2019年10月31日 (木)

大統領にガッカリだ!インドネシア抗議デモ

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2019年9月27日の出演者のみなさんです。

左から、永井伸一キャスター、坂下千里子さん、Mr.シップ、ゲストのハリー杉山、国際部の清水一臣デスクです。

 

 

「突然だが、オレ、Mr.シップからクイズだ!」

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「あるときはボクシング。そして、あるときはオートバイでツーリング。誰かわかるかな?」

 

・・・・・・・

 

「正解はインドネシアのジョコ大統領。『国民の平等を実現するために闘いたい』。選挙で当選した時は、こんなこと言ってたんだけど…。」

 

 

いま、インドネシアでは、各地でデモが起きています。

いったいどうなっているのか、ジャカルタ支局の川島支局長に現地の状況を聞きました。

 

先月下旬以降、首都ジャカルタだけでなく、国内各地で大規模なデモが行われてきましたが、最近は警察が参加者を監視するなどして、取り締まりを強化するようになっています。

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一連のデモは、国民の声を無視した政策を相次いで打ち出す政府や議会に対して、学生らが抗議しているもので、警察との衝突で2人が死亡しています。

ジャカルタではデモが数万人規模まで膨れあがり、道路が封鎖されるなど市民生活にも影響が出ました。

それでも世論調査では、6割以上の国民がデモを支持していて政府への反発は強まっています。

こうしたなか、ジョコ大統領は最大野党の党首を新政権の閣僚に選びました。

野党も政権に取り込まれたことで、国民の間では、このままでは政府への批判が許されない強権的な国になってしまうという、懸念や不満が高まっています。

再び大規模なデモに発展する可能性も指摘されています。

 

 

いまのインドネシアについて、国際部・アジア担当の清水一臣デスクが解説しました。             

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なぜデモがおきているのかというと、国民が「大統領に期待を裏切られた」という不満をつのらせているからなんです。

裏切りとはどういうことなのか、その大統領登場です。

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インドネシアのジョコ大統領です。

インドネシアの街なかを気持ち良さそうに走っています。

 

ジョコ大統領は、貧しい家庭の出身だったのですが、苦労を重ね大統領にまで登り詰めました。

庶民的な大統領として国民から高い人気を集めてきました。

人気の理由は汚職などとは無縁の「クリーン」なイメージ。

そして「市民との対話」も重視。

さらに、宗教や性別で差別しないと「多様性」も大切にしてきました。

つまり「国民のため」の政治を掲げてきました。

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でも、こちらをご覧下さい。

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インドネシアの週刊誌の表紙です。

このジョコ大統領の影、鼻が高くなっているように見えますよね?

うそをつけばつくほど、鼻がのびるピノキオになぞらえて、大統領は嘘つきではないかと批判する、風刺になっています。

ことし4月に行われた大統領選でも再選を果たしたんですが、選挙のあと、急激に政策が変わってきたことでデモが起きてるんです。

 

ジョコ大統領はどう変わったのでしょうか。

まずはひとつめ、ジョコ大統領はもともと「クリーン」な姿勢でしたが、「政治家や公務員の汚職に甘い」国に戻してしまおうとしているんです。

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「クリーン」のタイヤを置き去りにして、「汚職に甘い」というタイヤが出てきました。

というのも、インドネシアはもともと「汚職は文化」とも言われるほど、社会にまん延しているんです。

どんな汚職があるのかというと、例えばこちら。

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役所の窓口に長い列ができているとき、インドネシアでは申請書類の間に現金をはさんで受付に渡して、順番を早めてもうらうのが常識なんです。

政治家や役人が多額の現金を受け取ることも多く、市民生活から政治の世界まで汚職がはびこっているんです。

 

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[インドネシアには「汚職撲滅委員会(KPK)」っていう組織があるんだヨーソロー]

 

2003年に汚職を一掃しようと生まれた組織が、KPK。

汚職事件を専門的に扱い、政治家や役人、裁判官などが汚職に手を染めていないか、常に目を光らせています。

汚職が疑われる人には、国の外に出ることを禁じたり、会話を盗聴することも認められていて、警察と同じように、逮捕することもできます。

そして何より、政府や警察、検察から完全に独立しているため、圧力を受けることなく、どんな偉い人でも調べることができるのです。

これまでに議会の議長や、現職の大臣など、権力の中枢にいる超大物も捕まえてきました。

 

国民の絶大な支持を集めるKPKなんですが、いま、ジョコ大統領にとって、どんどんわずらわしい存在になってきている面があるんです。

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というのも、国をあげての大きなプロジェクトを進めようとするとき、KPKに目をつけられると、なかなか先に進めるのが難しくなってしまいます。

シップにもあったように、議員もこれまでKPKに逮捕されてきました。

そうしたなかで、先月、KPKの捜査の権限などを大幅に制限する改正案が、あっという間に可決されてしまったんです。

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看板がかたむいてしまいました。

このままでは、さらに「汚職に甘い」国になってしまうかもしれないということですね。

 

続いて「市民との対話」はどう変わってしまうのか。

市民との対話を大切にするといっていたジョコ大統領でしたが、「自分に対する批判は許さない」という姿勢に変わったんです。

政府が議会と提案した刑法の改正案の中には、「大統領と副大統領を中傷する行為は違法」という内容が含まれていました。

つまり、ジョコ大統領を批判したら逮捕されてしまうという法律をつくってしまおうというものです。

 

さらに「多様性」を大切にしてきたジョコ大統領ですが、「多様な考えは認めない」という考えに変わろうとしています。

というのも、刑法の改正案にはこんな内容が含まれているんです。

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「同性愛の禁止」

 

「人工妊娠中絶禁止」

 

「結婚前のカップルが一緒に住んではいけない」

個人の自由やプライバシーを侵害する内容ですよね。

外国人にも適用されるおそれもあって、私たちが旅行するときも関係するかもしれません。

 

なぜこんなふうに変わってしまったのでしょうか。

 

内容よく見てみると、イスラム教の教えを重視する人たちの考えを色濃く反映したものになっているんです。

ジョコ大統領は、2期目の選挙でこうしたイスラム教の教えを重視する人たちに大きな支援を受けたので、彼らの考えを政策に反映しなくてはいけない事態になっているからです。

もし、「批判はダメ」「多様な考え認めない」といった2つの内容を含む法案が通ってしまえば、自由な発言も許されず、少数派の人たちの意見も権利も認めてもらえなくなってしまいます。

かつてインドネシアにあった、独裁的な政権のようになってしまうかもしれません。

 

国民はいまどんなことを感じているのか、デモに参加する学生を取材しました。

 

ジャカルタの大学で機械工学を学ぶムハマッドさんは、学生の自治組織の代表を務めデモに参加しています。

かつてはジョコ大統領を支持していましたが、再選後の大統領の姿勢に“このままでは自由が奪われる”と危機感を抱いています。

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「ジョコ大統領は政治的利益ばかり考えているんだ。刑法が改正され、大統領を批判するだけで刑務所に入れられてしまう、そういう事態を私たちはおそれているんです」。

 

ムハマッドさんの呼びかけで、6000人もの学生がデモに参加しました。

いまは、抗議活動をどうひろげていくのか、仲間たちと話し合いを続けています。

 

大統領の姿勢に市民からも懸念の声が上がっています。

「驚いています。よく知らされないまま法律が改正されています」。

「私の考えでは民主主義が後退しています」。

 

政治と民主化運動の専門家は、このまま法改正が続けば少数派を差別し、政府批判を許さない国になると

ジョコ大統領を厳しく批判しています。

「ジョコ大統領は非常に視野が狭くインフラ整備や経済発展しか考えていない。厳しい法律ができていけばインドネシアは破滅的な事態となるでしょう」。

 

ムハマッドさんは、大統領が人々の訴えを聞き入れるまで闘い続けるつもりです。

「民主主義がいま、逆戻りしています。私たちは通りに出てデモを続けます。国民の願う社会になるまで。それが私たちの義務です」。

 

 

このままではインドネシアは破滅的な事態に向かっていくかもしれません。

さきほど中継でも触れた最大野党の党首ですが、実はかつての独裁政権で、軍の幹部として民主活動家の拉致事件に関与した疑いもあるいわくつきの人物です。

当時の記憶が、いまだ多くの国民の脳裏に残っています。

新しい法律に加え、最大野党まで政府と一体となったことで、国民の危機感は、さらに高まっています。

 

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インドネシアを取り巻く状況は、「崖っぷち」です。

20年ほど前、インドネシアの国民は30年以上続いた独裁政権に、怒りの声をあげて退陣に追い込み、政治を自分たちの手に取り戻しました。

多くの犠牲を払って政治を取り戻したはずが、いま、再び独裁政治に向かっていきかねない状況です。

今後、国民の反発を無視して法律が成立するのか。

インドネシアの今後を大きく左右する重大な局面を迎えています。

 

 

【この日の時間割】

1.大統領にガッカリだ! インドネシア抗議デモ

2.アメリカ軍が撤退&トルコが攻撃 怒るクルド人

3.目指せニッポンの酒蔵 ラオス酒造りの村

 

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:永井伸一 坂下千里子 Mr.シップ

2019年11月3日のゲストは、サヘル・ローズさんです。

 

投稿者:永井伸一 | 投稿時間:14:36


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