2019年08月29日 (木)

異常気象だけじゃない 世界が変わる!?温暖化

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2019年8月25日の出演者のみなさんです。

左から、永井伸一キャスター、坂下千里子さん、Mr.シップ、ゲストのサヘル・ローズさん、土屋敏之解説委員です。

 

「世界の天気、なんか最近、変だよな~」。

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家を壊してしまうほどの雨や、作物が枯れてしまうほどの日照り。

そして山火事。

世界で起きている異常気象、地球は大丈夫なのでしょうか。

そこで、きょうの1時間目は、もうホットけない!「地球温暖化」です。

 

温暖化問題は、いまフランスで開かれているG7サミットでも、26日に話し合われる予定です。(8月25日の放送日時点)。

現地で取材している小島記者に聞きました。

議長国フランスのマクロン大統領にとっては、本当に重要な、同時に最も難しい課題となっています。

というのも、大きいのが温暖化対策に後ろ向きなアメリカのトランプ大統領の存在です。

対策を進めたいマクロン大統領との溝は深く、トランプ大統領の方針を転換させるのは簡単ではありません。

一方で、ヨーロッパではいま、温暖化対策を求める若者の運動が各国に広がり社会現象となるなど危機感は高まっています。

サミットの開幕に先立って、会場の近くでは数千人が参加してデモも行われました。

温暖化対策を迫る声が強まっていてG7としてこうした声にどう応えるか問われています。

 

温暖化問題に詳しい土屋敏之解説委員が解説しました。

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こちらの「せかいま温室」で、地球温暖化を見ていきます。

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温室のなかに入っているのが「地球」です。

地球温暖化の原因は「温室効果ガス」。

具体的には、二酸化炭素やメタンなどのことです。

これらは、地球の空気中に言わば熱をため込む働きをするんですが、もともと空気中には自然に温室効果ガスがある程度含まれていて、これが全くなかったら地球の気温は氷点下19度ぐらいだった、とも見積もられています。

温室効果ガスが適度にあるおかげで、私たちが住みやすい温度になっているんです。

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ただ問題は、この温室効果ガスが増えすぎていて「過剰に熱をため込んで温暖化が進んでいる」ということなんです。

18世紀に産業革命が始まりましたが、この温度計はその頃の気温を0℃として、そこからどれだけ世界の平均気温が上昇しているか表しています。

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現在すでに、世界の平均気温は、およそ1度上昇しています。

「たった1度」ですが、それだけでも既に異常気象など被害も出ています。 

さらに、このまま温暖化が進むとおよそ80年後には、最大4点8度上昇するとも予測されています。

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気温が上がると海水が膨張したりして、海面が上昇します。

海抜の低い太平洋の島国などは、今すでに水没の危機にも直面しています。

さらに将来、もし南極などの氷まで溶け出すようなことになれば、もっと大幅に海面が上昇して大変な事態になってしまいます。

 

それだけではありません。

地球温暖化で鍵になるのは「水の循環が極端になる」という問題です。

ふだん陸や海からは水分が大気中に蒸発し、雲を作り雨になって循環しています。

それが、気温が上がると海や陸から蒸発する水分が増えますから、乾燥した土地はますます水分を失って乾燥が進み、干ばつなどにつながります。

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一方で、その水分が雨になって降る場所では、これまでより大雨が降ったり、強烈な台風・暴風雨に見舞われたりします。

 

具体的な場所で見てみると、日本やアジア南部などのもともと雨が多い地域では、大雨や洪水が頻発するようになっていきます。

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一方、アフリカやヨーロッパなどの降水量の少ない地域では干ばつや森林火災が相次ぐなど、各地で災害が深刻化すると考えられるんです。

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こうした温暖化は、各国の政治的な問題まで引き起こしています。

北極海にあるデンマークの自治領グリーンランドは、島の8割以上が氷に覆われていますが、その氷がいま、急速にとけています。

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本来は氷の上を走るはずの犬ぞりも、溶けた氷の水の上を走っています。

 

そんななか、この氷の中から、ある秘密が呼び覚まされようとしています。

1959年、東西冷戦のさなかに、旧ソビエトに届くミサイルを配備する計画のため、アメリカ軍の秘密基地「キャンプ・センチュリー」が氷の奥深くに建設されました。

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最大200人の兵士が駐留でき、豊富なメニューが揃った食堂や、診療所、さらには教会まで備えた大規模な基地でした。

基地内の発電には原子力が使われました。

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ところが建設開始から8年。

周囲の氷が予想以上に動き、崩壊の危険があることから基地は閉鎖されました。

アメリカ軍は、氷によって永久に封印できると考えて廃棄物を放置していましたが、温暖化によって、その想定が崩れたのです。

 

市民の間には不安と怒りの声が広がっています。

「私たちは海のものを食べていますから心配です」。

「アメリカ軍が除染するべきだったのよ!」。

 

温暖化は、グリーンランドを含めた北極海をめぐる国際情勢に大きな変化をもたらしています。

北極圏の氷が少なくなったことでアジアとヨーロッパを結ぶ新たな航路としての可能性が膨らみました。

天然資源の確保、さらに軍事拠点としての価値も高まっています。

このためトランプ大統領は今月突如、グリーンランドの買収に意欲を示しました。

「戦略的に魅力的だし関心はある。大きな不動産取り引きだ」。

 

沿岸国ではない中国も、北極海の航路を「氷上のシルクロード」と名付け、経済圏構想「一帯一路」を北極圏まで拡大しようとしています。

温暖化で北極圏の氷が少なくなったことがアメリカ、中国、ロシアの新たな覇権争いを引き起こしているのです。

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「われわれも北極圏の開発に関わりたいのです。誰も中国を止めることはできません」。

 

こうした政治的な問題まで起こしている温暖化を何とか食い止めようということで、作られたのが「パリ協定」です。

 

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パリ協定についてオレが説明しヨーソロー

 

世界の平均気温の上昇を1.5℃までに抑えることを目指している「パリ協定」。

しかし、世界で中国の次に排出量が多いアメリカのトランプ大統領は「温暖化対策にはお金がかかる」「アメリカの産業がダメになってしまう!」と、離脱を表明しました。   

 

パリ協定は「各国が温室効果ガスの削減目標を立てて提出する」取り決めですが、これまでに世界各国が提出した削減目標を全部達成できたとしても、世界の気温は3℃上昇してしまうと見積もられています。

つまり1.5℃に抑える目標には、これでもまだ不十分なんです。

それがさらにアメリカの離脱表明で、この3℃さえも怪しい、という非常にまずい状況で、国連を中心に危機感が高まっているんです。

 

去年、スウェーデンなどの科学者グループが発表した報告書によると、

ひとたび世界の平均気温が2度以上高くなると氷や永久凍土などに閉じ込められていた温室効果ガスが大気中に放出されて、対策をとっても温暖化を止められなくなる悪循環に陥ると指摘しています。

国連は、パリ協定の目標が達成されたとしてもこの現象を止められないと排出削減を訴えているのです。

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「温暖化が破滅的に進み、後戻りできなくなるのを防ぐのは人類の闘いだ」。

 

その国連が期待を寄せる新たな技術の開発がアメリカで加速しています。

東部にあるマサチューセッツ工科大学では、地球温暖化対策のイノベーションが行われています。

開発を進めている「蓄電池」は、太陽光や風力といった「再生可能エネルギー」を蓄えることを目的としています。

二酸化炭素を排出しない「再生可能エネルギー」は、発電量が天候などに左右されるため発電できないときも使えるように蓄えておく仕組みがカギとなっています。

今回、完成したのが、2000台あればニューヨーク市のピーク時の電力もまかなえる「蓄電池」。

この蓄電池の開発には、マイクロソフトの創業者であるビル・ゲイツ氏が少なくとも40億円を投資したとされています。

アメリカでは、巨額の投資が温暖化対策となる技術の開発に殺到しているのです。

投資は最先端のIT技術が集う西部カリフォルニア州のシリコンバレーで、特に活発に行われています。

空気中から二酸化炭素だけを吸収する装置を開発したベンチャー企業のトップは、いち早く実用化を達成したいと意気込んでいます。

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「気候変動は時間との闘いです。われわれに技術はあります。要は早急に実施できるかどうかです」。

 

ほかにも注目されているのが「水素」です。

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水素を燃料として走る水素自動車は、とても静かですが、力強く走ります。

そして、排出されるのは水だけです。

水素は燃やしても水になるだけで二酸化炭素が出ません。

この水素を太陽光や風力などの再生可能エネルギーで生産して、車の燃料として普及させられれば、有効な温暖化対策になりえます。

ただ水素自動車は、値段は下がってきていますが、普及するにはまだ高価です。

 

このように様々な技術が開発されてはいますが、1.5℃ぐらいまでに温暖化を食い止めるのに間に合うペースでは普及が進んでいないのが現実です。

最初はやはり国などが思い切った政策をとる必要があり、こうした対策を世界的に進めていく必要があります。

 

では、G7サミットでは温暖化対策を巡って、成果は望めるのでしょうか。(8月25日の放送日時点)。

実はマクロン大統領はG7で毎年発表されている首脳宣言をことしは諦めたようで、「とりまとめない」という方針を示しているんです。

トランプ大統領の合意を得るには妥協してハードルを下げる必要があるんですが、それではかえって温暖化対策にはマイナスになる、という判断です。

ですから、今回はいくつか具体策を打ち出してやる気のある国だけでやっていこうと呼びかけています。

少しでも温暖化対策を前に進めるのが狙いです。

それだけ危機感が強いってコトなんですよね。

再生可能エネルギーなどの温暖化対策にはコストがかかり、短期的には経済にマイナスの面もあります。

技術はすでにあるんですが、国民に痛みを強いるのを恐れて、各国政府が思い切った政策をとれない、長年、そういう構図が続いてきました。

ただ、温暖化は「まったなし」となっています。

各国政府の背中を押すためには、結局、国民の支持が必要なんです。

今回のG7や来月の国連総会を通じてどこまで機運を高めていけるかが鍵となりそうです。

 

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キーワードは「つながっている」です。

地球の空気はつながっていますので、自分の国はあまり努力せず他の国が削減してくれたら得になる、という言わば「ただ乗り」する誘惑というのは昔からありますが、やはり世界中の国々が「つながっている」ことを自覚して自分のこととして取り組んでいかなくてはいけません。

日本も各国と技術協力なども含め、積極的に取り組んでいく必要があります。 

 

 

 

【この日の時間割】

1.異常気象だけじゃない 世界が変わる!?温暖化

2.巨大債務&積極進出 アフリカ “中国離れ?”

 

 

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:永井伸一 坂下千里子 Mr.シップ

2019年9月1日のゲストは初登場!フローラン・ダバディさんです。

投稿者:永井伸一 | 投稿時間:15:14


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