2019年07月11日 (木)

香港デモ、きょうの香港はあすの台湾!?

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2019年7月7日の出演者のみなさんです。

左から、永井伸一キャスター、坂下千里子さん、Mr.シップ、ゲストの平泉成さん、国際部の大山吉弘デスクです。

 

政府への抗議活動が続く香港。

この日も大勢の人がデモを行っていました。

場所はこれまで議会がある中心部でしたが、この日は初めて旅行者の多い繁華街でデモが行われました。

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実は、台湾もひと事ではないんです。

「きょうの香港は、あすの台湾」。

台湾の市民からは、こんな声も聞こえてきます。

香港のデモと台湾、どんな関係があるのでしょうか。

国際部・大山吉弘デスクが解説しました。

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実は香港のデモが、台湾で行われている政治的な一大イベントに大きな影響を与えています。

それがこちら。

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台湾の総統選挙です。

台湾では、トップ=総統を決める選挙が、事実上スタートしています。

台湾には、与党・民進党と、野党・国民党の2大政党があるんですが、今、注目されているのが民進党の蔡英文(さい・えいぶん)総統です。

去年の統一地方選挙で大敗して、支持率が低迷。

党首の座も追われてしまいました。

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しかし、香港で起きている一連のデモの影響で、支持率を一気に回復させているんです。

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台湾の蔡英文総統の支持率に、なぜ香港のデモが関係しているのでしょうか。

それを知るには、まず香港と台湾の“意外な関係”について知る必要があるんです。

 

香港と台湾を結びつけるキーワードが「1国2制度」です。

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[香港の「1国2制度」についてオレが説明しヨーソロー]

 

「1国2制度」のおかげで、香港には独自通貨があり、議員も選挙で選べます。

そして、デモをしたり、自由に政府を批判したりすることができるんです。

でも、その「1国2制度」が今、揺らいでいます。

そのあらわれが香港のデモなんです。

デモのきっかけとなったのが、こちらの条例の改正案です。

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香港にいる容疑者の身柄を、中国本土に引き渡すことができるようにするものです。

「中国がこの改正案を悪用して、中国政府を批判する人たちを引き渡すよう求めてくるかもしれない」と、香港市民は心配したわけです。

そして「それでは『1国2制度』が守られていないじゃないか」とデモに発展したんです。

 

そもそも、この「1国2制度」は、実は、中国が台湾を統一するために考えた制度なんです。

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そして、その考えは今も変わっていません。

中国の習近平国家主席は、ことし1月、月1回の演説で台湾について、

「台湾独立は歴史への逆行で、滅びの道だ」

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「台湾との統一には『1国2制度』が最良だ」と発言しています。

 

台湾の人たちは香港の混乱ぶりを、自分たちの未来のように受け止めています。

“きょうの香港はあすの台湾”ということばは、

「中国に統一されて『1国2制度』が導入されれば香港の二の舞になってしまう」「中国に飲み込まれてしまう」という中国への警戒感のあらわれなんです。

 

だから今、台湾で始まった選挙の最大の焦点が「中国との距離感」なんです。

それぞれの党をみていくと、与党・民進党は“中国に対して強硬”です。

独立志向が高く「中国と台湾は別々の国だ」と主張しています。

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一方の野党・国民党は“中国寄り”。

「中国とは仲よくやっていこう、そうすれば経済がよくなるよ」という融和的な立場です。

その国民党の有力候補が、こちらの2人。

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ただ今、中国寄りの姿勢から苦しい選挙戦を強いられています。

 

国民党の韓国瑜(かん・こくゆ)さんは、香港のデモについて「知らない」と発言し、メディアに取り上げられたあと、支持率が急落しました。

これまで韓さんを支持していた人も、その言動を批判しています。

若い世代に影響力をもつユーチューバーの陳之漢(ちん・しかん)さんは、自分の動画投稿サイトに韓さんを出演させるなどして応援していましたが、「知らない」と発言したのを批判し「もう支持しない」と話しています。

 

国民党のもうひとりの有力候補、ホンハイ精密工業の創業者で、シャープを買収した郭台銘(かく・たいめい)さんも、伸び悩んでいます。

中国に多くの工場を持ち、つながりの強い郭さんは中国との距離の取り方について、明言を避けてきましたが、台湾で中国への警戒感が強まると態度を一変させて、1国2制度を批判しました。

 

台湾では中国に対してきぜんとした態度を取ってほしいと考える有権者が増えています。そんな中、与党・民進党の蔡英文総統は「香港のデモを支持する」と、いち早く表明し、有権者の支持を集め順調に選挙戦を進めています。

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台湾で広がる中国への警戒感が、来年の選挙結果を大きく左右しそうです。

 

 

といっても、選挙は来年1月です。

あと半年の間にどうなるかは分かりませんが、鍵を握るのは、やはり、中国の対応になります。

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“中国のジレンマ”。

中国政府にとって、香港のデモが中国に強硬な蔡英文総統を有利にする展開は、完全に誤算だったといえます。

ただ、香港のデモの収束を図ろうと強硬な姿勢に出れば、結果として台湾での反発につながりますし、かといって弱気に出るわけにもいきません。

つまり、ジレンマというわけです。

台湾は、日本にとっても結びつきが強いですから、今後も、中国の出方、

そして、台湾の人たちの選択をじっくり見ていく必要があると思います。

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これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:永井伸一 坂下千里子 Mr.シップ

2019年7月14日のゲストは、古坂大魔王さんです。

投稿者:永井伸一 | 投稿時間:15:43


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