2020年02月13日 (木)

トランプ大統領イチオシ 和平案の内容は

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2020年2月9日の出演者のみなさんです。

左から、永井伸一キャスター、坂下千里子さん、Mr.シップ、ゲストのサヘル・ローズさん、国際部の佐伯デスクです。

 

 

人気のチョコレート屋さんにやってきた、伸さんとMr.シップ。

お店で人気のチョコカレーを前に…。

伸さん「さっそく、いただくよ!」。

Mr.シップ「ちょっと待った!オレが先だよ、伸さん。いつも伸さんばっかり先じゃないか」。

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と、店内でケンカを始める2人はさておき…。

 

 

世界のいまを見てみると、

中東で起きている対立を仲直りさせようとしたのが、アメリカのトランプ大統領です。

長年対立してきたイスラエルとパレスチナのために「和平案」を考えました。

 

いったいどんな案なのか、国際部の中東担当・佐伯敏デスクが解説しました。

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トランプ大統領の和平案の3つのポイントがこちら。

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(1)領土 イスラエルの望みどおり

(2)エルサレムはイスラエルの首都

(3)パレスチナを国と認める

 

この3つのポイントを理解するために、まずイスラエルとパレスチナがどんなところか見ていきます。

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地図の青色の部分がイスラエル。

ユダヤ教を信じる「ユダヤ人」が住んでいます。

70年あまり前につくった国です。

 

緑色になっている2つの地区がパレスチナ。

イスラエルに占領されていて自由がない状態です。

パレスチナには「アラブ人」が住んでいます。

イスラム教やキリスト教を信じる人たちです。

 

地図に引かれている線は、イスラエルとパレスチナを分ける仮の境界線ですが、どこに国境を引くのかは決まらず、もめ続けてきたんです。

 

ここから、和平案のポイント「(1)領土 イスラエルの望みどおり」を説明していきます。

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こちらのセットはあくまでイメージですが、左側がイスラエルの土地で青色です。

一方、右側がパレスチナの人々が住んでいるところで、緑色です。

この真ん中の境界線を基本にして、領土を決めることになっていました。

しかし、イスラエルが境界線を越えたところに「入植地」をつくったんです。

 

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[入植地について、オレが説明するヨーソロー]

 

ユダヤ人とアラブ人はこれまで戦争や衝突を繰り返してました。

多くの人が犠牲になりました。

「どこをイスラエルとパレスチナの国境にするかは話し合いで決めよう」と、アメリカが間に立ち、話し合いで解決することになりました。

お互いが、土地をどう分けようか話し合っているさなか、イスラエルがパレスチナの人々が住む土地に、勝手に新しい家を建てました。

これが「入植地」です。

世界は「入植地はやめなさい」と、注意しています。

 

 

イスラエルは境界線を越えてどんどん入植地をつくり、パレスチナの土地は虫食いだらけになってしまいました。

そこにトランプ大統領が提案した国境がこちらです。

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トランプ大統領は入植地をそのままイスラエルの領土にしてしまうことを提案したのです。

 

パレスチナの人たちはどう思っているのか、エルサレムの澤畑剛支局長が街で聞いてみました。

 

パレスチナ人が暮らす街ベツレヘムは、商店が軒を連ね活気にあふれています。

パレスチナでは独自の通貨が発行されていないので、イスラエルの通貨が使われているのです。

一見、平和そうに見える町が、実はイスラエルとの紛争の最前線にあるという現実を感じさせるものがこちらです。

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壁に描かれている絵は、覆面アーティスト、バンクシーが描いた絵なんです。

平和の象徴である鳩に銃口が向けられています。

和平を脅かすイスラエルの武力を描いたものだと人々は感じています。

世界的なアーティストのバンクシーは、こうした作品を街のあちこちに残しています。

 

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こちらの巨大な壁は、イスラエルが治安維持の名目で一方的に建設しました。

パレスチナ人のまちを取り囲むように、450キロ以上続いています。

そのすぐそばには、イスラエル兵の姿が見えます。

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イスラエル軍の監視塔はパレスチナの各地にあります。

 

ベツレヘムから車を数分走らせると、赤い屋根の建物が見えてきました。

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イスラエルが国際法に違反して建設したユダヤ人入植地です。

入植地の中には、きれいな住宅がたくさん並んでいます。

ショッピングモールもあり、入植地の中は通常の街と変わらない様子となっています。

入植地は拡大を続けていて、どんどんパレスチナ側のほうに迫っています。

 

地元の市長は、入植地への批判に対し、イスラエルとパレスチナは問題なく共存できていると

反論しています。

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「ユダヤ人とアラブ人が隣り合ってどのように生活しているか、共存することでお互いにどんないいことがあるかを見るため、たくさんの人がここに来ます」。

 

しかし、入植地ができたせいで先祖代々の土地を奪われたというパレスチナ人の男性は、憤りを募らせています。

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「自分がこれまで大事にしてきた土地が目の前から無くなりつつあります。まるで私たちパレスチナ人の体が少しずつ切り刻まれているような気がするんです」。

 

 

続いてポイント「 (2)エルサレムはイスラエルの首都」を見ていきます。

エルサレムは、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教にとっての「聖地」がある町で、宗教上、とても大切な場所です。

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エルサレムは、ちょうど、イスラエル側とパレスチナ側の境界にあるのですが、それぞれ「自分たちのものだ」と主張してきました。

でも、トランプ大統領の和平案では、このエルサレムがイスラエルの首都になります。

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和平案は、領土や首都など、パレスチナにとって大事なことをほとんどあきらめるように迫っているんです。

 

トランプ大統領が「その代わりに」と提示したのがポイント「(3)パレスチナを国と認める」です。

この案を受け入れたら、アメリカはイスラエルと話し合った上で「国」として認めるといいます。

今は、イスラエルもアメリカも、パレスチナを国として認めていません。

それに加えて、パレスチナを発展させるために、色々な国からお金を集めて、およそ5兆円の支援をするとしています。

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和平案のポイント3つは、総じて、イスラエル寄りの案です。

それは、トランプ大統領の重要な支持層が、イスラエルのためになることをすると喜ぶグループだからなんです。トランプ大統領は、秋のアメリカ大統領選挙を前に、しっかりと支持を固めたいと考えて提案したのかもしれません。

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トランプ大統領の和平案に対して、イスラエルは「世紀のチャンスだ」と大歓迎です。

一方、パレスチナは「和平案は必ず失敗する」と拒否して、パレスチナの人たちに抗議デモを呼びかけました。

 

しかし、パレスチナの人々はどうも消極的な様子です。

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「デモには誰かが行くよ」。

「私たちは平和を望んでいるけど やる時はやる。でも、今はどうなるか見守るしかない」。

長年、デモを率いてきた団体のリーダーは、デモの参加者が減っていることに頭を抱えているということです。

だから慎重にならざるを得ない、ということのようです。

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「我々はアメリカがイスラエル寄りの案を公表する度にデモを行って多くの犠牲者を出すよりも、現状を冷静に見極めて行動せざるを得ないのです」。

反発が抑え気味、という印象を受けますが、その背景のひとつにパレスチナを取り巻く国際情勢の変化があると話しています。

「アラブ諸国や国際社会は双方が共存しようという案を少しずつ離れ、イスラエル寄りになっていると感じています」。

 

 

これは中東全体の力関係が大きく変わってしまった、ということなんです。

イスラエルとパレスチナの交渉では、これまでパレスチナ側に立ってイスラエルにプレッシャーをかける応援団がいました。

それが、パレスチナと同じアラブ人の国々です。

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例えば、サウジアラビアやUAE=アラブ首長国連邦などです。

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こうした国々がいることで、力の強いアメリカやイスラエルと対等に交渉ができていました。

ところが今回、こうした国々がアメリカの和平案に、強く反対しなかったんです。

それどころか「アメリカは頑張っている」や「パレスチナは和平案を検討してね」などの声明を出したんです。

 

アラブの国々の態度が変わったのには理由があります。

パレスチナの問題以外にも、対応しなければいけないことが次々に起きてしまったからです。

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ここ10年でアラブの国々では、反政府デモなどの国の混乱が続き、泥沼の内戦になってしまいました。

そういった中で、過激派組織ISのようなグループが出てきて、対処しなければいけなくなりました。

 

そしてもう一つがイランの存在です。

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イランは、中東の中で力をぐんぐん伸ばし、アラブの国々の脅威になっています。

そのため、アラブの国々はアメリカのお金と軍事力に頼らざるを得なくなり、イスラエルとも協力した方が得だと考えるようになったんです。

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見えてくるのは…「新しい中東の現実」。

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実はこの問題、アメリカの大統領がトランプ大統領でなかったとしても、アラブの国々がアメリカやイスラエルに近づいていく動きは止まりません。

これが新たな中東の現実なのです。

ただ、だからといって、一方的にパレスチナに押しつける和平案は、本当の平和にはつながらないと思います。

 

 

 

【この日の時間割】

1.感染拡大 中国で広がる不満 情報統制に批判の声も

2.トランプ大統領イチオシ 和平案の内容は (イスラエル・パレスチナ)

 

 

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:永井伸一 坂下千里子 Mr.シップ

2020年2月16日のゲストは、平泉成さんです。

投稿者:Mr.シップ | 投稿時間:17:13


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