2019年02月07日 (木)

トランプ大統領の転換点

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2019年2月3日の出演者のみなさんです。

左から、芳川隆一キャスター、坂下千里子さん、Mr.シップ、ゲストのモト冬樹さん、国際部髙木優デスクです。

 

アメリカのトランプ大統領といえば、移民政策として掲げている「国境の壁」の建設。

最近はニュースであまり聞かなくなりましたが、実はこれからが本番で、

トランプ大統領はいくつかの切り札を用意しているそうなんです。

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国際部アメリカ担当・髙木デスクが解説しました。

 

今回はこちらの模型を使ってそれを見ていきます。

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トランプ大統領は、アメリカとメキシコの国境近くで壁を建設しようとしています。

壁の問題というのは、トランプ大統領が、「不法移民対策のためにメキシコ国境に壁を作る予算をつけろ」と強硬に主張したところから始まりました。

これに野党・民主党が強く反発。

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予算案が通らず、政府機関が閉鎖する異常事態になりました。

閉鎖は史上最も長くなり、国民の不満が高まったことから、トランプ大統領もいったん壁の建設を取り下げました。

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トランプ大統領にとって、初めての「敗北」だという人もいます。

大幅な譲歩を強いられたのは事実で、かなりの痛手であることは間違いありません。

トランプ大統領、いまかつてなく厳しい立場に追い込まれています。

 

トランプ大統領の足元には、大きな穴が空いています。

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この問題が長引いたことで、支持率も一時、この2年間で最低水準の37%にまで落ち込みました。

さらに、足元だけではありません。

トランプ大統領の頭上はどんより雲、そして空から隕石が!

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そこには、「ロシア疑惑」と書かれています。

ロシア疑惑とは、前の大統領選挙で、トランプ陣営が勝利のために、ロシア側と組んで不正をしたのではないかという疑惑です。

捜査が大詰めを迎えていて、その最終報告が今月中に出そうなんです。

 

追い詰められていますが、転んでもただでは起きないのがトランプ大統領です。

壁の建設は最大の公約で、諦めていません。

それどころか今はちょうど4年間の任期の折り返し点で、来年秋には大統領選挙が控えているため、「この壁の問題が、大統領選挙の勝敗を決める。」と、それぐらいの意気込みで臨んでいるのです。

 

そのために用意している3つの切り札。

まず1つ目の切り札が、「一般教書演説」です。

今週の火曜日、日本時間の水曜日に予定されているすごく大事な演説です。

 

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アメリカ大統領が行う一般教書演説がどういうものか、オレが説明するヨーソロー

 

一般教書演説は、年に1度の一大イベント。

トランプ大統領が、一般教書演説で壁建設の必要性を訴えることは確実です。

演説で国民を納得させて、壁建設を推し進めようという考えなんです。

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演説は、真正面から国民に自分の思いを伝えます。

これは、切り札のうちの「正攻法」です。

 

しかしこれだけで壁が建設できるわけじゃありません。

そこで2つ目の切り札が、いま急浮上している「スマート・ウォール」という案です。

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これは、監視センサーやドローンなどのハイテク機器を大幅に増やして、国境を監視する方法です。

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壁は作らずに、「壁のようなもの」を設置しようという案です。

 

実はこれ、もともとは民主党が提案したものですが、ここへ来てトランプ大統領が関心を示しはじめています。

トランプ大統領にとって、これは切り札のうちのいわば「妥協策」です。

関心を持ち始めているとはいえ、完全に納得しているわけではなく、「ハイテク機器を組み込むのはいいが、柵でも良いから構造物を設置しなければダメだ」と主張しています。

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これに合わせて最近は「壁」よりも、「柵」という言葉をよく使うようになり、民主党に歩み寄る姿勢も見せています。

 

結局のところ、「壁」が「スマート・ウォール」になるのか、「柵」になるのかは、トランプ大統領と民主党との今後の話し合い次第です。

トランプ大統領が、自分の支持者である保守的な人たちに向けて「スマート・ウォールは壁と同じ意味なんだ」と主張できると判断すれば、受け入れる可能性があります。

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一方で野党・民主党からすれば、スマート・ウォールで落ち着けば、「トランプ大統領に壁を作らせなかった」と主張しやすい可能性があり、双方にとって、支持者を納得させられるギリギリの案を検討しているとみられます。

 

それでも、うまくいかない時の3つ目の切り札がこちら。

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トランプ大統領がちらつかせている「非常事態宣言」です。

これを出すと、「民主党との話し合いがまとまらなくても大統領の権限で、壁を建設できる」と、トランプ大統領は主張しています。

「非常事態宣言」という強力なエンジンを付けて壁建設を推し進めようというものです。

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これは「強硬策」という切り札です。

 

しかし、民主党は強く反発することは間違いなく、また政府機関が閉鎖されて泥沼状態になる可能性が高いです。

そのため、できれば3つ目の切り札は避けたいのが本音だと思います。

 

厳しい状況に置かれているトランプ大統領ですが、「外交」によってポイントを取り戻そうと考えています。

今後の政治日程を見るとトランプ大統領の思惑が見えてきます。

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まず、壁建設をめぐる民主党との次の交渉期限が、2月15日。

これで決裂すると、次は「外交」です。

2月下旬に開かれる予定の、2回目の米朝首脳会談です。

実は、1回目の会談後にトランプ大統領の支持率は跳ね上がりました。

国内政治で窮地に追い込まれてたとしても、ここで挽回できると計算があるのだと思います。

会談を政治ショーとして利用しようとしているようにも見えますね。

 

さらに3月1日には、中国との貿易交渉の期限も迎えます。

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実は中国に対しては、強い姿勢をとるべきだという点では、トランプ大統領も民主党も同じです。

中国に強く臨むことで、支持率の上昇につなげたい考えです。

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ここまで説明してきたのは、トランプ大統領が理想として描いているシナリオです。

外交の2つのチャンスで、中身が伴わなければかえって評価を下げるかもしれません。

トランプ大統領にとって大事なのは、来年秋の大統領選挙での再選です。

そこで、きょうのキーワードはこちら。

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「勝つも負けるも壁次第」

来年の大統領選挙が終わって振り返った時にこの壁をめぐる攻防が、大統領選挙の勝敗を分けたとなるかもしれません。

そういう意味でも、ここ数週間の動きが大事になってくると思います。

 

 

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:芳川隆一 坂下千里子 Mr.シップ

2019年2月10日のゲストは、パックンさんです。

投稿者:芳川隆一 | 投稿時間:14:35 | カテゴリ:せかいま美術館 | 固定リンク


  
2019年02月02日 (土)

週刊Mr.シップ 第百四十九回 「平和的解決」

せかいまのリハーサル中に速報が入ったんだよな。

 

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投稿者:Mr.シップ | 投稿時間:18:22 | カテゴリ:週刊Mr.シップ | 固定リンク


  
2019年02月01日 (金)

子供に負担をかけないで

2月3日(日)の「せかいま」で、医療通訳についてお伝えします。日本で病院を受診する外国人患者と医師の間のコミュニケーションを手助けする仕事です。先日(1月17日)のブログで、医療通訳としてデビューしたばかりの中国人女性について書きましたが、今日はもう1人、VTRに登場する人をご紹介します。

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日系3世のペルー人、モンテス・フランコさん(32)です。都内の通訳会社でスペイン語の通訳として勤務しています。モンテスさんが手掛けるのは、病院からの通訳依頼や外国人からの119番通報など、緊急性の高いものが中心です。

 

モンテスさんは16歳の時、父親が日本の自動車部品工場で働くことになり、両親と妹の一家4人で来日しました。それから2年後のある日、後から日本に来たばかりの親戚の男性が急に体調を崩すことがあり、親族の中で唯一、日本語が話せたモンテスさんが救急車に乗って付き添うことになりました。車内で、苦しそうな親戚の男性と救急隊員のやり取りを必死に通訳した当時の事を「専門用語はまだよくわからなかったし、そもそも救急車に乗るのも初めてで、とても怖かったです」と振り返ります。

 

この時の経験からプロの通訳になったモンテスさん。「他の人が自分と同じような経験をしなくて済むような社会にしたい」といいます。今も、日本語が分からない両親に代わって、若いうちに来日し日本語が堪能な子供たちが医療現場での通訳を担わざるを得ない事があるそうです。「命に係わる通訳だから、訓練を受けた専門家が担うべき。子供に大きな責任を背負わせないために」。この思いで、今日も業務にあたっています。

 

モンテスさんのお話を聞いて、私も医療通訳の必要性を強く感じましたし、今後、その利用がもっと広がれば良いなと思いました。

 

 

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:芳川隆一 坂下千里子 Mr.シップ

2019年2月3日のゲストは、初登場!モト冬樹さんです。

 

投稿者:芳川隆一 | 投稿時間:13:00 | カテゴリ:芳川隆一のよしよし!やったるぜ! | 固定リンク


  
2019年01月31日 (木)

マクロン大統領 大丈夫?

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2019年1月27日の出演者のみなさんです。

左から、芳川隆一キャスター、坂下千里子さん、Mr.シップ、ゲストのサヘル・ローズさん、国際部権平恒志デスクです。

 

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「ちょっくらパリに行ってきたんだけどよ、大好きなパリが大変なことになっていたんだヨーソロー。」

 

フランスでは、去年の11月からマクロン大統領の政策に不満を持つ人たちによる、デモが行われています。

フランス全土でおよそ7万人が参加し、マクロン大統領の退陣を求めていますが、普段デモが行われないシャンゼリゼ通りや凱旋門といった場所でも行われています。

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その回数も異例の多さです。

去年11月の中旬から毎週土曜日に行われ、1月26日の土曜日で11回目のデモとなりました。

 

今、フランスで何が起きているのか、国際部権平デスクが解説しました。

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権平デスクがパリで取材した時のマクロン大統領の印象は、エリート中のエリート。自信にあふれた野心家です。

最初は人気があったんですが、今は厳しい状況に置かれています。

おととしの大統領就任当初は60%を超えていた支持率は、いまや20%にまで落ち込んでいます。

支持率40%台のアメリカのトランプ大統領から「支持率が非常に低い」とツイッターでやゆされてしまうほどです。

 

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マクロン大統領についてはオレが説明しヨーソロー

 

マクロン大統領には2つの夢があります。

まず1つめは、「経済の立て直し」です。

 

それについては、こちらのパン屋さんで説明していきます。

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このお店は、フランス経済の状況をあらわしています。

張り紙を見ると、15歳から24歳の若者の失業率は20%を超えてます。

若者の5人に1人が職がありません。

すっかり行き詰まったこのお店を立て直そうと、新たに店長になったのがマクロン大統領です。

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「経済の立て直し」という窯で、新メニュー(新しい政策)のパンを焼くマクロン大統領。

お客さんのフランス国民は、新メニューを楽しみにしています。

 

マクロン大統領が、最初に焼いたのは「給料上が~るパン」。

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このパンが長いのは、「給料が上がるまでには結構時間がかかる」ということをあらわしています。

企業から取る税金を「法人税」と言いますが、任期中の5年間をかけてこの「法人税」を減らしていくと約束しました。

「それで企業が儲かれば、やがて皆さんの給料も増えますよ」という筋書きです。

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お客さんの反応はというと…

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お客さんは、「給料はすぐに増えないのか」と困惑しているようです。

 

マクロン大統領が次に焼き上げた新メニューは、「産業元気のパン」。

このパンがあれば、産業が生み出されて活性化され、経済全体が元気になるというわけです。

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大きくて甘いメロンパンが焼きあがりました。

しかしこちら、一般市民向けではなく、“お金持ち向けのパン”なんです。

フランスには“超”お金持ちに課される「富裕税」という税金があります。

マクロン大統領は「富裕税」の一部をなくしました。

「“超”お金持ちがその分を投資に回せば、新しい産業も生まれ、経済が元気になる」と考えているんです。

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国民は、「金持ちばかり優遇している!」とか「結局、金持ちの大統領には、国民の痛みがわからない。」と怒っています。

 

そして最後の新メニューは、「みんなに優しいパン」。

「皆さんの暮らす環境を良くしますよ」というパンです。

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なのに、真っ黒焦げ!全然優しくありません!

おいしいメロンパンはお金持ちにあげて、一般市民には黒焦げのパン。

国民の怒り爆発です。

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こちらの黒焦げのパンは、「燃料税の引き上げ」という政策をあらわしています。

燃料税は、ガソリンなどにかかる税金です。

ガゾリンなどが高くなって人々がマイカー利用を控えるようになれば地球温暖化対策になります。

でも今の車社会では、ガソリン代やディーゼル燃料の価格は、市民生活に直結します。

ただでさえ「不公平な負担を強いられてる」と感じている市民の家計を直撃するわけです。

「燃料税の引き上げ」が、これまで溜まっていた国民の不満に火をつけ、今回の大規模な抗議デモへとつながりました。

とりわけ、車が欠かせない地方の人たちの怒りが大きく、デモは地方都市でも起きていて、パリのデモも参加者の多くは地方から来ているんです。

デモの発端は燃料税の引き上げですが、その根底には、地方が抱える深刻な課題があります。

人口4,000人の町、ブリオンヌでは、年金生活者が多く暮らしていますが、駅が無人化し、電車の本数もが減っています。

さらに、税務署が閉鎖され、来月には病院の産科も閉鎖が決まっています。

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マクロン大統領は、医師や看護師に地方の病院で働いてもらおうと取り組んでいますが、うまくいっていません。

批判が高まる中、マクロン大統領は地方の意見を聞こうと今月から各地をまわり始めましたが、集会では怒りの声が相次ぎました。

 

金持ちに対する庶民の怒りは、日産自動車、カルロス・ゴーン前会長にも向かっています。

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マクロン政権は当初、ゴーン前会長をルノーの経営トップにとどめることを支持してきました。

しかし、勾留が長引く中で方針を一変させゴーン前会長の交代を検討するよう迫りました。

そして、ゴーン前会長はルノーの経営トップを降りたのです。

格差への不満が噴き出し、デモという火種を抱えているマクロン大統領からしてみれば、かばっているとみられるのを避けたかったのかもしれません。

 

ここまで見てきた「経済の立て直し」という夢が、国民の怒りを買ってしまったことが、マクロン大統領の2つめの夢「EUの結束」にも影を落としているんです。

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「正念場」という表現は、マクロン大統領自身が表現した言葉です。

2016年の秋、大統領選挙を前に自分の本でこんな指摘をしています。

「これからの2年間は、ヨーロッパにとって運命を左右する正念場となる。」

2年後の今、イギリスはEUから離脱しようとしているし、イタリアではEUに批判的な政権が誕生しました。

マクロン大統領は、ヨーロッパを1つにまとめる旗振り役。

そのマクロン大統領が、国内の貧富の格差、都市と地方の格差を解消して、国民の怒りを鎮められなければ“EUの結束”という夢の実現は遠のきます。

フランスのマクロン大統領の今後を見れば、ヨーロッパの行方も見えてくるのではないでしょうか。

 

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これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:芳川隆一 坂下千里子 Mr.シップ

2019年2月3日のゲストは、初登場!モト冬樹さんです。

投稿者:芳川隆一 | 投稿時間:14:22 | カテゴリ:せかいま美術館 | 固定リンク


  
2019年01月26日 (土)

週刊Mr.シップ 第百四十八回 「フランス」

ボンジュール、シルブプレ?

 

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黄色いベストって交通整理とかで着るやつだろ?

てっきりデモをおさめる人がいっぱいいるんだと思ってたヨーソロー。

 

投稿者:Mr.シップ | 投稿時間:17:00 | カテゴリ:週刊Mr.シップ | 固定リンク


  
2019年01月25日 (金)

離脱へのカウントダウン、その陰で

最近、ニュースでもよく目にするイギリスのEU=ヨーロッパ連合からの離脱。

先週の「せかいま」でもお伝えしました。

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離脱の期限は3月29日。あと60日あまりに迫ってきましたが、離脱した後のEUとの付き合い方を巡って、メイ首相を中心にイギリスは大混乱の真っ最中です。

そんな中で、昨日、ソニーが、イギリスにあるヨーロッパ事業の本社を、登記上、オランダに移す準備を進めているというニュースが。ソニーは、日本やアジアの工場で生産したカメラなどを、この本社を通じてヨーロッパの国々で販売しています。ところが、もしこのままEUとの協定が無いままイギリスが離脱することになると、EU域内ではこの会社を通じて販売できなくなってしまうんです。

 

これまでも「せかいま」で、日本企業の中にはイギリスから他のEU加盟国に拠点を移す動きが出てくるかも…とお伝えしてきましたが、ついにそういう事態が現実になってきたのでしょうかね…。ソニーの場合はあくまで登記上、オランダに移るだけで、事業拠点や従業員はイギリスからは動かないということですが、これから3月にかけて、他にもこうした企業の動きが出てくるんでしょうか。

 

イギリスのEUからの離脱、まだまだ目が離せませんね。

 

 

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:芳川隆一 坂下千里子 Mr.シップ

2019年1月27日のゲストは、サヘル・ローズさんです。

投稿者:芳川隆一 | 投稿時間:14:07 | カテゴリ:芳川隆一のよしよし!やったるぜ! | 固定リンク


  
2019年01月24日 (木)

日ロ首脳会談 プーチン大統領の思惑

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2019年1月20日の出演者のみなさんです。

左から、芳川隆一キャスター、坂下千里子さん、Mr.シップ、ゲストの小芝風花さん、国際部権平恒志デスクです。

 

1月22日(火)に、日本とロシアの首脳会談が行われました。

この日の放送では、会談を前に、日本とロシアの北方領土をめぐる問題について、権平デスクが解説しました。

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カレンダーも発売されている、ロシアのプーチン大統領。

会談の焦点は、北方領土問題を含む平和条件交渉がどこまで進むかです。

 

北方領土は北から、択捉島、国後島、色丹島、歯舞群島です。

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かつては多くの日本人が暮らしていましたが、第2次世界大戦で日本人が降伏した後になって、当時のソビエト軍が日本人を追い出し、4島を不法に占拠しました。

当然、日本は固有の領土という立場です。

今、択捉島、国後島、色丹島の3つの島には、合わせて1万8000人ほどのロシア人が住んでいて、ロシアによる開発が進められています。

 

戦後70年あまり経った今も北方領土をめぐる交渉はなかなか進んでいません。

 

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[北方領土交渉をめぐる長い交渉の歴史についてオレが説明しヨーソロー]

 

進展が見られた時期もありましたが、結局解決に至っていません。

しかし今、動き出しているんです。

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プーチン大統領が国際社会のなかで置かれている状況を見ると理由がわかってきます。

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こちらは、国際社会で孤立してさみしそうなプーチン大統領。

欧米各国がロシアに経済制裁を科して冷たい風がロシアに吹き付けられています。

欧米とロシアの関係は冷え込んでいるんです。

なぜ、こんなことになっているかというと、ロシアは2014年にウクライナ南部のクリミア半島を一方的に併合したからなんです。

とりわけアメリカとの関係は悪くなるばかり、トランプ大統領はプーチン大統領と距離を置いたままです。

 

欧米との冷たい関係を離れ、プーチン大統領は温かい関係を求めて、かまくらに行ってみると…

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中には、中国の習近平国家主席が。

ロシアと中国は、政治やエネルギーなど経済分野で協力しています。

アメリカと対抗する意味でもロシアは中国と仲良くしているんです。

しかしプーチン大統領、内心では中国に対して不信感を抱いています。

なぜかと言うと、実は中国の影響力がじわりとロシアに迫っているからなんです。

 

ロシアは東側で中国と4000キロの国境を接していて、人口も経済規模も中国に圧倒されています。

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さらに、中国は遠くロシアの西の方まで影響を広げてきているんです。

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ベラルーシのルカシェンコ大統領は、同盟国のロシアに対して不信感を持っています。

経済や安全保障でロシアに依存してきたベラルーシですが、クリミア併合を目の当たりにして、いずれロシアに飲み込まれるおそれもあると考えています。

そのベラルーシに接近しているのが中国。

ヨーロッパにつながる「一帯一路」の構想を推し進めたい中国と、ロシア依存から抜け出したいベラルーシの思惑が一致。両国は急速に関係を深めています。

 

プーチン大統領にとっては気になる動きです。

アジアとの関係構築を進めるにあたって、こういう動きがあるから中国だけに頼るという状況は避けたいわけです。

 

そこでプーチン大統領が熱い視線を送る先が、日本です。

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日本との関係でカチコチに凍った北方領土問題。

安倍首相は、自分とプーチン大統領の手で、この問題に終止符を打つという決意をしています。

 

日本とロシアに間にあるのがこちらの暖炉。

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暖炉の炎を大きくして領土問題という氷を溶かそうということなんですね。

プーチン大統領にとって、この氷を溶かすことにどんなメリットがあるかというと、G7(=主要7か国)の日本と関係を発展させることで国際社会から孤立したイメージを払拭できます。

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プーチン大統領としては、日本と話し合っているという姿を国際社会に見せれば、プラスになります。

それに日本と関係を強化することで日本との経済協力が期待できるとも考えているんです。

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ただ、道のりは決して平坦ではありません。

1956年の「日ソ共同宣言」には、平和条約を結んだ後、歯舞、色丹の2島を引き渡すと書かれています。

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安倍首相とプーチン大統領は去年11月、この日ソ共同宣言を基礎に平和条件交渉を加速させることで合意しました。

ただ、プーチン大統領からすると、平和条約を結んで歯舞・色丹の2島を引き渡しで最終決着という立場で、その2島でもロシア国民の支持を得ることが必要になります。

ロシア国内では、北方領土について新聞やテレビでも報じられ、これまでこの問題をあまり知らなかった人も関心を持ち始めています。

北方領土についてロシアの人たちは「戦争に勝って得た土地だ」と思っていて、「島を引き渡すなんて認められない」という考えです。

4島の引き渡しに反対する集会も開かれています。

 

プーチン大統領は仮に日本と平和条約を結んで島を引き渡すとしても、そこから何が得られるのか、見極めようとしていると思います。

アメリカと同盟関係にある日本が、どこまでロシアと協力的な関係になってくれるのか、経済関係がどこまで拡大されるのかという点です。

少しでも有利な形で平和条約を結べるようさまざまな条件を突きつけてくることもありそうです。

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プーチン大統領にとっては、どれだけロシアの国益にかなう形で問題を解決できるかが重要です。

それは、ロシアの国民をどう納得させられるか、ということでもあります。

 

安全保障面も重要で、プーチン大統領は、仮に島を引き渡した場合、島にアメリカ軍が展開することはないかと強く懸念しています。

日本側の対応を見極めたいのと同時にロシアが安全保障面で強い姿勢崩さないという国内向けのアピールだとも言えます。

プーチン大統領の発言の裏には、国民向けのメッセージもあると考えて真意を探っていくと、交渉の行方を占うことができるかもしれません。

 

 

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『ドライアイスって、もこもこしてて、なんかテンション上がるよな。』

 

 

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:芳川隆一 坂下千里子 Mr.シップ

2019年1月27日のゲストは、サヘル・ローズさんです。

投稿者:芳川隆一 | 投稿時間:14:50 | カテゴリ:せかいま美術館 | 固定リンク


  
2019年01月19日 (土)

週刊Mr.シップ 第百四十七回 「北方領土」

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もうすぐ日本とロシアの首脳会談があるんだ。

日曜日のせかいまは、日本人にとって大切な北方領土の話をするぞ。

投稿者:Mr.シップ | 投稿時間:20:11 | カテゴリ:週刊Mr.シップ | 固定リンク


  
2019年01月17日 (木)

医療の現場で活躍中です

去年、日本を訪れた外国人観光客は初めて3000万人を超えました。今年4月からの外国人材の受け入れ拡大も受けて、日本に長期滞在する外国人がさらに増えそうですね。こうした中、日本で病院を受診する外国人も増えていて、今、医師と患者の間のやり取りを通訳する「医療通訳」という仕事が注目されています。

 

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こちら、中国出身の楊婧華(よう・せいか)さんも医療通訳の1人。

病院に出向いて対面で通訳を行うだけでなく、インターネットのテレビ電話機能を使った遠隔通訳や、電話のみでの通訳も行います。あらかじめ提携している医療機関から突然、依頼の電話が飛び込んでくることもあるそうですから、気が抜けません。

 

楊さんは去年、医療通訳としての仕事を始めました。

きっかけは、おととし日本で長女を出産した時の事。中国の大学で日本語を専攻していて語学力には自信がありましたが、時折飛び交う専門用語には、やはり不安な気持ちになったそうです。そこで、自分と同じように不安に思っている人の助けになればと、医療用語を学んで、医療通訳の世界に入りました。この日は楊さんのお宅にお邪魔して、当時の不安だった気持ちなどをじっくりと伺いました。その時に生まれた娘の芷源(しげん)ちゃんは、今1歳3か月。

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「芷源(しげん)ちゃんが静かなうちに、勉強がんばりますっ!」と、お手製の単語帳を開く姿が印象的でした。「せかいま」では、楊さんも含めた、日本にきてから医療通訳として活躍している外国人の方について、近くお伝えすることにしています。ぜひお楽しみに! 

 

 

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:芳川隆一 坂下千里子 Mr.シップ

2019年1月20日のゲストは、小芝風花さんです。

 

投稿者:芳川隆一 | 投稿時間:20:00 | カテゴリ:芳川隆一のよしよし!やったるぜ! | 固定リンク


  
2019年01月16日 (水)

壁とロシア疑惑 ねじれ議会にトランプ大統領は

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2019年1月13日の出演者のみなさんです。

左から、芳川隆一キャスター、国際部山香道隆デスク、坂下千里子さん、Mr.シップ、ゲストの町田啓太さん、国際部池畑修平デスクです。

 

アメリカの首都ワシントンでは、3週間も閉鎖したままの政府機関もあります。

街はゴミだらけ。保安検査が大行列になっている空港もあります。

なぜこんなことが起きているのか。

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国際部アメリカ担当・山香道隆デスクが解説しました。

 

これほど長い間、政府機関がストップするのはアメリカの歴史上初めてです。

閉鎖が長引く中、ワシントンでは、連邦政府の職員による大規模な抗議デモが連日行われています。

人々の不満や不安が増してきているようです。

 

なぜこのようなことになっているのか。

それは、アメリカの議会が新しい予算案にゴーサインを出していないからなんです。

アメリカの議会では今年から野党・民主党の存在が大きくなり、トランプ大統領との対立がより深まっています。

議会の承認が得られないために、政府はお金を使うことができず、職員の給料も支払うことができません。

この対立について、アメリカをバイクで走るトランプ大統領と見ていきましょう。

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アメリカの議会には上院と下院と2つあります。

去年11月の中間選挙前までは、上院も下院もトランプ大統領と同じ共和党が多数派を占めていました。

それが中間選挙で大きく変わりました。

上院は共和党が多数派を守りましたが、下院は多数派が共和党から野党・民主党に変わったんです。

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下院で多数派となった野党・民主党がこれまで以上にトランプ政権に対抗する勢いを強めていて、トランプ大統領は「やりたい放題」というわけにはいかなくなりました。

予算案もなかなか通りません。

 

これでは国民が困ってしまいますが、民主党にはどうしても妥協できない問題があるんです。

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トランプ大統領はメキシコとの国境沿いに「壁をつくる」と、選挙公約の1つとして、大統領のときからずっと言い続けています。

この壁の建設費用を今回の予算案に盛り込むべきだと強く主張しています。

これに民主党は反対しているんですね。

壁の建設を認めてしまうと、来年の大統領選挙に向けてまた1つ大統領の実績を上げさせることになります。

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トランプ大統領は年明けからつまづいていますが、さらに今年はトランプ大統領に大きな問題が待ち構えています。

それがこちら。

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捜査はいよいよ大詰めを迎えているとみられ、民主党もここぞとばかりにトランプ大統領を厳しく追及すると思います。

 

ロシア疑惑とは、2016年のアメリカ大統領選挙の期間中に起こった問題です。

当時、トランプ大統領と民主党のクリントン元国務長官が激しく争っていました。

ここにロシアが出てきます。

トランプ大統領の誕生を後押しすることを狙ってクリントン陣営などにサイバー攻撃を仕掛けたと

されています。

問題はこの疑惑に「トランプ大統領が関わっていたかどうか」ということです。

これが本当なら辞職に追い込まれる大問題です。

 

選挙から2年経ちますが、最近の捜査で少しずつ状況が明らかになってきています。

というのも、トランプ大統領の内情を熟知するいわゆる“腹心”とも言える人たちがさまざまな証言をして捜査に協力しています。

 

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[トランプ大統領の元側近たちがロシア疑惑の捜査に協力し始めたんだヨーソロー]

 

トランプ大統領の黒幕と言われるマイケル・コーエン氏は来月、議会の公聴会で証言します。

証言を前に、「実際に起きたことについて十分に正確な説明ができるまたとない機会を楽しみにしている」と語っているといいます。

トランプ氏の裏の顔をよく知っているだけに議会での証言はトランプ政権に少なからず痛手となりそうです。

 

さらに、注目されるのがコーエン氏の証言なども踏まえて来月にもまとめられる見通しの捜査報告書です。

トランプ大統領本人が関わっていたかどうか、言い逃れができないような証拠をもって明らかにされるかどうかが報告書の最大の焦点です。

仮に明確な証拠が出された場合、議会で野党・民主党がトランプ大統領を追及し、大統領はいっそう厳しい立場に追い込まれます。

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国内の政治がうまくいかないトランプ大統領の打開策は、「外交」です。

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今年は、外交での成果づくりを目指しています。

そのため、これまで以上にアメリカ第1主義で各国により強い姿勢でのぞんでくるかもしれません。

 

今年、注目されるのは、中国との貿易摩擦の問題です。

そして、北朝鮮の非核化をめぐる米朝の首脳会談、2回目はどうなるのか。

さらに日本に対しても、アメリカにとって有利な2国間の貿易協定をせまってくるかもしれません。

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メキシコとの国境の壁問題やロシア疑惑の対応などで厳しい立場に直面するトランプ大統領。

内政で身動きがとりにくくなればなるほど自分の裁量がきく外交で得点稼ぎにくると思います。

アメリカと外交・安全保障や貿易で切っても切れない関係にある日本もひとごとではありません。

トランプ大統領特有のディール(=取り引き)を求めて強硬な姿勢も見せてくる可能性もあります。

 

2019年も、トランプ大統領から目が離せません。

 

 

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:芳川隆一 坂下千里子 Mr.シップ

2019年1月20日のゲストは、小芝風花さんです。

投稿者:芳川隆一 | 投稿時間:15:33 | カテゴリ:せかいま美術館 | 固定リンク


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