2019年10月03日 (木)

お祝いムードのウラに課題も 中国建国70年

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2019年9月29日の出演者のみなさんです。

左から、永井伸一キャスター、国際部の為井貴規デスク、坂下千里子さん、Mr.シップ、ゲストの虻川美穂子さん、岩田明子解説委員です。

 

※中国の建国記念日(10月1日)の2日前の放送内容をテキストにしています。

 

パンダのふるさと・中国は、10月1日が70年目の誕生日。

あちこちでイベントが開かれて、お祝いムードでいっぱい!

これまでものすごい勢いで発展してきた中国だけど誕生日を前に、なにやら心配事も多いようです。

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国際部中国担当、為井貴規デスクが解説しました。

 

10月1日は中国にとって、一番大切な日です。

こちらのカラー映像、建国記念日を前に中国政府が、初めて公開しました。

70年前の10月1日の天安門広場。

中国・建国の父とされる、毛沢東の演説です。

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「中華人民共和国の成立を宣言する」。

まさに、いまの中国が立ち上がった歴史的な瞬間なんです。

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いまの中国は毛沢東をリーダーとする中国共産党のもと立ち上がりました。

その後、海外から資本や技術を導入するなどして、経済を成長させていきます。

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世界第2の経済大国にまで成長し「豊か」になりました。

そして、いま、目指すのは「強国」。

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政治や軍事、経済、あらゆる分野で世界をリードする強い国です。

共産党は中国を統治する唯一の政党です。

70年間、このやり方で中国を発展させてきました。

こちらの塔、名付けて「共産党一党支配塔」です。

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今のトップがこの人、習近平国家主席です。

中国のリーダーたちは、これまで、発展の成果を内外に知らしめるように建国記念日を祝ってきました。

なかでも、10年ごとの節目には、威信をかけた軍事パレードを行ってきました。

習主席も、10月1日は過去最大規模の軍事パレードを行って盛大に祝う予定です。

 

 

直前の様子を取材しました。

建国記念日まであとわずかとなった北京では、国旗や「熱烈に祝う」などという横断幕が至るところに掲げられています。

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書かれていたのは「習主席のもと団結し、社会主義の偉大な勝利へ!」という勇ましいスローガン。

その前で、市民が記念撮影をしていました。

 

国をたたえる歌を歌っているグループもいました。

「親愛なる祖国よ、これから豊かで強い国に」。

「ワクワクしているわ!中国で生きることは誇りよ」。

当日の行事に向けた訓練や準備も加速しています。

 

この日、カメラマンが家族と街中を歩いていると…。

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上空を、70という数字をつくったヘリコプターの編隊が飛んでいきます。

通行止めになっている道路では、武装警察などが警戒し緊張感が高まっています。

テレビでも、連日、建国記念日のニュースが放送されています。

9月に入って3回、週末の深夜に外国メディアを排除して予行練習が行われました。

市民や兵士のべおよそ70万人が動員されたといいます。

 

こうした行事の中でも、習近平指導部がとりわけ重要だと位置づけているのが、軍事パレードです。

強力な軍事力を国内外に示し国威発揚につなげようとしています。

パレードでは「世界一流の軍隊」を目指して開発してきたさまざまな兵器が、お披露目されます。

中でも注目は、初めて公開される可能性がある新型のICBM=大陸間弾道ミサイルです。

アメリカ全土を射程におさめるものでアメリカへの強い牽制となります。

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「皆さん、楽しみにしていてください。失望はさせません」。

 

 

10月1日に向けて盛り上がっていますが…

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習主席、顔色が変わりました。

習主席の内心は、やや不安を抱えながらということになるかもしれません。

というのも、この「一党支配塔」を、ともすれば揺るがしかねない事態が起きているんです。

 

鍵を握るのは、この人、トランプ大統領です。

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塔が揺れ、一部が剥がれました。

剥がれた場所には「経済減速」と書いてあります。

いま、中国では経済の減速が鮮明になっています。

原因の1つは、トランプ大統領率いるアメリカとの貿易戦争です。

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アメリカによる関税の上乗せは確実に中国経済に打撃を与えています。

対立の出口が見えない中で、今後も、安定した経済成長を続けられるか見通せなくなっているんです。

 

そして、この「一塔支配塔」を揺るがしかねない要因はまだあります。

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また揺れて、そして、また何か剥れました。

「香港問題」と書いてあります。

香港といえば、連日報道されている、デモ。

「一党支配塔」を揺るがしかねないもうひとつの要因が、長期化する香港政府に対する抗議活動です。

依然として、収まる気配はありません。

中国共産党としては、中国の一部である香港での抗議活動をいつまでも解決できなければ、いずれは、中国本土にも、民主化を求める動きとして、飛び火しかねないと恐れているんです。

 

 

香港の様子を現地の若槻支局長に聞きました。

 

こちらではお祝いとは正反対の雰囲気です。

いまこの時間も、ネット上の呼びかけに応じて、大勢の市民がデモ行進をしていて、一部で、警官隊が催涙弾を発射するなど衝突も起きています。

10月1日当日には再び、デモ行進が呼びかけられています。

香港政府は先週、事態の打開を図ろうという行政長官と市民150人との対話を行ったんですが、

「3か月以上、市民が街に出て要求を突きつけているのに、何を求めているのか、まだわからないのか?」と不満をぶつける人たちが相次ぎました。

「対話は無意味だった」と切り捨てる人たちも多く、政府や警察に対する反発は全く弱まっていないと感じます。

 

一連の抗議活動は、すでに100日が過ぎました。

10月1日はひとつの山ではありますが、むしろ多くの人は11月下旬に行われる各地区の議員選挙を見据えています。

デモに参加している若者達が多く立候補すると見られていて、抗議活動が選挙活動と一体となって大きなエネルギーになると見られています。

5年前の雨傘運動はデモへの反発の声も上がり、およそ2か月半で収束しました。

しかし今回は政府や中国に対する反発が日を追うごとに増し、市民がより団結していて収まる気配はありません。

11月の選挙で民主派の立候補が認められないケースなどがあれば人々の反発はいっそう激しさを増し、

香港の混乱はさらに深まっていくことになります。

 

 

このままで、中国共産党の「一党支配塔」は大丈夫なのでしょうか。

 

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[中国共産党は、一党支配を守るために、いろんな事をしてるんだヨーソロー!]

 

新聞やテレビでは、中国共産党にとって都合の悪いことは、報道させません。

インターネットでは、個人の書き込みも監視し、批判はすぐに削除しています。

犯罪を取り締まる警察も、判決を下す裁判所も、中国共産党の方針に従います。

たとえ政府に不満があっても、自由な選挙はやりません。

 

中国共産党のメンバーは、中国に9000万人もいますが、中国の人口はその15倍の14億人近くもいます。

いくら目を光らせて抑え込んでも、すべての人を納得させることはできません。

中には反発する声もあって地方レベルでは、ときに不満が爆発することさえあります。

 

これは3年前に為井デスクが取材した、中国の農村部の様子です。

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まだ貧しい家も多く、貧富の格差への不満が根強くあることを実感しました。

人々の不満は、ときに政府に直接向かうこともあります。

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こちらは、地元政府が計画した工事に反発した住民の抗議活動です。

政府庁舎に乗り込み、計画を中止に追い込みました。

さらに、中国の少数民族の中には政府の政策が抑圧的だなどと不満を持つ人もいて、過去にはウイグル族による大規模な暴動につながったケースもありました。

中国政府は、いま、100万人ものウイグル族の人たちを不当に拘束していると、国際社会から批判を受けていて、くすぶる不満を力で抑え込もうとしています。

 

ただ、これまでは、国が発展するなかで、比較的多くの人はとりあえず自分の生活は良くなっているからと、受け入れてきた形です。

ただ、アメリカとの貿易戦争の影響で経済がさらに減速すれば、国民の生活への影響は避けられません。

また、そこに、香港の抗議活動も影響が飛び火すれば、批判の矛先は中国共産党にも向かいかねません。

 

うまく対応しないと、この「一党支配塔」がさらに大きく揺れかないってことなんですね。

そこで習主席がいま、一番頼りにしているのがこちら。

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「愛国心」です。

国民の愛国心を高めて「一党支配塔」を安定させようとしているです。

 

その様子を取材しました。

 

毎日、日の出とともに行われる国旗掲揚式では、建国70年を控え、これまでよりも多くの人々が訪れています。

中には、国旗掲揚の様子をスマートフォンで生中継している男性も。

「祖国ばんざい!国は豊かに、国民は強くなる!」。

 

国営メディアは建国70年に向けて、宣伝を強化してきました。

連日「国旗」を愛国心の象徴に見立てた歌を放送しています。

「国旗は私の誇りだ。国旗は私の生命以上に重要なのだ」。

 

さらに中国政府は、これまでの発展の成果を披露する展示会を開き、人々の愛国心を高めようとしています。

展示会には、建国以来の歴史とともに、世界で初めて月の裏側に着陸した探査機「嫦娥4号」や、初の国産空母の模型などを展示。

科学や軍事面での技術の進歩を強調することで、求心力を高める狙いがあります。

そして、アメリカとの貿易戦争で経済の減速が取りざたされる中でも、世界第2位の経済大国であると強調。

国民1人あたりの所得は40年間で24.3倍になったとして、成果を誇示し経済不安を払拭しようとしています。

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「米中貿易戦争を恐れていません」。

「これからも中国共産党は、国をさらに輝く時代に導いてくれると思います」。

 

 

このような愛国心の強い人々がいる一方で、中国共産党主導の愛国心をあおる宣伝に、冷めた見方をする人も少なくありません。

いまは、中国でもネットを通じて海外の情報がたくさん入ってきますし、年間1億人を超える中国人が海外旅行に行き、多様な価値観に触れる時代なので、露骨な宣伝だけでは、そう簡単に信じません。

このため、愛国心に染まる人と、冷めた見方をする人に分かれていっているようにも感じます。

 

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キーワードは「曲がり角?」。

中国は、課題を抱えるなかであさって建国70年の節目を迎えます。

習主席は一党支配の正しさを強調する演説をするはずで、私は、そこに現状への危機感がどのくらいにじむのか、注目しています。

共産党が、この先も、国民の支持をつなぎとめていくことができるのか。

70年目以降の今後のかじ取りは、これまでより格段に難しくなるはずです。

長い目でみると中国は、歴史の1つの曲がり角にきているのかもしれません。

 

 

 

【この日の時間割】

1.お祝いムードのウラに課題も 中国建国70年

2.アメリカvsイラン 仲介のカギはあの国!?

 

 

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:永井伸一 坂下千里子 Mr.シップ

2019年10月6日のゲストは、初登場!トラウデン直美さんです。

投稿者:永井伸一 | 投稿時間:18:00 | カテゴリ:せかいま美術館 | 固定リンク


  
2019年09月28日 (土)

週刊Mr.シップ 第百八十回 「軍パレ」

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NHK NEWS WEBを読んでおけば、ニュースのことだいたいわかるぞ。

投稿者:Mr.シップ | 投稿時間:16:00 | カテゴリ:週刊Mr.シップ | 固定リンク


  
2019年09月27日 (金)

今年で建国70年の国、ど~こだ?

10月1日で建国70年を迎える国、

皆さんご存知ですか?ズバリ…

 

中国です!

 

実はワタクシ、大学時代は中国文学専攻で、

これまで何度か中国を訪ねたことがあります。

 

最初が1988年。

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天安門広場が想像以上に広かったこと、

数えきれない自転車が走ってたことに圧倒されてしまいました。

 

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3年ぶりに天安門広場を訪ね、陽気に歩くワタクシですが、

天安門事件後だったこともあり、前回とは違った空気を感じましたねえ。

 

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当時(1993年)の人たちの様子がわかる、お気に入りの写真です。

さりげなく、この写真にワタクシ写っているが分かりますか?

 

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2008年の北京パラリンピック取材の時の様子です。

後ろには“鳥の巣”とも呼ばれた、北京国家体育場。

他にも巨大な、しかも近未来的な建物が多くて街の様子が一変。

 

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2年前に、中国東北部にある長春を訪ねました。

中心地の様子がとてもオシャレで、「ここが中国か」とビックリでした。

 

写真を見てみると、

この30年でも中国の様子が変わりつつあることが分かりますよね。

 

その中国が建国70年を迎えます、

お祝いムードなようですが、でもそのウラには何やら…

 

今週の“せかいま”に注目です!

「せかいま」のホームページ

https://www4.nhk.or.jp/sekaima/ )

 

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:永井伸一 坂下千里子 Mr.シップ

2019年9月29日のゲストは、虻川美穂子さんです。

 

投稿者:永井伸一 | 投稿時間:17:13 | カテゴリ:永井伸一の目指せ100点満点! | 固定リンク


  
2019年09月26日 (木)

1人の少女から 広がる温暖化防止デモ

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2019年9月22日の出演者のみなさんです。

左から、永井伸一キャスター、坂下千里子さん、Mr.シップ、ゲストの渡辺徹さん、国際部の花澤雄一郎デスクです。

 

東京・渋谷では、9月20日に地球温暖化に対するデモ活動が行われました。

「地球を守ろう」を合い言葉に、若者たちが大行進したんです。

この動きは、ヨーロッパ、アメリカ、アフリカ、アジアと世界中で広がっています。

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この大きく動いている地球温暖化について、国際部の花澤雄一郎デスクが解説しました。 03

デモは、全世界で合わせて400万人が参加する史上最大規模となりました。

世界中で、温暖化に対して危機感が高まっていて、特に若者が立ち上がっています。

 

あす(23日の月曜日)、国連で「温暖化対策サミット」が開かれるんです。(9月22日の放送日時点)

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8月25日のせかいまでも温暖化について解説しましたが、地球温暖化の原因は、増えすぎた温室効果ガス。

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温暖化の原因とされる温室効果ガスの「オンダンカデガス」が登場しました。

この温室効果ガスの影響で、世界の平均気温は、18世紀に始まった産業革命のころから、およそ1度上がっています。

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気温が上がっているために、水の循環が極端に、激しくなってきています。

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どういうことかというと、雨が降らないところはさらに乾いて干ばつが進み、雨が降るところは大雨になっているんです。

そこで、温暖化を食い止めようと決めたのが「パリ協定」でした。

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平均気温の上昇を、産業革命から1.5度に抑えようと各国が目標を作っています。

この1.5度は「これ以上、上がったら危険」というラインだと言われています。

しかし、パリ協定の対策では不十分で、このままでは温暖化が止められなくなると危機感を強めているのが国連です。

「温暖化対策サミット」では、パリ協定をさらに超える高いレベルの計画を発表してほしいと各国に求めています。

ここに招待されたのが、スウェーデンの16歳の少女です。

ヨーロッパでは、この少女の活動が若者たちに広がっているんです。

 

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「人類最大の危機に直面しているのに大人たちはきちんと対応していない」。

グレタ・トゥーンベリさんは、8歳のときから地球温暖化に関心を持ち、なぜ誰も深刻に考えないのか、疑問に思ってきたと言います。

「温暖化を止めるために学校を休む」。

グレタさんは去年8月、たった1人で議会の前に座り込み、温暖化対策を訴え始めました。

毎週金曜日に学校を休み訴えを続けていると、徐々に賛同する人が増えていきました。

活動は「未来のための金曜日」と呼ばれるようになり、今や世界中の若者たちに共感が広がっています。

 

先月、スイスで開かれたイベントには、およそ450人が集まりました。

イベントにはグレタさんも参加し、

「より大きな影響を受ける若い世代の人たちが立ち上がるべきだ」。

「未来は私たちのもの地球規模の問題に世界中の人が協力することが大切」と、訴えました。

 

グレタさんの訴えに強く共感したのが、デンマークから参加した、ラウラ・ビンストロップさんです。

グレタさんと同じ16歳。

温暖化対策は大人がやるべきことだと思っていたラウラさん。

しかし、同い年のグレタさんの活動を知り感動したと言います。

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「グレタさんは素晴らしいです。彼女が行動しなければ誰もここにいなかった」。

自分たちの世代が行動すべきだと感じたラウラさんは、デンマークでグレタさんのように訴えてきました。

「グレタさんの声に耳を傾けたことで、彼女の発言や行動が意義深いものだと理解できたんです。温暖化の影響を受ける全ての人そして未来の世代のために私は闘いたいです」。

 

 

グレタさんがたった1人で始めた行動が、ヨーロッパ、そして世界に広がって、温暖化への危機感が高まってきたんです。

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20日の金曜日、ニューヨークで行われたデモで、グレタさんが演説しました。

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「私たちはただ傍観するつもりはない。科学のもとに団結し、この危機がさらに悪化することを防ぐため出来る事は何でもする覚悟だ。私たちにも安全な未来を」。

 

グレタさんの活動は、若い人たちに影響を与えているだけではないんです。

ヨーロッパでは、政治も動かしているんです。

5月にEUの加盟国で作るヨーロッパ議会の選挙があったんですが、環境問題を訴える「緑の党」という政党が大躍進しました。

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グレタさんなどの活動が広がったことが温暖化対策を重視する政党が力を持つことにまでつながり、ヨーロッパでは、このエネルギーが大きな「うねり」となっているんです。

 

南太平洋の国々でも、先月、このうねりが影響する出来事があったんです。

この地域にあるツバルやマーシャル諸島などの島々は海面の上昇によって、すでに水没し始めています。

この島々は、南太平洋の国々の会議で温暖化について、世界に向けて積極的な行動を呼びかけるメッセージを出そうとしました。

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しかし、これに「待った」をかけたのが、オーストラリアです。

オーストラリアは、石炭を主な産業にしています。

だから、温暖化対策を強く主張されると困ると見られています。

さらに、オーストラリアは、この島々に対して、毎年巨額の支援をしているんです。

ですから、島々の意見を抑えられると思ったのかもしれません。

しかし、温暖化への危機感は、オーストラリアの予想を超えて高まっていて、各国が激怒して会議の場でオーストラリアを非難する事態になったんです。

この一件で、温暖化対策をしっかりやらない国は何かの機会に非難を浴びかねない、と、世界各国が受け止めました。

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ここで「オンダンカデガス」が、アメリカのトランプ大統領の写真を取り出しました。

アメリカは、ここまで説明した流れとは逆行しているんです。

 

トランプ大統領は、パリ協定からの離脱を表明しています。

トランプ大統領に限らず、大統領を支える与党・共和党というのは、そもそも温暖化対策には乗り気ではないんです。

 

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[トランプ大統領を支える共和党は、そもそも温暖化対策に乗り気じゃないんだヨーソロー]

 

共和党にとって、温暖化の規制は、経済や雇用を邪魔する存在なんです。

それに、共和党はそもそも「規制」自体が嫌いな人が多いんです。

その根底には「政府が国民を縛るのは良くない」という考え方があります。

さらに、共和党の支持者は「科学自体をあまり信じない」という傾向もあるんです。

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例えば、半数の人は進化論を信じず「人間は神がつくった」と考えています。

トランプ大統領が温暖化対策に熱心ではないのは、こうした支持者たちの声を代弁しているとも言えるんです。

 

しかし、大統領の支持者の間でも温暖化対策への関心が高まってきています。

 

 

今月アメリカを襲った大型のハリケーン。

サウスカロライナ州にも被害が出て、一時、避難命令が出されました。

ここ数年、アメリカでも異常気象が相次いでいます。

サウスカロライナ州は、共和党の支持者が多い地域ですが「温暖化はでっちあげだ」というトランプ大統領の主張などに反対する人が増えています。

「人間が原因であろうと、なかろうと、災害はますます悪化していっている」。

「大統領は支持者が科学を否定するように仕向けている。信じられないよ。科学こそ唯一の頼みじゃないか」。

 

トランプ大統領の熱狂的な支持者デビー・ドゥーリーさんは、以前はトランプ大統領と同じように温暖化は起きていないと考えていました。

しかし、ここ数年身近な場所で自然災害が相次ぎ、意識が変わったと言います。

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「洪水はひどくなり、ハリケーンも頻繁に起きるようになった。海水温が上がっているからよ。温暖化は現実なのよ」。

ドゥーリーさんはホワイトハウスを訪問しました。

温暖化が心配だと伝えたいと考えたのです。

大統領は不在でしたがホワイトハウスの高官に共和党員の中でも、危機感が高まっていることを伝えました。

「共和党の支持者も温暖化を受け入れ始めている。私は決して諦めず、これからも訴え続けていくわ」。

 

 

この動きは、世論調査の数字にも表れてきています。

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こちらは「温暖化を信じる」人の割合です。

アメリカには、トランプ大統領の共和党と、野党の民主党があります。

民主党で、温暖化を信じる人は、90%ほどですが、トランプ大統領の共和党をみてください。

これまでは半数以下だったんですが、2015年から18年のわずか3年で、64%と急激に増えました。

共和党の現職の議員たちもトランプ政権に温暖化対策を働きかけるなど変わり始めているんです。

トランプ大統領は、立場を変えざるをえなくなるかもしれません。

というのも、来年11月に大統領選挙があります。

大統領と対立する野党・民主党は、温暖化問題は格好の攻撃材料だと見て、トランプ大統領への批判を強めていこうとしています。

アメリカ全体、そして共和党支持者の間でも、温暖化への危機感が高まってきてますから、方向転換の可能性はあると思います。

 

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「歴史の転換点」。

温暖化対策を求める世界の大きなうねりは、かつてないものです。

その中で行われる国連の「温暖化対策サミット」で各国がどんな姿勢を見せるのか、大きな焦点となります。

そして、「もう大人には任せておけない」という若者たちの声は私たちにも向けられています。

日本は、この問題への関心が高いとは言えないのが現状です。

こうした声にどう応えるのか。

私たちひとりひとりの覚悟も問われます。

 

 

【この日の時間割】

1人の少女から始まった 広がる温暖化防止デモ

 

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:永井伸一 坂下千里子 Mr.シップ

2019年9月29日のゲストは、虻川美穂子さんです。

投稿者:永井伸一 | 投稿時間:14:32 | カテゴリ:せかいま美術館 | 固定リンク


  
2019年09月21日 (土)

週刊Mr.シップ 第百七十九回 「温暖化4」

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日本は先進国の中でも、特に、温暖化の意識が低い国なんだよな。

 

日曜の放送では、世界の温暖化のいまを解説するヨーソロー。

投稿者:Mr.シップ | 投稿時間:21:35 | カテゴリ:週刊Mr.シップ | 固定リンク


  
2019年09月21日 (土)

これは一体???

渋谷駅からてくてくと歩いていたら…

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国連大学前に到着、すると!

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人・人・人、多くの人たちが!!

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街なかに出て、皆さん何か訴えている!!!

しかも若い人たちが多かったんです。

 

皆さん、一体何を訴えていたのか、

明日の“せかいま”でお伝えします!!!!

 

「せかいま」のホームページ

( https://www4.nhk.or.jp/sekaima/ )

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:永井伸一 坂下千里子 Mr.シップ

2019年9月22日のゲストは、初登場!渡辺徹さんです。

 

投稿者:永井伸一 | 投稿時間:17:30 | カテゴリ:永井伸一の目指せ100点満点! | 固定リンク


  
2019年09月19日 (木)

イギリス国民うんざり EU離脱進まない議論

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2019年9月15日の出演者のみなさんです。

左から、永井伸一キャスター、坂下千里子さん、Mr.シップ、ゲストのパックン、国際部の佐伯敏デスクです。

 

今週金曜日、ラグビーワールドカップが、いよいよ日本で開幕します。

ラグビー発祥の地は、イギリスだと言われているんですが、そのイギリスが大変なんです。

EU離脱をめぐって、大もめしています。

2か月前に就任したばかりのボリス・ジョンソン首相は「何が何でも離脱する」と、意気込んでいます。

 

離脱が決まった国民投票から3年、なかなか進まないEU離脱を、国際部・ヨーロッパ担当、佐伯敏デスクが解説しました。

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ラグビーのセットを使って説明していきます。

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左側が首相になったばかりのジョンソン首相、右側がイギリス議会です。

今、もめているのが、「どうやって離脱するか」です。

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離脱の期限は10月31日。50日を切っています。

 

それぞれのチームのスローガン見ていきましょう。

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ジョンソン首相の主張は「期限内に必ず離脱」。

期限内に必ず離脱、必ず来月末には離脱するというものです。

対する、議会の主張は「離脱延期」。

この離脱をまた延期しようというものなんです。

 

それぞれどういうことなのか、具体的に見ていきます。

まず、ジョンソン首相の主張、こちらご覧下さい。

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「のたれ死んだほうが、まだましだ」。

「10月31日に離脱する!」。

 

そもそも、なぜこれまで離脱できなかったのでしょうか。

離脱したあとのことについて、イギリスとEUの間で話がついておらず、合意ができていないからなんです。

離脱に備えて、イギリスとEUは新しいルールを決めておかなければいけません。

貿易や国境を通るときの手続きをどうするかなどを、1つの文書にまとめることになっているんです。

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でもその文書が、あと少しのところで合意できていません。

 

これまで合意できなかったのに、10月31日までにできるのでしょうか。

ジョンソン首相は、がんばるとは言っています。

でも、がんばっても期限までに合意出来ないかもしれません。

それでも、ジョンソン首相は「かまわず離脱する」と言っているんです。

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つまり「合意なき離脱」でも強行する、と。

議会チームは「合意なき離脱」には猛反対しています。

だから、とりあえず離脱の期限を延期することで、何とか「合意なき離脱」だけは避けようという作戦なんです。

 

ここで試合が始まりました。

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先に攻撃をしかけたのは、ジョンソン首相です。

ジョンソン首相は議会からの反対の声を封じ込めようとしました。

そこでとった手段が、議会そのものを閉めてしまうという強硬手段です。

これは、かなり異例のことです。

 

次は、議会チームが押し返しました。

どういう作戦かというと、議会側は議会が閉会する前のわずかな時間を使って、ある手を打ちました。

ジョンソン首相の動きを法律の力で縛ってしまおうという作戦です。

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それが「離脱延期法」です。

これは、ジョンソン首相に「合意がまとまらなければ、EUに離脱の期限を3か月間先延ばしにするようお願いしなさい」と命じるものです。

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これにより「合意なき離脱」が押し通されるのを防ごうというのです。

実はジョンソン首相側の与党の議員のなかにも「合意なき離脱」は心配だという人もいて、その結果、20人以上が寝返って、法律が成立したんです。

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もしジョンソン首相がこれを無視して「合意なき離脱」をしたら、法律違反になります。

そうなれば逮捕される可能性すらあるんです。

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これで「合意なき離脱」の可能性はなくなったように見えますが、そうでもないんです。

議会の言いなりになりたくないジョンソン首相は、議会を解散して選挙をしようと提案しました。

しかし、これはうまくいきませんでした。

それでもジョンソン首相はあきらめずに「期限の延期は絶対にしない」と言っていて、今は法律違反にならない抜け道を探しているのではないかとみられているんです。

だから「合意なき離脱」の可能性は消えていないんです。

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ジョンソン首相は、まだトライへの執念を捨てていません。

 

「合意なき離脱」が本当に実現したらどうなるのでしょうか。

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イギリスがEUから合意なき離脱をしたらどうなるのか、オレが説明しヨーソロー

 

手続きが増え道路は大渋滞。

イギリスに入ってくる荷物は、これまでの半分以下になってしまうかもしれません。

いろんなモノが手に入りにくくなり、値段も上がってしまうかもしれません。

EUの国々に行きたい時だって、手続きが増え、駅も空港も大混雑。

デモが起きて、イギリス国内は大混乱するかもしれません。

 

イギリス市民はどう思っているのか、ロンドン支局の向井支局長に聞いてみました。

 

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市民生活への影響は、連日報道され、大きな関心が集まっています。

そこで、今、市民が離脱についてどう思っているのか。

街頭で、ひとことで表現してもらいました。

 

『Happy』(うれしい)…離脱を心待ちにしているよ。イギリスのことはイギリスが決められる国になるんだ。

『Leave』(離脱して)…国民投票の結果なんだから。離脱すべきだ。

『Terrible』(ひどい)…輸入が難しくなるでしょう。経済にとってよくない。

『Frustrated』(イライラ)…合意なき離脱は反対。首相のやり方は問題です。

 

そして取材していて、最近よく聞くのが、次のような声なんです。

『Sorry』(残念)…ごたごたが長引いて、本当に疲れたわ。

『Confused』(混乱)…国民は混乱しているわ。今の状態も今後もわからないもの。

 

ジョンソン首相は今も、ことあるごとに来月末に離脱すると言っていますから、どんな混乱を招こうとも、何らかの手を打って強行する可能性があります。

というのも、ジョンソン首相にしてみれば、これで公約を守ることができれば、みずからの求心力を強めることができるからです。

ただ逆に守れなかったとなると信用を失ってしまいます。

実のところ、ジョンソン首相にとっては、背に腹は代えられないということかもしれません。

一方で、離脱を巡る市民の疲れやいらだちは、いよいよ高まっています。

この声を首相と議会がどう受け止めるのか。

3年に及ぶ議論は、来月の期限に向けていよいよ大詰めを迎えています。

 

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「ノーサイドのない試合」。

ノーサイドとは、試合が終われば敵味方はない、という精神です。

離脱のためなら、なりふり構わないジョンソン首相の登場で、試合終了がもしかしたら近づいてきているのではないか、と言う雰囲気です。

でも結果がどっちに転んでも、試合が終わって握手と言うことは、もはやなさそうです。

EU離脱は経済などの側面にとどまらず、イギリスが誇った民主主義をおとしめた出来事として記憶されるかもしれません。

 

 

 

【この日の時間割】

1.イギリス国民うんざり #EU離脱 進まない議論

 

2.異例の再選挙で政権は どうなる?イスラエル

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イスラエルの再選挙も、佐伯敏デスクが解説しました。

 

3.エチオピアで人気の歌 歌詞に日本の地名が…

 

 

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:永井伸一 坂下千里子 Mr.シップ

2019年9月22日のゲストは、初登場!渡辺徹さんです。

 

投稿者:永井伸一 | 投稿時間:14:00 | カテゴリ:せかいま美術館 | 固定リンク


  
2019年09月14日 (土)

週刊Mr.シップ 第百七十八回 「イギリス2」

 

EU離脱の石を動かす人があらわれたと思ったのにな…

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まさかもう3年もたつとはな…。

10月31日、ついに離脱するのか、延期するのか、日曜日のせかいまで解説するヨーソロー。

 

 

▼Mr.シップのマンガ「イギリス」

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※クリックすると続きが読めるヨーソロー

投稿者:Mr.シップ | 投稿時間:18:14 | カテゴリ:週刊Mr.シップ | 固定リンク


  
2019年09月13日 (金)

ラグビー発祥の地は???

アジアで初めて開かれるラグビーワールドカップ日本大会が

20日(金)に迫ってきました!

 

ということで、

初戦が行われる東京スタジアムがある、

東京・調布駅前に行ってみたところ…

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こんな横断幕が!そして

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迫力あるボードが!!

これにはシップもビックリ!!!

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ところでみなさん、

ラグビー発祥の地はどこでしょう???

今週の「せかいま」を見る大きなヒントですよ!!!!

「せかいま」のホームページ

( https://www4.nhk.or.jp/sekaima/ )

 

投稿者:永井伸一 | 投稿時間:17:55 | カテゴリ:永井伸一の目指せ100点満点! | 固定リンク


  
2019年09月12日 (木)

ウラン濃縮据え置き 核合意イランの本音は

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2019年9月8日の出演者のみなさんです。

左から、永井伸一キャスター、坂下千里子さん、Mr.シップ、ゲストの鈴木ちなみさん、国際部の薮英季デスクです。

 

ふさふさもふもふのペルシャネコが大好きなMr.シップ。

伸さんとネコカフェへ。

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ペルシャといえば、あの国。

イランです。

核開発を巡ってアメリカと激しく対立してきました。

ところが、イランのロウハニ大統領が「国益にかなうなら、トランプ大統領と会うこともためらわない」。

一体、どういうこと?

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イランのいまを国際部中東担当・藪英季デスクが解説しました。

イランは今週、核開発について重大な発表をしました。

それがこちら。

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「ウランの濃縮度」についてです。

ウランの使い方は、その濃縮度が「どの程度、高いか」でわかれてくるんです。

まずは現在の濃縮度。

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3から5%です。

このレベルは原発用の燃料、つまり平和的な利用の範囲です。

ところが…

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これが90%以上になると核兵器の原料になってしまいます。

この間でポイントになるのが、20%なんです。

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というのも、濃縮度を20%に高めるには、かなり時間がかかるのですが、20%からは短時間であげられるんです。

つまり20%にあげるということは、それだけ核兵器開発に近づくということなんです。

イランは牽制を強めていたので、私も警戒していましたが、今回は、まったく引き上げなかったんです。

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そもそもなぜイランは、濃縮度を引き上げようとしていたのでしょうか。

 

イランは4年前、アメリカとヨーロッパなどの国と、このウラン濃縮度を低い数値のまま引き上げないと約束したんです。

それが、イランの「核合意」です。

こちらのセットで詳しく説明します。

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イランにちなんで、じゅうたんのセットです。

核合意を結んだイランとアメリカ、ヨーロッパなどが仲よく集まっていますね。

イランにはかつて、核兵器開発の疑惑が持ち上がっていました。

そこでアメリカやヨーロッパがこれをやめさせようとイランと何年も交渉し、核合意を結んだんです。

 

その内容が、イランが核開発を大幅に制限する代わりに、各国が経済制裁を解除するというものです。

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この合意は、外交交渉で核開発を防いだと評価されてきました。

しかし、アメリカは去年、世界の反対を押し切るかたちで、一方的に離脱しました。

これを決断したのが、トランプ大統領です。

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そして、イランへの経済制裁を再発動、強化させたことでイラン経済はどんどん悪くなっていきました。

イランにしてみれば、経済にプラスになるから受け入れたのに、約束が違うではないかとなったわけです。このため、ならば自分たちも核合意には従わないと対抗措置を打ち出しているのです。

 

イランの情勢は決してひと事ではありません。

というのも、その行方は世界に大きな影響を与えるからなんです。

 

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イラン周辺地域の安定っていうのは世界や日本にとって、とっても重要なんだヨーソロー

 

長いあいだアメリカと対立してきた世界有数の「反米国家」イランは、周りの国にいる武装勢力に、武器やお金を渡して、中東での影響力を強めています。

それに対抗してアメリカは、親米の国々に部隊を駐留させたり武器を売ったりしています。

そのため、中東は、イランを中心とした反米勢力と、親米の国々がにらみ合う場所になっているんです。

しかも、イランの隣にあるホルムズ海峡は、中東からの原油を運ぶ世界中のタンカーがひっきりなしに通っていて、もしも戦争が起きたら、世界経済は大混乱してしまうんです。

日本の原油も、8割以上がホルムズ海峡を通って運ばれているため、影響はすごく大きいんです。

 

イランとアメリカ、緊張関係が続いていますが、今回、イランはなぜ濃縮度を引き上げなかったのでしょうか。

実はこれ、核合意に参加しているもうひとつの当事国、ヨーロッパの国々へのメッセージなんです。

それはずばり、経済支援です。

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ヨーロッパはイランを何とか支えようとしています。

「核合意」は大切だから、維持したいと考えているんです。

そして今月、フランスはおよそ1兆6000億円規模の経済支援を申し出ました。

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この話し合いは、まだまとまっていませんが、イランにしてみればこの提案をご破算にしたくない。

なので、過激な行動を抑えた、つまり濃縮度を引き上げなかったと考えられます。

 

しかし、ここで問題になるのが、アメリカです。

フランスがイランにお金を送ろうにも、アメリカの制裁が邪魔になって送ることが出来ないんです。

実は国際的にお金をやりとりするシステムは、アメリカが握っているんですね。

なので支援を出来るかどうかは、アメリカがこれを認めるかにかかっているんです。

 

こうしたなか、イラン国民からはアメリカとの対話を望む声も増えてきています。

イラン特産のペルシャじゅうたんは、欧米で人気で、生産量の8割は海外向けとされています。

しかし、この1年、輸出が大きく落ち込んでいます。

制裁の影響で海外の顧客から代金の支払いを受けられず、販売が制限されてしまっているのです。

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「海外のお客さんが、代金をイランに送ることができないんだ」。

イランの銀行では、アメリカが去年11月に発動した金融制裁で、外国とのお金のやりとりが困難になっています。

それが輸出産業に大きな打撃を与えています。

さらにイランの通貨の価値も下がり、モノの値段が上がって市民生活に深刻な影響が出ています。

「制裁はすべてを変えてしまった。世界は進歩しているのにイランだけが取り残されている」。

制裁の影響が広がるなか、市民の間ではアメリカとの対話を求める声も出始めています。

イランの人々も多く使うSNSには「対話以外に道はない」といった書き込みも目立つようになっています。

眼鏡店で働くアリ・テヘラニさんもそのひとりです。

制裁の影響で務めていた貿易会社が倒産。

なんとか再就職しましたが、収入は5分の1になり日々の生活も苦しいといいます。

「いまの状況は経済問題ではなく政治問題だ。対話によって互いが歩み寄れば、制裁も解除される。両政府が問題を解決することを願っている」。

 

 

イランの人たちが望む声が多い、アメリカとイランの対話は実現しそうなのか。

実は、トランプ大統領は、ロウハニ大統領との会談に前向きな姿勢を示しています。

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今月下旬に、ニューヨークで開かれる国連総会にあわせてその可能性を探っているともされています。

これに対してロウハニ大統領も可能性を否定していません。

 

しかしここでも問題があります。

実はイランでアメリカとの交渉の最終的な決定権を握っているのはロウハニ大統領ではないんです。

最高指導者ハメネイ師なんです。

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アメリカに大変厳しい人で、欧米を嫌っている国内の強硬派から、熱烈な支持を受けています。

そのハメネイ師は対話に反対しているんです。

 

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イラン、そしてアメリカは「スタートラインに立つのか」。

ハメネイ師が対話を受け入れるとすれば、それはアメリカ側から何らかの歩み寄りがあった時です。

そして今週のイランの判断には、核開発は引き続きおさえるので経済制裁を和らげて欲しいというメッセージが込められています。

そのメッセージをアメリカが読み解き、圧力一辺倒の政策を変化させるのか。

国連総会まで残された時間でスタートラインに立てるのか注目していきます。

 

 

 

【この日の時間割】

1.ウラン濃縮据え置き 核合意イランの本音は

2.めざせ月の南極! インド月面着陸の狙い

3.中国の野菜レストラン 人気のヒミツ

 

 

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:永井伸一 坂下千里子 Mr.シップ

2019年9月15日のゲストは、パックンです。

投稿者:永井伸一 | 投稿時間:14:59 | カテゴリ:せかいま美術館 | 固定リンク


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