2019年11月28日 (木)

長崎訪問そして広島へ 核廃絶願うローマ教皇

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2019年11月24日の出演者のみなさんです。

左から、永井伸一キャスター、坂下千里子さん、Mr.シップ、ゲストの濱田龍臣さん、国際部の香月隆之デスクです。

 

この日、バチカンから来日したローマ教皇が、長崎・広島を訪問しました。

せかいまでは、被爆地を訪問するローマ教皇の様子をお伝えしました。

 

24日午後、広島空港に到着した、ローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇です。

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大勢の人から、歓迎されています。

この後、空港から広島市内の平和公園に向かいました。

平和公園には、教皇を心待ちにする大勢の人の姿が見えました。

 

フランシスコ教皇は、どんな人で、なぜ日本を訪れたのか、国際部の香月隆之デスクが解説しました。

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日本に教皇がやって来るのは、ヨハネ・パウロ2世教皇以来、実に38年ぶり。

今回の訪問では、長崎と広島の2つの被爆地を訪れます。

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スケジュールは、こちらです。

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教皇は23日に来日、24日に長崎・広島を訪れています。

24日の午前中には、長崎でスピーチをしました。

その様子をご覧下さい。

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「長崎は、わたしたち人間が過ちを犯しうる存在であるということを、悲しみとおそれとともに意識させてくれます。長崎の浦上教会の被爆十字架とマリア像は、被爆者とその家族が生身に受けられた筆舌に尽くしがたい苦しみを、あらためて思い起こさせてくれる」。

 

フランシスコ教皇がどんな人なのか、こちらを使って説明していきます。

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フランシスコ教皇は6年前にローマ教皇に就任しました。

現在82歳で、実に266代目のローマ教皇とされています。

その歴史は非常に長く、およそ2000年間続いていると言われています。

そして教皇が普段いるのは、バチカンという世界で最も小さい国。

イタリアの首都ローマの中にあります。

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広さは東京ディズニーランドよりも、狭いくらいです。

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[ローマ教皇がキリスト教の中でどんな存在なのか、オレが説明しヨーソロー]

 

まずはプロテスタントです。

プロテスタントは何より聖書が大事。

日曜日の礼拝でも聖書の言葉を聞くことを重視しています。

世界でおよそ5億5千万人の信者がいると言われています。

 

そしてもう1つはカトリック。

カトリックは教会での儀式を大事にします。

教会も豪華で日曜日のミサには毎週大勢の信者が集まります。

信者はおよそ13億人いるといわれていて、日本に来ているローマ教皇が、このカトリックのトップ、最高指導者です。

あの「イエス・キリストの代理人」とされる人なんです。 

 

ローマ教皇には、すごく大きな影響力があります。

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それは、信者だけではなくて、各国の政治家も無視できないほどです。

ヨーロッパやアメリカなどに多くの信者がいますが、そうした国々の政治家たちは、教皇の考えや発言に反対する政策は取りにくくなります。

すると、そうした国々と関わりがある日本のような国も影響を受ける形になるんです。

これまでの教皇の中には、第2次世界大戦のあと、世界が2つに分かれて対立していた「東西冷戦」を終わらせることに大きな役割を果たしたとされる人もいます。

 

今回、日本を訪れたフランシスコ教皇は、ひと言でいうと「改革者」。

教皇が取り組んできた、改革を見ていきます。

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1つ目の改革は「腐敗の防止」です。

教皇のいるバチカンでは、これまで「マフィアとも関係がある」と指摘されたりしていました。

そこでフランシスコ教皇は、外部の企業によってお金の流れをチェックしてもらって、怪しいやりとりが紛れ込んでいないかなどを監視できるようにしました。

 

さらに取り組んだのが、こちら。

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カトリック教会では、聖職者による性的虐待が大問題に。

しかし、問題を起こした聖職者が罰をうけないどころか、それを隠そうとした疑いもありました。

そこでフランシスコ教皇は、虐待に気がついた場合はすぐに連絡するように求めるなど、厳しい対応を打ち出しました。

このほかにも、これまでのカトリック教会にはなかった改革に取り組んできました。

 

 

ことし11月17日、フランシスコ教皇はこの日を「貧しい人のための日」に定め、苦しい生活を送っている人たちばかり、およそ1500人を招いて食事会を行いました。

これまで教皇は雲の上の存在で、そのことが権威につながってきました。

しかし、フランシスコ教皇は人々に寄り添う存在に大きく変えようとしています。

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「助けが必要な人に寄り添ってくれてありがたいです」。

 

同性愛や人工妊娠中絶を認めない立場を維持してきた教会ですが、フランシスコ教皇はそうした人たちを排除するのではなく、困っていれば手をさしのべるべきだという方針を打ち出しました。

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「教会が扉を閉ざしてしまったらその使命を果たせません。懸け橋になるのではなく障害になってしまうのです」。

また、死刑については、一定の条件のもとで認めてきた教会の教えそのものを改めました。

どんな条件でも一切認めず、全世界で廃止されるよう取り組むとしました。

さらに、これまで禁じてきた既婚男性の司祭も、一部の地域では認めるのではないかとみられています。

 

40年以上バチカンを取材してきたジャーナリストのマルコ・ポリティさんは、フランシスコ教皇が進める改革は、カトリック教会を現代の価値観に順応させたと指摘します。

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「これらはすべて新しい、これまでになかった改革です。教皇は、これまでカトリック教会にあった性についてのこだわりを取り除きました。避妊薬や離婚、結婚せずに同棲する若者たち、こんな問題に対する説教はなくなりました。非常に重要な変化です」。

ポリティさんは、保守派の間で反発がくすぶり、教会内でも抵抗は根強いと指摘する一方、それでも教皇は改革を進めていくだろうと言います。

「教会の有力者達の中には教皇が同性愛を敵視しないことをよく思わない人たちがいます。教皇は難しい立場にあります。教会の内部にも外部にも反対勢力が存在するからです。しかし、ゆっくりとではありますが改革は着実に進んでいます」。

 

 

このようにフランシスコ教皇は、これまでにない教皇といえるのですが、日本にとっても関わりの深い分野で力を入れていることがあるんです。

それは…

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「核兵器をなくす」。

これまでのカトリック教会は、相手の攻撃を防ぐために核を「持つ」こともあることは否定していませんでした。

しかし、フランシスコ教皇はこれまでの方針を変えて「核兵器を持つこと自体も断固として許されない」と強い姿勢を示しています。

 

フランシスコ教皇が、どうして、ここまで核兵器をなくすことに強い思いを持っているのか。

こちらをご覧下さい。

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こちらは原爆が投下された直後の長崎で撮影された写真で、亡くなった弟を背負った少年が写っているとされています。

教皇はこの写真に、心を動かされたといいます。

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「この写真を見たとき、胸を打たれた。千の言葉よりも人の心を動かす」。

 

教皇は去年1月、核兵器の悲惨さを知ってもらおうと、この写真をいろんな人に配ったとのことです。 

こうしたきっかけは教皇が20代のときに、広島に原爆が投下された直後の悲惨な様子を聞いたことだといいます。

それ以来、日本を訪れ核兵器をなくすことを訴えたいという思いを抱いていたということです。

今回の訪問は、長年の念願がかなった形なんです。

 

そして、そのフランシスコ教皇が、この写真が撮影されたとされる長崎で、核兵器をなくすことについての思いを語りました。

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「長崎は、核兵器が人道的にも環境にも悲劇的な結末をもたらすことの証人である街です。日ごと武器は、いっそう破壊的になっています。これらは途方もないテロ行為です。核兵器のない世界が可能であり必要であるという確信を持って、政治をつかさどる指導者の皆さんにお願いします。核兵器は、今日の国際的または国家の、安全保障への脅威から、わたしたちを守ってくれるものではない、そう心に刻んでください」。

このように、核兵器をなくすことを強い言葉で訴えました。

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核兵器の開発自体が「途方もないテロ行為だ」と述べて、きわめて厳しい表現を使ったのが印象的でした。各国の指導者対して、国際的な協力がこれまで以上に必要だというメッセージを伝えたのです。

 

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「被爆者への思い」。

核兵器の使用によって最も影響を受けるのが間違いなく一般の人々です。

フランシスコ教皇はいま核兵器をなくすための議論が進まないからこそ、いま長崎・広島を訪問し、被爆者の苦しみをあらためて世界に発信することが大切だと考えたと思われます。

今回の訪問をきっかけに、核兵器をなくす動きに変化があるのかどうか注目されます。

 

 

 

【この日の時間割】

1.長崎訪問そして広島へ 核廃絶願うローマ教皇

2.イラクのデモでピンチ!? シーア派ベルトって何

 

 

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:永井伸一 坂下千里子 Mr.シップ

2019年12月1日のゲストは、鈴木ちなみさんです。

投稿者:永井伸一 | 投稿時間:14:57


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