を学ぶ移民の若者たちと、夕方はコンゴのダンスに夢中なマダムたちとふれあいます。

街を歩いてみて(ディレクター談)

さまざまな民族が行き交う「人種のるつぼ」。目抜き通りにはユダヤ教徒の肉屋、イスラム教徒向けの食材屋、中国人向けのスーパーなど、国際色豊かなお店が並び、ここがパリであることを忘れてしまうほど。無国籍な魅力にあふれる地区です。

写真ギャラリー

街のなりたち

ベルヴィル界わいに最初に移民の波が押し寄せたのは20世紀初頭。ロシアやポーランドから迫害を逃れてやって来たユダヤ人。1930年代はスペイン内戦で敗れた共和派の人々が移り住みます。ベルヴィルは家賃が安く、革加工の工場など働き口もあったため、難民が逃れて来るための条件が整っていたからです。第2次世界大戦後はフランスのかつての植民地であるアルジェリアなど北アフリカからの移民が急増。経済成長を支える労働力となります。70年代以降はアジアからの移民も増え、街は人種のるつぼと化しました。

出会い

街の「政治難民」

ベルヴィル公園へ向かう坂の途中のアトリエをのぞくと、トルコ人の画家が「戦争と難民」をテーマとする絵の制作の真っ最中。ご自身がトルコでクーデターがあったときに逃れて来た政治難民だそうで、作品には祖国を追われた人々の「悲しみ」に満ちていました。

街の「オペラ教室?」

歩いていると朗々とした歌声が。オペラの練習かと思いきやフランス語を学ぶ教室なんだそうです。通っているのは移民の若者たち。家では母国語を話すので、ここでフランス語の微妙な言い回しを覚えるのだそう。皆さんとっても楽しそう!歌の効果は絶大です。

街の「アフリカンダンス」

アフリカンダンスの教室を見学しました。伺うとコンゴ民主共和国の踊りでサバンナの動物を狩る様子を表しているんだとか。生徒さんはマダムたち。魅力は「みんなで喜びを分かち合える」と答えてくれました。ベルヴィルの気風を示す言葉かもしれませんね。

グルメ

【第1位】ファラフェルサンド

中東のファストフード。ファラフェルとはひよこ豆の揚げ物。スパイスや香草をたっぷり加えた香ばしい味。それをたっぷり野菜と一緒に薄い小麦粉の生地に包んでいる。ひよこ豆のホクホクした食感とさっぱりしたヨーグルトソースが相性抜群の一品。
<平均価格 5.5ユーロ(約676円)>

【第2位】アリコルージュ

ベトナムでポピュラーな甘い飲み物。作り方は、まずは小豆を砂糖で煮た"あん"をグラスに入れ、次に米粉とタピオカで作ったゼリーを加え、最後にココナッツミルクをたっぷりと!小豆の甘さにゼリーのツルンとした食感が重なり、口の中が楽しくなる一品。
<平均価格 4.8ユーロ(約590円)>

【第3位】マクルート

北アフリカのスイーツ。ナツメヤシの実を小麦粉の生地に包み、揚げて、蜂蜜に漬け込んだもの。ナツメヤシは砂漠でも生息する植物。その実はイスラム教の聖典コーランで「神が与えた食物」と記されるほど大切な食料。ビタミンも豊富で美容にもいい一品。
<平均価格 0.9ユーロ(約110円)>

ちょっとより道

シャンティイ 馬が踊る?世界一美しい馬小屋

シャンティイはパリ北駅から電車で25分。古城があり、きゅう舎は世界一美しいといわれている。そして、そこの馬は踊るとも。行ってみるときゅう舎はまるで宮殿のような豪華さ。18世紀の建築で「人間は馬に生まれ変わる」と信じた城主のために建てられたといわれてきた。現在は「生きた馬の博物館」となり、馬のショーを見ることができる。調教するスタッフいわく「馬は人間の鏡のようなもの」。人間との絆が深ければ、馬は指示に応え、優雅な舞いを披露するのだそうだ。果たしてどんな踊りを見せてくれるか?

語り:濱田マリ