ヨーロッパ クロアチア

古代ローマの宮殿が街にスプリト/クロアチア

初回放送
2019年7月2日
撮影時期
2019年4月
語り  
八嶋智人

古代ローマ皇帝が暮らした巨大宮殿が、まるごと街になったというスプリト。中世以降、宮殿の中には家がぎっしり建てられ、今は路地だらけで迷宮のよう。ユニークな街への誇りと愛情いっぱいの人々に出会います。

歩き方

街の基礎情報 スプリト

場所:

クロアチア南部

人口:

約18万人(2011年現在)

景色:

石造りの建物が密集する宮殿内に路地が張り巡らされています

人々:

街への誇りと愛情いっぱいの人たち

産業:

観光業

交通手段:

宮殿と周辺の歴史地区は車両通行禁止 運搬には電気自動車が

行き方:

日本から直行便はありません ウィーン、ミュンヘンなどヨーロッパの主要空港を経由して入ります

通貨:

クーナ
1クーナ=約16円(2019年6月7日現在)

歩き方

早朝、港沿いから歩き始めます。活気ある魚市場に寄って、古代ローマの宮殿へ。城壁に囲まれた「ディオクレティアヌス宮殿」にはおよそ100人が暮らしているそう。石造りの建物が密集しています。城壁を利用したカフェが並ぶ路地を歩くと、突然目の前が開けて現れるのが、古代ローマ時代の柱がずらりと並ぶ広場。遺跡を愛する建築家や、古代ローマ浴場跡の近くで暮らす家族に出会います。旧市街の西、マリヤンの丘から街を一望し、夜再び宮殿に足を向けると、暗闇に浮かぶ荘厳な大聖堂の姿に息をのみます。

街を歩いてみて(ディレクター談)

スプリトは豊かな海と明るい日射しに恵まれた街です。出会った人々はみな陽気、そして歌が大好きなのも印象的でした。この地方ではアカペラの伝統歌唱があるそうで、その影響か市場のカフェでも夜の酒場でも、居合わせた人々が美しくハモっていました。

写真ギャラリー

街のなりたち

街の起源は4世紀初頭、ローマ皇帝ディオクレティアヌスが隠居用に作った離宮です。宮殿は皇帝の没後、帝国の衰退とともに放置されますが、7世紀になると異民族に追われた周辺の人々が宮殿に住み着き、さらに新しい建物を作っていきました。多様な時代の建物が積み重なったスプリトの旧市街はユネスコ世界遺産に登録されています。

出会い

街の「時計屋」

活気あふれる魚市場。真剣な目で値段をチェックしている男性、聞けば近所の時計屋さん。30年間、ラジオで市場のリポーターをつとめ、ファンも大勢いるのだとか。魚の知識の豊富さは市場の人にも一目置かれるほどでした。

街の「オアシス」

石の壁が続く街の一角に緑の庭。聞けば、戦争のガレキでゴミ置き場同然だったのを近所の人たちで緑あふれる庭にしたのだとか。「ここはスプリトのオアシスよ」庭の上には洗濯物がはためき、木々の間で猫も気持ちよさそうです。

街の「花展示」

大きな花束を抱えた花屋さんについていくと、そこは宮殿地下の巨大な遺跡。ここを1万本の花で埋め尽くすのだそう。「宮殿の空気を感じると特別な香りで満たしてくれるんだよ」と笑います。不思議な話だけど妙に納得。きっと宮殿もうれしいだろうな。

グルメ

【第1位】イカスミのリゾット

スプリト定番中の定番。炒めたイカにイカスミを投入しライスと煮込むこと40分。スミの香りが口の中いっぱいに。モンゴウイカのスミにはアミノ酸、うまみ成分がたっぷり。もちろん歯と唇は真っ黒。食後のチェックを忘れずに!
<平均価格 100クーナ(約1600円)>

【第2位】ペカ

伝統の鉄鍋「ペカ」を使った料理。もともとはお祝い事のとき、石がまの中でペカを炭に埋めて調理したそう。こちらのお店ではカジュアルに、イモと野菜をオーブンで蒸し焼き、タコはグリルしてトッピング。タコの軟らかさはほろっほろ。
<平均価格  140クーナ(約2240円)>

【第3位】ブルデット

スプリトの家庭でもよく作られるトマトソース煮込み。魚介類なら何を使ってもおいしいのですが、本日のおすすめはアンコウとアカザエビの組み合わせ。魚のあらでとっただしで風味は抜群です。
<平均価格 140クーナ(約2240円)>

ちょっとより道

「海賊の街 オミシュ」

オミシュは、スプリトから海岸線をバスで40分走ったアドリア海に面する小さな港街。切り立った岩山が海岸線まで迫り、ティチナ川の上流は深い渓谷となっている。この街を拠点に大暴れしたのが12世紀〜14世紀にいた海賊たち。敵対するベネチアの船を沖合で襲い戦利品を奪うと、川をさかのぼり岩山の奧へと姿をくらましたのだそう。実はベネチアから街を守った英雄だという海賊たちの名残は、夏の海賊フェスティバルや岩山の見張り台、そして人々の自慢話にうかがえます。

語り:濱田マリ