2019年07月04日 (木)

3回目米朝首脳会談とEUがピンチ!?

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2019年6月30日の出演者のみなさんです。

左から、Mr.シップ、ゲストの和田アキ子さん、国際部の花澤雄一郎デスク、国際部の長尾香里デスク、永井伸一キャスター、坂下千里子さんです。

 

この日は、急きょ行われた3回目の米朝首脳会談と、EUのピンチについてお伝えしました。

 

アメリカのトランプ大統領と北朝鮮のキム・ジョンウン朝鮮労働党委員長が

この日、南北の軍事境界線にあるパンムンジョムで面会。

およそ4か月ぶりに顔を合わせ、3回目となる首脳会談を行いました。

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現職のアメリカ大統領としては初めて軍事境界線を超えて北朝鮮側に入り「素晴らしい気分だ」と述べました。

パンムンジョムでアメリカと北朝鮮の首脳と会談を行うのは、朝鮮戦争の休戦以降66年間で初めてです。

今回の会談はトランプ大統領がツイッターを通して呼びかけ、これに北朝鮮側が応じる形で急きょ実現しました。

ワシントンとソウルに駐在したことがある国際部の花澤雄一郎デスクが解説しました。

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今回の首脳会談ですが「会うのでは」という見方は、少し前の段階ではありましたが、話は進んでおらず「今回はない」という認識でした。

そのため、あまりにギリギリのことでさすがに驚きました。

ただし今回の面会は、確かに歴史的なことですが事前の準備もないですし、直接「非核化」が前に進む

とは思えず、そこは冷静に見る必要があります。

 

トランプ大統領がなぜキム委員長に会いたいと言い出したのかというと、

「こう着状態となっている北朝鮮との交渉をなんとか動かしたい」という考えがあり、さらに会うこと自体が「政治的な利益」という面もあります。

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ことし2月の2回目の首脳会談では、非核化の段階ごとに見返りを与えるかどうかで双方譲らず、決裂しました。

その後、圧力を掛け合うチキンレースになりました。

そして先月、北朝鮮は再び、弾道ミサイルを発射しました。

さらにエスカレートしていきトランプ大統領としては「北朝鮮との交渉に失敗した」と言われることを嫌がったんだと思います。

トランプ大統領は来年に大統領選挙がありますので、なんとか交渉を動かしたい、あるいは進まなくても「北朝鮮との交渉は続いていて、良い方向に向かっている」というイメージをアメリカ国民に持たせたいという狙いがあります。

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中国総局北朝鮮担当 長野記者)

キム委員長が、なぜ今回の首脳会談の呼びかけに応じたのかというと、今のこう着状態を打開するため直接トランプ大統領に直談判するしかないと考えたのだと思います。

そして今後は国営メディアなどで「トランプ大統領とキム委員長が一層親密になった」とアピールするとみられます。

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北朝鮮は米朝交渉がうまくいかなくなったのは、トランプ大統領の側近が交渉を複雑にしているからだと主張しています。

こうした側近を交渉から外しトップ同士の決断を求めてくることもありえます。

また今後、制裁解除の前向きな動きが見えなければ再びミサイルの発射など軍事的な動きも予想されます。

 

花澤デスク)

つまり、トランプ大統領もキム委員長も、ともに今回「会うこと自体に利益がある」ということです。

しかし、北朝鮮の非核化は簡単ではありません。

そもそも、2回の首脳会談がありましたが、非核化は実質的にはまったく進展していないんです。

北朝鮮は「非核化を目指します」と言いながら、核開発は続けています。

でも、核実験や大陸間弾道ミサイル発射さえしなければ、アメリカは怒らないというのが現状なんです。

これは、このまま核兵器を持ちつづけたい北朝鮮には都合がいい、つまり北朝鮮ペースがズルズルと続いている状態なんです。

 

一方でアメリカは「非核化させたい、できる」と思って最初の首脳会談をしましたが全然進んでいません。

「失敗した」というワケにはいかないから「交渉を続け、非核化に向けて進んでいる」というアピールを続けている状況になっています。

私は長年、北朝鮮問題を担当してきたアメリカ政府の元高官と話しましたが、トランプ大統領は「非核化に向かっているという幻想」を振りまき続けている、と言っていました。

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あたかも非核化が進んでいるような、つまりある種の「壮大なウソ」を続けていると、そしてそれが政治的利益があるという受け止めです。

今後、アメリカはなんとか交渉を進めようとするでしょうが、北朝鮮は全く譲る気配はありません。

となると、アメリカが多少柔軟性を示すのかが焦点になります。

譲らなければこう着した状態が続きながらトランプ大統領が「うまく行っている」と言い続けることになります。

核兵器を持つ北朝鮮という既成事実化が進み、事実上、世界が受け入れるという状況に向かっているのが現状です。

 

記者会見でアメリカメディアから「会談では譲らず決裂し、ミサイルも撃ったのに、会うのがふさわしいのか?」という厳しい質問が飛び、その後の報道でも「これが何の役に立つ?」という厳しい声も上がっています。

トランプ大統領は、来年の大統領選挙での再選を最大の目的にしていますが、アメリカ世論が「より厳しく対処すべき」となっていけばトランプ大統領の対応も変化する可能性はあります。

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▼2時間目はこちら。

 

イギリスがEUからの離脱を決めましたが、EUに対する反発はほかの国でもが広がっています。

国際部・ヨーロッパ担当の長尾香里デスクが解説しました。

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EUは、ヨーロッパの28か国の集まりです。

そのEUが、いま、危うい状況になっているんです。

EUの抱える問題は、イギリスの離脱問題だけではないんです。

いまヨーロッパのあちらこちらで、「○○ファースト」という風が巻き上がっています。

自分の国の利益が最優先だと主張する国が増えてきました。

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そんななかで、EUとしてのまとまりがなくなって結束が緩んでしまうのではないかという状況になっているんです。

 

そもそもEUとは、どんな集まりなんでしょう?

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こちらのロボットをEUに見立てて説明します。

「EUの原型」と書いてあります。

EUの起源は、第2次世界大戦が終わってまもない1952年に集まった6か国でした。

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「戦争を二度と繰り返さない」という目標を掲げたのです。

その後、どんどん仲間に加わる国が増えていきました。

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パーツが増えることが、国が増えることを表しています。

そして1993年に、ついに今のEUになりました。

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欧州合体「イーユーダー」完成!

EUは、28か国、総人口5億人にまで拡大しました。

ヨーロッパの平和と共存に貢献したとしてノーベル平和賞までもらっているんです。

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こうやって、ひとつになることで、世界の中で存在感を強めてきたんです。

 

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[1つになるとどれだけ強いのか、オレとイーユーダーが説明するヨーソロー]

 

イーユーダーの強さの秘密をみていくために、ここからはその心臓部をみていきましょう。

EUにはヨーロッパ議会という議会があります。

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イーユーダーを動かす大事な回路のようなものです。

ちょっと変わった議会で議席の数は28の加盟国ごとに割り振られていて、議員は、各国それぞれの有権者が投票して選びます。

議会は、EUの共通の政策について話し合います。

つまり、加盟国みんなで守るべきルールを決めているんです。

 

ところが先月、このヨーロッパ議会に異変が起きました。

5年に1度の選挙が行われたんですが、投票の結果、EUのやり方は「ウザい」と、反発する議員が各国で勢いを見せたんです。

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つまりEUそのものが、YESかNOかを問われたシビアな選挙になったんです。

 

なんでそんなことになったのかというと、原因の1つがここ数年、中東やアフリカなどから押し寄せている「難民・移民」の問題です。

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受け入れるのは大きな負担だとか、治安の悪化につながるといって反発する声が、加盟する国の人たちの間で高まったんです。

中にはこれまで事実上、なかった国境を復活させるべきじゃないかと訴える国まで出てきました。

そして、EUに反発する声が広がったもうひとつの原因がこちら。

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「格差」問題です。

人やモノが自由に移動できる集まりがEUです。

1つの市場になったことで、EUの中で競争が激しくなって、勝ち残れる人とそうでない人の差が大きくなった面もあるんです。

それでEUに加盟したら、メリットどころか暮らしにくくなったと考えている人も増えてきました。

こうした不満の大元をたどれば「EU」に行き着くと。

だからもうEUのルールに縛られず、自分たちで決めたいという声が増え、先月の選挙結果につながったんです。

 

このピンチに、これまでEUを引っ張ってきた国のひとつ、フランスに改めてスポットがあたっています。

フランスのトップがマクロン大統領です。まだ41歳の若きリーダー。

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先週、NHKが単独でインタビューしたんですが「ヨーロッパが成長していくためには、EUの結束を強めていくことが唯一の道」だと話しました。

マクロン大統領は、EUは良い政策を色々作っているのに、そのメリットが市民に伝わっていないのが一番の問題だと考えています。

だから「EUのルールを見直したり、もっと機能を高めたりして良さをわかってもらおう」と、マクロン大統領は言いたいようです。

ただ、マクロン大統領、フランス国内での支持率は決して高いわけではありません。

そういうなかで、問題が山積みのEUを引っ張っていけるのか、相当の手腕と気合いが必要だと思います。

最後に、こちら。

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ギリシャ神話にでてくるパンドラの箱、抑え込んできた災いがいっきに噴き出すことの例えによく使われます。

今のEUはまさにそんな感じです。

でも神話で、パンドラの箱に最後に残ったものは「希望」だと言われています。

EUは大きな経済圏で外交力も大きく、日本にとっても大事なパートナーです。

希望を絶望にしないために、これからがEUのふんばりどころです。

 

 

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:永井伸一 坂下千里子 Mr.シップ

2019年7月7日のゲストは、平泉成さんです。

投稿者:永井伸一 | 投稿時間:15:30


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