2020年05月21日 (木)

新型コロナウイルス 第2波 再拡大おそれ警戒続く

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2020年5月17日の出演者のみなさんです。

左から、国際部・花澤雄一郎デスク、Mr.シップ、坂下千里子さん、永井伸一キャスターです。

坂下千里子さんは、新型コロナウイルスの感染防止のため、テレワーク出演しました。

 

日本では14日、39の県で緊急事態宣言が解除されました。

 

世界中でも徐々に、いろいろな制限が緩和される動きがみられますが、一方で、第2波への不安が高まっています。

国際部の花澤デスクが解説しました。

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2つの地域「韓国」と中東地域の「イラン」の事例を見ていきます。

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まず韓国を通して見ていくのは、さまざまな制限が解除された後の「気の緩み」についてです。

 

ソウル支局・徳田記者に聞きました。

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こちらは、韓国で感染が確認された人の、日ごとのグラフです。

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韓国の感染拡大のピークは、ことし2月末でした。

このときは1日でおよそ900人が確認されましたが、先月に入ったあたりから、感染拡大の勢いが弱まり、新規の感染者数が1ケタとなる日が増えてきていました。

その背景には、大量のPCR検査や、軽症者の受け入れ先の整備の徹底などがありました。

5年前、MERS(マーズ)コロナウイルスの流行で38人が死亡した韓国は、その教訓を生かすことができたと言えます。

ところが、諸手を挙げて喜ぶ状況にはなりませんでした。

 

ソウルのイテウォンという繁華街にあるナイトクラブでの集団感染が発覚したのです。

韓国政府が「感染防止と経済の両立」をかかげて、さまざまな制限を大幅に緩和した矢先のことでした。

客やその家族、100人以上の感染が確認されました。

ソウルから遠く離れた南部プサンで、ナイトクラブの客から親戚の1歳の子どもが感染する事例も報告されるなど、感染が各地に広がりました。

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このため、急激に第2波への不安が高まっているんです。

 

感染が広がったイテウォンは、日本でいう東京の六本木のような繁華街で、以前は若者や外国人でいつもにぎわっていました。

普段は肩がぶつかるくらい人でにぎわう通りも、今はガラガラで、少し暗い印象があります。

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「新しい感染者です。全員、ナイトクラブと関連がありそうで、感染拡大が懸念されます」。

ソウル市は制限を緩和したばかりだったナイトクラブなどに対し、再び営業禁止を命じたのです。

 

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「もっと商売が厳しくなります。回復しつつあったのに、若者たちが気をつけるべきでした」。

「売り上げが、ほぼなくなりました。ここまでひどいのは初めてです」。

 

一方で、イテウォンから8キロほど離れたヨンドゥンポという繁華街に行ってみると、まったく違う印象を受けます。

営業しているお店が多くて明るい印象です。

政府が密集した場所には行かないようにと呼びかけてますが、実際にはかなり密集したような状況になっています。

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「(集団感染が起きて)怖いけど、家にいるばかりでは退屈です」。

営業する店側も深刻には受け止めていないように感じました。

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「ここは飲食店街で、普通の食堂がほとんどです。ナイトクラブなどとは全然違うから大丈夫ですよ」。

ナイトクラブから始まった感染は、国内全体のピーク時と比べればわずか5%。

そのため、市民の間ではあまり危機感が広がらず、全体的に「緩んでいる」ようです。

 

 

韓国は検査の徹底に加え、感染が疑われる人の行動を携帯電話の位置情報などを通じて監視し、感染拡大を防いできました。

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ムン・ジェイン大統領は「韓国の感染対策は世界の模範になっている」と成果を誇り、社会にも感染を抑え込んだという自信が広がっていました。

それが今回のナイトクラブでの集団感染につながったのだと思います。

一度緩んだ警戒はまだ戻りきっていないようで、さらなる感染拡大を抑えられるのか、懸念する声が強まっています。

 

韓国の感染はどう増えていくのかどうかは分かりませんが、その危うさは指摘されています。

実際に感染を抑え込んだ事実や、政府のメッセージが、感染に対する人々の「気の緩み」をどうしても生んでしまう、ということがよく分かります。

やはりワクチンや薬ができるまで、コロナとの戦いは終わりません。

どんなに感染を抑え込んでいても、クラブはもちろん飲み会などの濃厚な接触というのは大きなリスクになることが分かります。

 

 

続いて、中東の第2波の状況を見ていきます。

キーワードは「経済優先」。

イランの状況について、対岸にあるドバイ支局・吉永支局長に聞きました。

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イランは2月から急速に感染が拡大しました。

欧米より先に拡大が進み、死者は中東最大の6,900人余り。

ピーク時の3月下旬は1日3,000人を超える感染者が確認されていました。

政府が外出規制などの対策をした結果、先月からは減少傾向になったものの、依然として1日の感染者は1,000人を超えていました。

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しかし、イラン政府は経済活動の再開に舵をきってしまったんです。

 

首都テヘランは、4月中旬に外出規制が緩和され、企業や商店の営業が許可されました。

街では肩が触れ合うほどの混雑も見られ、道路も渋滞しています。

こうした状況に、ある医師は危機感を募らせていました。

「社会活動が戻っていっても、いまの状況では第2波が起こる可能性は極めて高いでしょう」。

 

そして、案の定、感染者は再びこのような状況になってしまいました。

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感染者が再び増加傾向になり、最近では第2波ともいえる状況になったんです。

経済活動の再開で、人と人が接触する機会が増え、感染が拡大したとみられます。

感染が特に深刻な9つの都市で、再びロックダウンを行う事態になっています。

 

[イランが、どうして経済活動の再開を急いだのか、オレが説明しヨーソロー]

イランを苦しめているのは、新型コロナウイルスだけじゃないんだ。

それは感染が広がる前から続いているアメリカの経済制裁なんだ。

経済制裁でイランのお金の価値は暴落し、物価が急上昇。

経済は厳しい状況だったんだ。

そこに新型コロナウイルスが広まって、人々の暮らしはどんどん悪化。

これを食い止めるためにも、早く経済活動を再開させたかったんだヨーソロー。

 

 

シップが説明した背景もあり、イランの政府は予防策を訴えるくらいしかできることがないというのが実情です。

そして、中東諸国ではイランほどではないにせよ、今、経済的に追い詰められている国が増えています。

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原油価格が低迷していることが経済を直撃していているんです。

こうしたこともあって経済活動の再開に踏み切る国が増えていて、その後、感染者が増えるという状況が起きているんです。

イランの対岸、UAE=アラブ首長国連邦でも、同じような状況です。

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UAEの日ごとの感染者を示したグラフです。

これまでドバイでも、先月まで外出は3日に1回、散歩もダメ、という厳しい措置をとってきましたが、徐々に緩和されています。

 

ドバイ最大級のショッピングモールでは、小売店やレストランが徐々に再開。

検温やマスクの着用を徹底しています。

店の入り口には、それぞれの店舗に入ることができる買い物客の数が表示されています。

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また、床に印をつけて、買い物客の距離を空けたり、テーブルの間隔を空けたりして、対策をしていました。

 

こうした対策をとっても感染者は増えているんです。

この時期、イスラム教の人たちは親族が集まって食事やお祈りをするんですが、政府は「集まるのは5人まで」と呼びかけています。

しかし、実際には30人もの人が集まって感染が起きたりというケースが起きています。

義務化されているマスクをしていても、口や鼻を覆っていない人が増えています。

政府が経済の再開を進めることで、人々は動き出しましたし、それが緩みにもつながってしまった、と言うことだと思います。

経済と感染対策の両立の難しさが浮き彫りになっています。

 

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経済が悪化すればするほど「経済を優先したい」という圧力が強まります。

経済の悪化を抑えることは感染対策に直結します。

そして「緩んじゃダメ」といくら言ってもこれを止めるのも容易ではありません。

新型コロナウイルスとの戦いはまだ始まったばかりです。

経済を動かしながら緩みを抑える。

長期戦を戦うには、ひとりひとりが油断せずに感染対策を徹底することが求められています。

 

 

 

【この日の時間割】

1.新型コロナウイルス 第2波 再拡大おそれ警戒続く

2.あすWHO総会 国連への影響力強める中国

 

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これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:永井伸一 坂下千里子 Mr.シップ

投稿者:永井伸一 | 投稿時間:16:48


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