2020年05月14日 (木)

新型コロナウイルスより仕事? 欧米で経済再開の動き

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2020年5月10日の出演者のみなさんです。

左から、国際部・花澤雄一郎デスク、Mr.シップ、坂下千里子さん、永井伸一キャスターです。

坂下千里子さんは、新型コロナウイルスの感染防止のため、テレワーク出演しました。

 

日本は緊急事態宣言が今月31日まで延長されました。(放送日時点)

 

今回も世界の新型コロナウイルスをめぐる状況を、花澤デスクとお伝えしていきます。

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感染対策と経済のバランスを各国がどうとっていくのか。

日本にとっても重要なポイントです。

経済活動の制限をゆるめ始めたアメリカとヨーロッパの状況を見ていきましょう。

 

まずは、アメリカ。

感染者は、130万9,541人。

死者は、7万8,794人。

 

アメリカは、政府が求めた外出自粛が4月いっぱいで期限を迎えました。

トランプ大統領は経済活動を再開させる3段階の目安を発表して、実際の判断は各州の知事が行っています。

そしていま、経済活動再開の動きが広がっています。

 

そのアメリカの現状について、ニューヨークにるアメリカ総局の及川利文記者に聞きましょう。

 

アメリカ総局・及川記者)

活動再開の動きを、アメリカの地図で見てみましょう。

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黄色が、経済活動を再開した州です。

一部の経済活動を再開させた州は、全米50州のうち7割以上の38州にのぼっています。

その背景にあるのは、経済へのあまりに大きな影響です。

 

今回の感染拡大で、新たな失業保険を申請が3000万件以上にのぼっています。

トランプ大統領も「国を元に戻さないといけない」と述べて、経済活動の早期再開の必要性を強調しています。

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「コロナより仕事」だという国民の声の高まりが再開を後押ししていると言えそうです。

 

アメリカでは感染拡大以降、各地でデモが起きています。

参加した人たちが「働かせて」とか「仕事に戻して」というメッセージを掲げ、経済活動の早期再開を求めているんです。

 

感染状況は州によって、だいぶ異なっています。

たとえば、西部のモンタナ州では、感染者は3週間以上一桁で、最近はゼロの日も多くなっています。

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このため経済活動を一部再開しました。

 

一方、ニューヨークは今も深刻な状況で、経済活動の再開にはまだ慎重です。

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問題は、まだ十分に感染者が減っていないのに、再開に踏み切る州があることです。

カリフォルニア州は8日から再開しましたが、新たな感染者数は増加傾向にあるんです。

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州知事は「科学的な判断」と言いながら、デモなどの圧力で再開に踏み切ったんじゃないかと報じられています。

そのため、また感染が拡大するのではないかと、非常に心配されています。

実際に経済を再開させた州のうち12の州で、新たな感染者が増え始めています。

アメリカは人々の声に押されるかたちで経済を再開を急いでいて、感染対策とのバランスに苦悩しています。

 

続いてはヨーロッパの再開の動きについて、見ていきます。

 

ヨーロッパでは厳しい制限措置が取られてきましたが、ここにきて、イタリア、スペイン、ドイツ、オーストリアなど、続々と経済活動を再開する動きが広がっています。

ただし、レストランなどでの店内の飲食はまだほとんど許されていません。

そしてフランスでは、11日から経済活動が一部再開されます。

 

フランスの様子を、ヨーロッパ総局・藤井俊宏記者に聞いてみましょう。

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ヨーロッパ総局・藤井記者)

感染者が17万人にのぼるフランスでは、7週間以上続けてきた外出制限が大幅に緩和されて

商店の営業が認められるなど、経済活動が動き出します。

 

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パリの観光名所シャンゼリゼ通りは、外出制限が始まったころに比べると、かなり車が戻ってきているようです。

まだ、お店は閉まっているので、歩く人の姿はあまりありません。

一方で、パリ東部の広場には多くの人が集まっていました。

フランスでは午前10時から午後7時までは、散歩や運動などもしてはいけませんが、たくさんの人がいます。

外出制限の緩和を前に人々はもう緩んでいる感じです。

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「天気がいいので、少し外に出ただけです。月曜には制限が解除されるからだんだん人が多くなっています」。

 

ヨーロッパ総局・藤井記者)

フランスが解除にふみきったのは経済への影響が深刻なことが背景にあります。

ただ最も大切にしたのは、“医療を守りながら再開する”ということです。

フランスでは新たな感染者とともに重症者の数も減ってきています。

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1か月前にはICU=集中治療室で治療を受ける人が7000人を超えていましたが、今では3000人を下回るまでに減っています。

医療現場に余裕が出てきていることが、大きな理由なんです。

 

それに加えフランスでは、医療データを細かく分析して地域ごとに解除の内容を変えているんです。

 

フランス政府が発表した地図がこちらです。

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フランス全土が赤と緑に色分けされています。

全土を101の地域に分け、地域ごとに医療崩壊に陥る危険性を分析しています。

赤は医療崩壊の危険がより高く、低いのが緑です。

救急外来を訪れた患者のうち、感染が疑われる人の割合やICUに占める感染者の割合などを細かく公開して、それをもとにレベル分けしているんです。

 

赤と緑の両方で11日から商店の営業の再開が認められますが、違いは公園と学校です。

緑の地域では、公園が開放され、学校は幼稚園から高校まで徐々に再開されます。

一方で、赤の地域では、公園の閉鎖は続き、中学校と高校は再開されません。

親が仕事を再開するには小さな子どもに行っていてもらう必要があるため、幼稚園と小学校だけは再開することになりました。

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さらに赤い地域では仕事には行っていいものの、可能な限り在宅勤務が求められます。

ただ、緑と赤、どちらの地域でも、まだ、レストランやカフェなどは店内での飲食はできません。

不安を募らせているフランス料理店の日本人シェフを取材しました。

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パリ南部でフランス料理店を営む紀川倫広(きがわ・みちひろ)さんです。

飲食店の営業制限が続くこの2か月近く、店内での営業はできず、持ち帰りの料理をつくる日々が続いています。

フランスで修行を重ね、9年前に念願の自分の店をオープンさせました。

去年、銀行から資金を借りて店を全面改装し、理想の店作りに向けて動き出した矢先の感染拡大でした。

営業制限で、売り上げは以前の2割にまで落ち込みました。

 

苦しい経営の中で、3人の従業員のうち2人を一時解雇しました。

2人にはフランス政府から、それまでの給与の85%が支給されています。

この苦境を乗り切ろうと、紀川さんは調理するだけでなく自ら配達も行っています。

 

フランスでは、借金の返済や家賃の支払いは国の措置で、当面、猶予されています。

それでも、いつになれば店を再開し従業員を呼び戻せるのか、客足は戻るのか、不安はつきません。

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「再開許可が下りるまでは、配達とテイクアウトをやるしかない。明けた後にローンや家賃の支払いが始まります。お客さんはそんなに入りません、ということになると自動的に倒産になるので、収束した後からのことのほうが怖いですね」。

 

制限を緩和した結果、再び感染者が増えれば、結局、厳しい制限に逆戻りということになります。

 

第2波はアメリカでもヨーロッパでも心配されています。

その中でも、ひとりひとりが感染を防ぐ行動を徹底できれば、経済活動の幅をより広げることにつながります。

感染対策と経済をなるべく高いレベルで実現するために、今後も私たちひとりひとりの意識と行動が問われていくことになりそうです。

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【この日の時間割】

1.新型コロナウイルスより仕事? 欧米で経済再開の動き

2.感染対策で進む強権化

 

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これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:永井伸一 坂下千里子 Mr.シップ

登録タグ:   

投稿者:永井伸一 | 投稿時間:16:33


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