2019年09月12日 (木)

ウラン濃縮据え置き 核合意イランの本音は

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2019年9月8日の出演者のみなさんです。

左から、永井伸一キャスター、坂下千里子さん、Mr.シップ、ゲストの鈴木ちなみさん、国際部の薮英季デスクです。

 

ふさふさもふもふのペルシャネコが大好きなMr.シップ。

伸さんとネコカフェへ。

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ペルシャといえば、あの国。

イランです。

核開発を巡ってアメリカと激しく対立してきました。

ところが、イランのロウハニ大統領が「国益にかなうなら、トランプ大統領と会うこともためらわない」。

一体、どういうこと?

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イランのいまを国際部中東担当・藪英季デスクが解説しました。

イランは今週、核開発について重大な発表をしました。

それがこちら。

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「ウランの濃縮度」についてです。

ウランの使い方は、その濃縮度が「どの程度、高いか」でわかれてくるんです。

まずは現在の濃縮度。

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3から5%です。

このレベルは原発用の燃料、つまり平和的な利用の範囲です。

ところが…

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これが90%以上になると核兵器の原料になってしまいます。

この間でポイントになるのが、20%なんです。

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というのも、濃縮度を20%に高めるには、かなり時間がかかるのですが、20%からは短時間であげられるんです。

つまり20%にあげるということは、それだけ核兵器開発に近づくということなんです。

イランは牽制を強めていたので、私も警戒していましたが、今回は、まったく引き上げなかったんです。

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そもそもなぜイランは、濃縮度を引き上げようとしていたのでしょうか。

 

イランは4年前、アメリカとヨーロッパなどの国と、このウラン濃縮度を低い数値のまま引き上げないと約束したんです。

それが、イランの「核合意」です。

こちらのセットで詳しく説明します。

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イランにちなんで、じゅうたんのセットです。

核合意を結んだイランとアメリカ、ヨーロッパなどが仲よく集まっていますね。

イランにはかつて、核兵器開発の疑惑が持ち上がっていました。

そこでアメリカやヨーロッパがこれをやめさせようとイランと何年も交渉し、核合意を結んだんです。

 

その内容が、イランが核開発を大幅に制限する代わりに、各国が経済制裁を解除するというものです。

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この合意は、外交交渉で核開発を防いだと評価されてきました。

しかし、アメリカは去年、世界の反対を押し切るかたちで、一方的に離脱しました。

これを決断したのが、トランプ大統領です。

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そして、イランへの経済制裁を再発動、強化させたことでイラン経済はどんどん悪くなっていきました。

イランにしてみれば、経済にプラスになるから受け入れたのに、約束が違うではないかとなったわけです。このため、ならば自分たちも核合意には従わないと対抗措置を打ち出しているのです。

 

イランの情勢は決してひと事ではありません。

というのも、その行方は世界に大きな影響を与えるからなんです。

 

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イラン周辺地域の安定っていうのは世界や日本にとって、とっても重要なんだヨーソロー

 

長いあいだアメリカと対立してきた世界有数の「反米国家」イランは、周りの国にいる武装勢力に、武器やお金を渡して、中東での影響力を強めています。

それに対抗してアメリカは、親米の国々に部隊を駐留させたり武器を売ったりしています。

そのため、中東は、イランを中心とした反米勢力と、親米の国々がにらみ合う場所になっているんです。

しかも、イランの隣にあるホルムズ海峡は、中東からの原油を運ぶ世界中のタンカーがひっきりなしに通っていて、もしも戦争が起きたら、世界経済は大混乱してしまうんです。

日本の原油も、8割以上がホルムズ海峡を通って運ばれているため、影響はすごく大きいんです。

 

イランとアメリカ、緊張関係が続いていますが、今回、イランはなぜ濃縮度を引き上げなかったのでしょうか。

実はこれ、核合意に参加しているもうひとつの当事国、ヨーロッパの国々へのメッセージなんです。

それはずばり、経済支援です。

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ヨーロッパはイランを何とか支えようとしています。

「核合意」は大切だから、維持したいと考えているんです。

そして今月、フランスはおよそ1兆6000億円規模の経済支援を申し出ました。

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この話し合いは、まだまとまっていませんが、イランにしてみればこの提案をご破算にしたくない。

なので、過激な行動を抑えた、つまり濃縮度を引き上げなかったと考えられます。

 

しかし、ここで問題になるのが、アメリカです。

フランスがイランにお金を送ろうにも、アメリカの制裁が邪魔になって送ることが出来ないんです。

実は国際的にお金をやりとりするシステムは、アメリカが握っているんですね。

なので支援を出来るかどうかは、アメリカがこれを認めるかにかかっているんです。

 

こうしたなか、イラン国民からはアメリカとの対話を望む声も増えてきています。

イラン特産のペルシャじゅうたんは、欧米で人気で、生産量の8割は海外向けとされています。

しかし、この1年、輸出が大きく落ち込んでいます。

制裁の影響で海外の顧客から代金の支払いを受けられず、販売が制限されてしまっているのです。

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「海外のお客さんが、代金をイランに送ることができないんだ」。

イランの銀行では、アメリカが去年11月に発動した金融制裁で、外国とのお金のやりとりが困難になっています。

それが輸出産業に大きな打撃を与えています。

さらにイランの通貨の価値も下がり、モノの値段が上がって市民生活に深刻な影響が出ています。

「制裁はすべてを変えてしまった。世界は進歩しているのにイランだけが取り残されている」。

制裁の影響が広がるなか、市民の間ではアメリカとの対話を求める声も出始めています。

イランの人々も多く使うSNSには「対話以外に道はない」といった書き込みも目立つようになっています。

眼鏡店で働くアリ・テヘラニさんもそのひとりです。

制裁の影響で務めていた貿易会社が倒産。

なんとか再就職しましたが、収入は5分の1になり日々の生活も苦しいといいます。

「いまの状況は経済問題ではなく政治問題だ。対話によって互いが歩み寄れば、制裁も解除される。両政府が問題を解決することを願っている」。

 

 

イランの人たちが望む声が多い、アメリカとイランの対話は実現しそうなのか。

実は、トランプ大統領は、ロウハニ大統領との会談に前向きな姿勢を示しています。

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今月下旬に、ニューヨークで開かれる国連総会にあわせてその可能性を探っているともされています。

これに対してロウハニ大統領も可能性を否定していません。

 

しかしここでも問題があります。

実はイランでアメリカとの交渉の最終的な決定権を握っているのはロウハニ大統領ではないんです。

最高指導者ハメネイ師なんです。

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アメリカに大変厳しい人で、欧米を嫌っている国内の強硬派から、熱烈な支持を受けています。

そのハメネイ師は対話に反対しているんです。

 

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イラン、そしてアメリカは「スタートラインに立つのか」。

ハメネイ師が対話を受け入れるとすれば、それはアメリカ側から何らかの歩み寄りがあった時です。

そして今週のイランの判断には、核開発は引き続きおさえるので経済制裁を和らげて欲しいというメッセージが込められています。

そのメッセージをアメリカが読み解き、圧力一辺倒の政策を変化させるのか。

国連総会まで残された時間でスタートラインに立てるのか注目していきます。

 

 

 

【この日の時間割】

1.ウラン濃縮据え置き 核合意イランの本音は

2.めざせ月の南極! インド月面着陸の狙い

3.中国の野菜レストラン 人気のヒミツ

 

 

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:永井伸一 坂下千里子 Mr.シップ

2019年9月15日のゲストは、パックンです。

投稿者:永井伸一 | 投稿時間:14:59


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