2019年06月06日 (木)

天安門事件を見ると いまの中国がわかる!

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2019年6月2日の出演者のみなさんです。

左から、永井伸一キャスター、坂下千里子さん、Mr.シップ、ゲストの伍代夏子さん、国際部藤田正洋デスクです。

 

この日の時間割です。

1時間目「天安門事件を見ると いまの中国がわかる!」

2時間目「国連に“ニッポン”を売り込め」

 

ちょうど30年前、中国で世界を驚かせる事件が起きました。

天安門事件です。

学生や市民たちの運動が武力で抑え込まれ、多くの死者が出ました。

天安門事件を振り返ると、中国のいまが見えてきます。

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国際部・中国担当の藤田正洋デスクが解説しました。

藤田デスクが2年前に上海に駐在していたとき、日本人学校に通っていた子どもが修学旅行で天安門を訪れました。

その時、引率の先生が突然警察に連れていかれました。

その原因が、この「64」という数字です。

天安門事件は、1989年6月4日に起きたため、中国では「64(ろくよん)」と言われています。

子どものクラスが6年4組で、先生は「64」という旗をもっていただけなのにそんなことが起きたんです。

その後、先生は無事戻ってきたんですが、記念写真には一緒に写ることができませんでした。

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それぐらい天安門事件は触れてはいけない事件、つまり中国では「最大のタブー」なんです。

 

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天安門事件がどんな事件だったのか、オレが説明するヨーソロー

 

なぜ天安門事件は中国にとって最大のタブーなのか。

それを知るには事件を隠そうとしているものの正体を知ることが必要です。

それがこちらです。

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赤い龍が出てきました。

龍は中国では強さの象徴でもある伝説上の生き物です。

龍を中国共産党にみたてて説明していきます。

中国は、共産党が国を統治しているので、中国共産党=中国政府と言えます。

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その共産党が事件を隠そうとしているんです。

中国政府は、明確な結論を出しているとして改めて言う必要はないという立場なんです。

もし事件を見直す動きが起きれば、当然責任を追及されるでしょうし、言論の自由などを認めることにつながってしまうかもしれない。

そうなると、自分たちの立場を揺るがしかねないと考えているんです。

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そのため、天安門事件をきっかけに国民への締めつけをどんどん強めていくようになりました。

共産党や政府を批判する動きがあれば、その芽を摘んでおこうとしているんです。

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4年前には、弱い立場にある市民の問題解決に一生懸命に取り組む弁護士、つまり「人権派弁護士」など300人以上が、一斉に拘束されたり取り調べを受けたりしました。

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共産党や政府は、自分たちにとって批判的な動きに発展するのをおそれているんです。

 

そして、次はこちら。

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中国の人たちがインターネットを見ています。

国民がインターネット上で共産党の批判をしないように監視も強めているんです。

こちらも手が伸びてきました。

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共産党や政府に批判的な書き込みをしないように監視しているんです。

政府にとって有害な書き込みを見つけて通報する監視員がいて、人海戦術で書き込みを削除したり、最近ではAI・人工知能も使っているといわれています。

 

それに中国では、共産党や政府にとって不都合な事実は報道されません。

外国のメディアが衛星放送でそういったニュースを放送しても、中国国内で当局によって遮断されてしまいます。

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おととし、NHKが天安門事件から28年のニュースを放送したところ、突然画面が真っ暗になってしまいました。

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6月4日が近づいて現地の様子を北京にいる奥谷記者に聞くと…。

一見すると何の変哲もないふだんと同じ日曜日ですが、中国政府は事件を思い起こさせることはすべてシャットアウトしています。

中国の高速鉄道の列車には4けたの数字が割りふられていますが、あさっては8964号の列車が

運休になったようで予約ができないんです。

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この8964という数字が1989年6月4日という事件が起きた日を想い起こさせるということで、運休になったようです。

また、タクシーに乗って運転手に事件を覚えているかと聞いたら、「ああ、そういえばそうだなぁ」とやっと思い出したようでした。

中国政府の忘れさせる政策がかなりうまくいっていると感じますが、実際は口づてなどで、なんとなく知っている人は大勢います。

当時、学生や市民は政府を倒そうとデモを始めたわけではなく、中国をよい国にしたいという純粋な気持ちからデモに参加していました。

この30年、多くの市民は、あえて政治のことには関わらず、自分の生活をよくすることだけを考えるようにしてきました。

国がよくなってほしいという気持ちはあるけれど、タブーに触れて当局の監視が強くなったり、自分の生活に影響が出るのが怖いという一種の恐怖感で今のところは黙り込んでいると感じます。

 

天安門事件の活動に関わった学生たちを取材しました。

 

30年前、天安門広場で運動に参加していた王治新さんです。

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「心の痛みは長い時間がたっても消えていません。今も忘れることはできません。」

 

大学で法律を学んでいた王さんは、運動を率いる学生リーダーの1人でした。

運動が始まってからおよそ1か月。

政権指導部と学生側の異例の話し合いが行われ、王さんも参加しました。

その話し合いは平行線で終わりました。

その後、学生たちは武力で鎮圧され、多くの犠牲者がでました。

「とても悲しかったです。こんなに多くの人たちが命の代償を払ったことは、自分にも責任があると感じました」。

その後、21人の学生リーダーたちは「国の体制を揺るがそうとした」などとして指名手配されました。

王さんも拘束され、1年近く収容されました。

事件から30年たった今も、王さんは当局に監視されています。

いつかは海外で法律を学び、弁護士になりたいと考えていた王さんですが、指名手配されたことが影響して、仕事はなかなか見つかりませんでした。

今は親戚の仕事を手伝って生計を立てています。

王さんは、自分たちが率いた運動で多くの仲間が犠牲になったことに責任を感じています。

今は政治活動からは距離を置き、当時のことについてはずっと口を閉ざしてきました。

しかし、あれから30年、王さんは、事件の記憶が消し去られようとしていることに危機感を抱いています。

「何が起きたのかを知らなければ反省もできません。それはとても残念なことです。若い世代が事件を知ることができれば、未来の参考になるし、価値があることです。」

 

 

 

中国共産党は、中国の人たちが怒りを爆発させることはないように、人権派の弁護士を拘束したり、国民への情報を遮断したり、芽を摘んできたんです。

そして、国民に不満を持たせないように徹底してきたことがあります。

それが経済成長です。国民の生活を豊かにしようとしてきたんです。

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国民に生活の豊かさを実感してもらうため必死に経済成長を続け、世界第2の経済大国に成長することにつながったと言えます。

これがみなさんが感じる「強い中国」のイメージかもしれません。

 

ところが、経済成長をするなかで、最近、中国にとって困った人が出てきました。

アメリカのトランプ大統領です。

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いま、中国とアメリカは貿易摩擦をめぐって対立が激しくなっています。

トランプ政権の圧力によって中国の経済が悪化して、国民が生活の豊かさを感じられなくなった時には

不満が高まって、共産党や政府への批判が出るかもしれません。

中国は常に強気の姿勢を見せていますが、裏を返せば、天安門事件のあと、必死で成長させてきた経済を悪化させてはならないという危機感や弱さも持っているんです。

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「強さと弱さが表裏一体」

中国はいつも「強気」とイメージがあるかもしれませんが、それは危機感という「弱さ」の裏返しでもあるんです。

中国は国民に対しても、外国に対しても弱みを見せられない。だから、われわれには常にこわもての態度に見えるんです。

中国は「強さと弱さが表裏一体」ということを知って、これからも中国の動向を見ていく、つきあっていくことが大事だと思います。

 

 

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:永井伸一 坂下千里子 Mr.シップ

2019年6月9日のゲストは、虻川美穂子さんです。

投稿者:永井伸一 | 投稿時間:18:00


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